2026/08/31
離職対策部下に辞めたいと言われたら?退職相談された時の対応や注意点を解説

部下から突然「辞めたいと思っています」と切り出され、どう答えるべきか戸惑った経験はないでしょうか。引き止めるべきなのか、受け入れるべきなのか、返答ひとつで本人との関係もチームの空気も変わります。
本記事では、部下に辞めたいと言われた際の初期対応と注意点を、上司・管理職の立場から解説します。退職を切り出す背景にある理由や、日頃からできる離職防止の取り組みもあわせて紹介しますので、いざという場面での判断にお役立てください。
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部下に辞めたいと言われたら引き止めるべき?
部下から「辞めたい」「転職を考えている」と退職の意思を伝えられると、多くの上司は反射的に引き止めようとします。しかし、その場ですぐ慰留を始めるのは得策ではありません。
退職理由によって、引き止めが本人と組織の双方にとってプラスになる場合と、かえって関係を悪化させる場合があります。社内に原因がある場合は改善の余地がありますが、転職先が決まっている場合や家庭の事情など、会社では動かせない理由であれば意思を尊重する方が賢明です。
| 退職理由 | 引き止めの判断 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 労働環境への不満 | 検討の余地あり | 具体的な改善策を提示できるか |
| 評価・処遇への不満 | 検討の余地あり | 人事と相談し、実現可能な範囲か |
| 人間関係の悩み | 検討の余地あり | 配置転換などで解決できるか |
| キャリアの方向性の違い | 慎重に判断 | 自社で希望する経験を積めるか |
| 転職先が決定済み | 原則尊重 | 意思の固さと入社予定時期 |
| 家庭の事情・健康上の理由 | 引き止めない | 制度の活用で継続の余地がないか |
まずは結論を保留し、理由を丁寧に確認することから始めましょう。
部下が辞めたいと言う背景・よくある理由
退職を申し出る部下が、最初から本音を語るとは限りません。円満に辞めたいという心理から、当たり障りのない理由や建前が伝えられることも多くあります。
まずは、退職理由としてよく挙がる5つの類型を押さえておきましょう。
- 仕事内容に関する理由
- 評価に関する理由
- 人間関係に関する理由
- キャリアに関する理由
- 家庭の事情など個人的な理由
仕事内容に関する理由
任される業務が本人の希望や適性と合っていない場合、退職を考えるきっかけになります。単調な作業が続いて成長を実感できない、逆に力量を超える業務を任され続けて疲弊している、といったケースです。
また、業務量が特定の人に偏り、長時間労働が常態化していることも大きな要因になります。仕事そのものへの不満は本人から言い出しにくく、上司が日常的に把握しづらい点にも注意が必要です。
評価に関する理由
自分の働きが正当に評価されていないという感覚は、退職の動機になりやすい要素です。成果を上げても給与や役職に反映されない、評価の基準が不透明で納得感がない、といった不満が積み重なっていきます。
同期や同僚との待遇差、転職市場での自分の市場価値を知ったことがきっかけになる場合もあります。評価への不満は本人からは伝えにくいため、面談の場でも「一身上の都合」と表現されることが少なくありません。
人間関係に関する理由
上司や同僚との関係は、職場への定着を左右する大きな要素です。相談しづらい雰囲気、価値観の合わない相手との協働、ハラスメントに近い言動などが積み重なると、職場そのものへの拒否感につながります。
特に直属の上司との関係が原因の場合、当の上司には最も伝えにくい理由となります。退職の申し出を受けた際、自分自身が要因になっている可能性も念頭に置いておく必要があります。
キャリアに関する理由
自社で描けるキャリアと、本人が望む方向性が一致しない場合の退職です。専門性を高めたい、マネジメントを経験したい、異なる業界に挑戦したいなど、前向きな動機であることも多くあります。
年次が上がるほど昇進の見通しが立ちやすくなり、この先のキャリアを具体的に想像した結果、転職を選ぶケースもあります。会社への不満ではないため語られやすく、他の理由を覆い隠す建前として使われることもあります。
家庭の事情など個人的な理由
結婚や出産、育児、介護、配偶者の転勤、本人の健康上の問題など、私生活の変化が退職の理由になる場合です。会社側で解決できる範囲は限られますが、時短勤務やリモートワーク、休職制度の活用によって就業を継続できるケースもあります。
制度を知らないまま退職を決めている可能性もあるため、本人の希望を確認したうえで、選択肢として提示する価値はあります。
部下に辞めたいと言われた時の初期対応
部下から辞めたいと言われた直後の対応は、その後の展開を大きく左右します。慰留の可否を判断するにも、円満に送り出すにも、まずは正確な状況把握が欠かせません。
上司が最初に取るべき対応を、4つのステップで解説します。
- ①その場で結論を出さず、まずは受け止める
- ②場を改めて退職理由を聞き取る
- ③退職の意思の固さを見極める
- ④社内での動き方を判断する
①その場で結論を出さず、まずは受け止める
退職を切り出す部下は、相当の覚悟を持って話しかけています。その場で反論したり、感情的に反応したりすれば、本音を語る機会は失われます。
まずは話してくれたことへの感謝を伝え、意思を受け止める姿勢を示しましょう。「まずは詳しく聞かせてほしい」と伝え、その場は受け止めるだけにとどめるのが賢明です。
廊下や立ち話の場面で切り出された場合は、日を改める提案をすることも重要です。
②場を改めて退職理由を聞き取る
周囲の目や耳がある場所では、本音は出てきません。個室など落ち着いて話せる環境を用意し、十分な時間を確保して面談の場を設けます。
聞き取りでは、上司側が一方的に話しすぎないことが重要です。「いつ頃から考えていたのか」「何がきっかけだったのか」と時系列で尋ねると、状況を整理しやすくなります。
伝えられた理由をそのまま受け取るのではなく、その背景にある事情まで理解しようとする姿勢が、本音を引き出すことにつながります。
③退職の意思の固さを見極める
同じ「辞めたい」でも、迷いを残している段階と、既に転職先が決まっている段階では対応が変わります。転職活動の状況や希望する退職時期を確認できれば、意思の固さはある程度判断できます。
ただし問い詰めるような聞き方は避けましょう。「今後の進め方を一緒に考えたいので、差し支えなければ状況を教えてほしい」と、本人の立場に配慮した伝え方が適切です。
答えたくない様子であれば、無理に踏み込む必要はありません。
④社内での動き方を判断する
聞き取りを終えたら、対応方針を検討します。処遇や配置の変更が絡む場合、上司の一存では決められないため、人事部門への相談が必要になります。
ただし、本人が悩んでいる段階で無断で共有すると、信頼を損ないかねません。「制度面を確認したいので人事に相談してもよいか」と、事前に了承を得ておきましょう。
あわせて、いつ誰にどこまで伝えるかを本人と決めておくと、その後の情報の扱いで齟齬が生じにくくなります。
部下に辞めたいと言われた時の注意点
退職の申し出に対する上司の言動は、本人との関係だけでなく、残るメンバーの信頼にも影響します。よかれと思った対応が裏目に出ることもあるため、避けるべき注意点を押さえておきましょう。
- 感情的な反応や説得を避ける
- 強引に引き止めると法的な問題になりうる
- 退職意思を本人の許可なく周囲に伝えない
- 実現できない条件を提示しない
- 退職が決まった後の態度を変えない
感情的な反応や説得を避ける
退職の申し出は、上司にとって想定外の出来事です。裏切られたと感じたり、チーム運営への影響が頭をよぎったりして、つい感情が表に出てしまうことがあります。
しかし「今のタイミングで困る」「もう少し考え直せないか」と反応すれば、部下は本音を閉ざします。説得も同様で、一方的に翻意を促すほど本人の意思は固くなる傾向があります。
相手の判断を否定せず、まずは理由を理解しようとする姿勢を保つことが、その後の対話の質を左右します。
強引に引き止めると法的な問題になりうる
労働者には職業を選ぶ自由があり、退職の意思を一方的に妨げることはできません。慰留はあくまで本人が納得したうえで再考する余地を示すものであり、意思決定そのものを封じるものではないという前提を押さえておく必要があります。
退職を認めない姿勢を取り続けたり、威圧的な言動で翻意を迫ったりすれば、退職妨害やハラスメントとして問題化するおそれがあります。
退職意思を本人の許可なく周囲に伝えない
退職の意向は、本人にとって扱いに配慮を要する情報です。まだ迷っている段階で周囲に伝われば、居づらくなって結論を急がせる結果を招きます。
さらに、部下の退職の話がチームに広まると、他のメンバーの動揺や連鎖的な退職につながることもあります。誰にいつ伝えるかは、必ず本人と相談したうえで決めましょう。
人事部門など業務上の共有が必要な場合も、あらかじめ了承を得ておけば、後の行き違いを防げます。
実現できない条件を提示しない
引き止めたい一心で、その場しのぎの提案をするのは避けるべきです。昇給や昇進、部署異動といった条件は上司の一存で決められるものではなく、人事部門との調整が前提になります。
実現しないまま時間が過ぎれば、部下の不信感は決定的なものとなり、より悪い形での退職を招きます。提示できるのは、社内で確実に実行できると確認が取れた内容だけです。
その場で答えを出さず、確認したうえで改めて伝えると約束する方が誠実でしょう。
退職が決まった後の態度を変えない
部下の退職が確定した途端に接し方が冷淡になる、業務から遠ざける、といった対応は避けなければなりません。本人が不本意な形で職場を去るだけでなく、その様子は残るメンバーにも見られています。
「辞めると言えばこう扱われる」という認識が広がれば、職場への信頼が損なわれます。部下が退職日まで在籍する一員であることに変わりはありません。
最後まで敬意を持って接することが、引き継ぎの質を高め、将来の再入社や取引先としての関係にもつながります。
部下の退職を防ぐために日頃からできること
「辞めたい」と退職の相談を受けた時点では、本人の気持ちは固まっていることが少なくありません。離職を防ぐ取り組みの多くは、日常の関わり方の中にあります。
上司や管理職が意識したい、離職防止に欠かせない3つの観点を紹介します。
- 本音を話せる関係をつくる
- 不満が小さいうちに解消する
- 成長を実感できる機会を用意する
本音を話せる関係をつくる
不満や迷いを抱えたまま相談されずにいると、上司が状況を知るのは退職の申し出を受けた時になります。日頃から気軽に話せる関係ができていれば、悩みの段階で共有され、対処できる可能性が高まります。
重要なのは接触の頻度と、話しても不利益がないという安心感です。相談を受けた際に否定から入らない、聞いた内容を一方的に他へ持ち出さないといった積み重ねが信頼につながります。
不満が小さいうちに解消する
退職理由の多くは、ある日突然生まれるものではありません。業務量の偏りや評価への納得感のなさが少しずつ蓄積し、限界を超えたときに転職活動が始まります。
裏を返せば、小さな不満の段階で拾えれば手を打つ余地があります。上司にできるのは、変化に気づくことと、自分の権限で対応できる範囲を素早く動かすことです。
処遇など裁量を超える内容は、抱え込まず人事部門に相談し、対応可能かどうかを早めに確認しましょう。
成長を実感できる機会を用意する
同じ業務が続き、力がついている実感を持てない状態は、転職を考えるきっかけになります。
特に若手や中堅は、社外に目を向けたときに自分の市場価値を意識しやすい層です。現在の職場で経験を積める見通しがあるかどうかが、定着を左右します。
本人が何を身につけたいと考えているかを把握し、それに近い業務を任せていくことが有効です。
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まとめ
本記事では、部下に辞めたいと言われた際の初期対応と注意点を、上司・管理職の立場から解説しました。
部下から退職を切り出されたときは、その場で結論を出さず、まずは理由を丁寧に聞き取ることが出発点になります。引き止めるかどうかは、その理由が会社側の対応で解決できるものかを見極めたうえで判断しましょう。
退職の相談は、職場の課題が表面化した機会でもあります。日頃の関わり方を見直すきっかけとして受け止めることが、次の離職を防ぐことにつながります。
































