2026/08/31
人材育成【質問例あり】コンピテンシー面接で聞くことは?進め方や注意点も解説

コンピテンシー面接は、候補者の過去の行動を掘り下げ、入社後の活躍を見極める面接手法です。しかし「具体的に何を質問すれば良いのか分からない」「深掘りが浅く、評価材料が集まらない」と悩む採用担当者は少なくありません。
本記事では、コンピテンシー面接で使える質問例を、STAR法の4要素に沿って紹介します。質問の設計方法から面接の進め方、実施時の注意点まで解説していますので、コンピテンシー面接の設計にお役立てください。
自社に合った質問を用意することで、面接官による評価のばらつきを抑え、ミスマッチの少ない採用を実現しましょう。
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コンピテンシー面接とは?
コンピテンシー面接とは、候補者が過去に取った行動を具体的に掘り下げ、その再現性から入社後の活躍を見極める面接手法です。コンピテンシーとは、高い成果を上げる人材に共通してみられる行動特性を指します。
一般的な面接では「あなたの強みは何ですか」といった自己評価や考え方を尋ねますが、コンピテンシー面接では「その課題に対し、実際に何をしましたか」と事実を問います。意欲や印象ではなく、行動の事実にもとづいて評価するため、面接官の主観によるばらつきを抑えられる点が特徴です。
コンピテンシー面接のメリット・デメリット
コンピテンシー面接は、評価の精度を高められる一方で、導入前に準備すべきことや適さない場面もあります。自社に取り入れるべきかを判断するために、メリットとデメリットの両面を確認しておきましょう。
コンピテンシー面接がもたらすメリット
①入社後の活躍を予測しやすい
コンピテンシー面接では、候補者が過去にどう考え、どう動いたかを具体的に確認します。行動には再現性があるため、同種の状況に直面したとき、入社後も近い動き方をすると想定可能です。
意欲や熱意といった変動しやすい要素ではなく、実際に取った行動を判断材料にすることで、入社後のパフォーマンスとのギャップが生じにくくなります。結果として、早期離職やミスマッチの抑制にもつながります。
②面接官による評価のばらつきを抑えられる
自社で定めたコンピテンシー項目を評価軸に据えるため、面接官が何を見るべきかが明確になります。「人柄が良さそう」「うちの社風に合いそう」といった印象評価に流れにくく、複数の面接官が関わる選考でも判断の方向性が揃います。
評価項目ごとに行動レベルを定義しておけば、面接官の経験年数や相性によって結果が左右される事態も防ぎやすくなるでしょう。
③準備された自己PRに左右されにくい
候補者が対策として用意した回答も、深掘りすれば具体性の差が表れます。「主体的に行動しました」といった抽象的な表現に対し、そのとき具体的に何をしたのか、なぜその判断をしたのかを重ねて問えば、実体験に基づくかどうかが見えてきます。
話し方が上手な候補者を過大評価したり、口下手でも実績のある候補者を取りこぼしたりするリスクを減らせます。
コンピテンシー面接に伴うデメリット
①コンピテンシー項目の設計に手間がかかる
コンピテンシー面接は、自社の評価項目を定めることが前提となる手法です。
社内で高い成果を上げている人材の行動特性を洗い出し、職種や等級ごとに項目として整理する必要があります。この工程を省いて他社の質問例を流用すると、自社の求める人材像とずれた評価になりかねません。
また、事業内容や組織体制の変化に応じて、項目を定期的に見直す運用も求められます。
②職務経験の少ない候補者には適用しづらい
過去の行動事例を評価材料とするため、新卒や第二新卒など、業務経験の蓄積が少ない候補者には十分な情報を引き出しにくい面があります。学業やアルバイト、部活動などの経験から質問を設計する工夫は可能ですが、実務での再現性を見極めるには限界があります。
ポテンシャル採用では、適性検査やグループワークなど、他の選考手法との併用を検討するとよいでしょう。
コンピテンシー面接における質問の設計方法
コンピテンシー面接では、質問を思いつきで用意しても評価につながりません。何を測るかを決め、型に沿って質問を組み立てる手順が必要です。
具体的にどのような手順で質問を設計していけば良いのか、詳しく見ていきましょう。
- 評価するコンピテンシー項目を定める
- STAR法で質問の骨格をつくる
- 行動を深掘りする追加質問を準備する
評価するコンピテンシー項目を定める
質問を作る前に、何を評価するのかを決める工程が必要です。一般的に用いられるコンピテンシー項目と、それぞれで確認する内容は以下のとおりです。
| コンピテンシー項目 | 評価する行動 |
|---|---|
| 課題解決力 | 問題の原因を分析し、複数の選択肢から手段を選んで実行できる |
| 主体性・行動力 | 指示を待たず、自ら必要と判断した行動を起こせる |
| リーダーシップ | 役職の有無にかかわらず、周囲を巻き込んで物事を前に進められる |
| 協調性 | 意見の異なる相手とも折り合いをつけ、合意形成ができる |
| ストレス耐性 | 負荷の高い状況でも成果を維持し、自ら立て直せる |
| 学習意欲 | 必要な知識やスキルを自発的に習得し、業務に活かせる |
| 顧客志向 | 相手の要望の背景を捉え、期待を上回る対応ができる |
自社で高い成果を上げている社員の行動を観察し、成果につながっている行動特性を洗い出します。求める人物像を想像で組み立てるのではなく、社内の事実から抽出することが重要です。
洗い出した特性は、職種や等級ごとに5〜6項目程度へ絞り込みます。すべてを一度の面接で測ろうとすると、一つひとつの掘り下げが浅くなり、かえって判断材料が集まりません。
営業職なら顧客志向と目標達成力、開発職なら課題解決力と学習意欲というように、職務に直結する項目を優先しましょう。
STAR法で質問の骨格をつくる
STAR法とは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取ったフレームワークです。この4要素を順に確認することで、候補者の経験を事実として整理できます。
例えば課題解決力を測る場合、「どのような状況でしたか」で背景を、「何が課題でしたか」で問題の所在を、「あなたは何をしましたか」で具体的な行動を、「結果はどうなりましたか」で成果を確認します。
評価の中心となるのはAction(行動)です。状況説明や結果だけが語られ、本人の行動が見えないまま面接が終わらないよう、質問の順序をあらかじめ決めておきましょう。
行動を深掘りする追加質問を準備する
コンピテンシー面接では、最初の質問より2手目以降の掘り下げが評価を左右します。1問目の回答は準備されていることが多く、そのままでは実際の行動が見えないためです。
Action(行動)を掘る質問としては、「なぜその方法を選んだのですか?」「周囲はどう反応しましたか?」などが挙げられます。判断の理由や失敗の描写まで語れる候補者は、実際にその経験をした可能性が高いと考えられます。
項目ごとに追加質問を3つ程度用意し、面接官間で共有しておくと運用が安定します。
【質問例】コンピテンシー面接で聞くことは?
STAR法の4要素それぞれで使える質問を紹介します。1つの経験について、状況、課題、行動、結果の順に確認していく流れです。
自社のコンピテンシー評価項目に合わせて、質問を組み替えてお使いください。
- Situation(状況)を確認する質問例
- Task(課題)を確認する質問例
- Action(行動)を引き出す質問例
- Result(結果)を確認する質問例
Situation(状況)を確認する質問例
最初の質問で、どの経験について聞くかが決まります。課題解決力を評価したいなら困難だった課題を、リーダーシップなら周囲を巻き込んだ経験をというように、評価項目に応じて入口を変えてください。
ここでは経験の背景を把握することが目的です。時期、規模、体制、本人の立場までを押さえておくと、後のAction(行動)を聞く際に「どこまでが本人の裁量だったか」を判断できます。
Task(課題)を確認する質問例
その状況において、何が課題だったのかを確認します。候補者が何を問題と捉えたかには、視野の広さや当事者意識が表れます。
与えられた課題をこなしただけなのか、自ら問題を発見したのかは、主体性を測るうえで重要な分かれ目です。また、課題の設定が表面的な場合は、なぜそう考えたのかを重ねて問い、思考の深さを確認します。
Action(行動)を引き出す質問例
STAR法において最も重要なのがAction(行動)です。評価の対象は候補者自身が取った行動であり、状況説明や結果だけでは再現性を判断できません。
主語を「あなた」に固定して問うのが要点です。「チームで取り組みました」と語られた場合は、その中で本人が担った範囲を切り分けて聞き直します。判断の理由まで語れるか、選択の意図を説明できるかが評価の分かれ目になります。
Result(結果)を確認する質問例
行動がどのような成果につながったかを確認します。あわせて、その経験から何を学んだかまで聞くことで、次の状況での再現性を判断できます。
成果の大きさそのものより、結果を客観的に捉えられているかを見ましょう。うまくいかなかった点まで語れる候補者は、経験を振り返る習慣があり、入社後も同様の学習ができると期待できます。
数値で語られた場合は、その数値が何と比較したものかを確認しておくと、成果の実質を把握しやすくなります。
コンピテンシー面接の進め方
質問を用意しただけでは、コンピテンシー面接は機能しません。事前の準備から当日の進行、評価の記録までを一連の流れとして設計する必要があります。
実施前後を含めた4つの手順を確認しましょう。
- 事前に評価シートと質問リストを準備する
- 冒頭で面接の目的と進め方を伝える
- STAR法に沿って1つの経験を掘り下げる
- 評価は面接直後に記録する
1.事前に評価シートと質問リストを準備する
面接当日までに、評価項目、項目ごとの質問、判断基準を1枚のシートにまとめておきます。項目ごとに「どのような行動が確認できれば何点か」を段階的に定義しておくと、面接官が変わっても評価が揃いやすくなります。
複数の面接官が関わる場合は、シートを事前に共有し、認識をすり合わせておくことが欠かせません。同じ「主体性」でも、面接官によって想定する行動水準は異なります。
2.冒頭で面接の目的と進め方を伝える
コンピテンシー面接では同じ経験を繰り返し掘り下げるため、候補者が詰問されていると感じることがあります。面接の冒頭で「過去のご経験について、具体的に伺っていきます」と進め方を伝えておきましょう。
意図が分かっていれば、候補者も答えの準備がしやすくなります。深掘りの場面でも「もう少し詳しく教えてください」と前置きを添えるだけで、印象は大きく変わります。
3.STAR法に沿って1つの経験を掘り下げる
面接本編では、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の順に質問を重ねます。複数のエピソードを浅く聞くのではなく、1つの経験を最後まで掘り下げることで、候補者の判断や行動が具体的に見えてきます。
1項目あたり15〜20分が目安です。60分の面接であれば、導入に5分、コンピテンシー項目を2つ確認するのに40分、質疑応答と案内に15分という配分が現実的でしょう。
時間が不足しそうな場合は、項目数を減らしてでもAction(行動)の掘り下げを優先してください。
4.評価は面接直後に記録する
面接から時間が空くほど具体的な発言内容は薄れ、全体の印象だけが残るため、事実にもとづく評価という前提が崩れてしまいます。次の面接に入る前に、シートへ記入する時間を確保しておきましょう。
面接官が複数いる場合は、意見を交わす前にそれぞれが評価を確定させることが重要です。先に議論を始めると、発言力の強い面接官の見解に引きずられます。
個別に記録したうえで、評価が分かれた項目についてすり合わせる順序が適切です。
コンピテンシー面接を実施する際の注意点
コンピテンシー面接は手順どおりに進めても、面接官の受け止め方によって評価は変わります。事実にもとづく判断を保ち、候補者との対話を成立させるために、押さえておきたい注意点を見ていきましょう。
- 用意された回答は追加質問で見極める
- 経験の大きさではなく行動の質を評価する
- 候補者に過度な負担をかけない
用意された回答は追加質問で見極める
候補者がコンピテンシー面接対策として、回答を準備していることは珍しくありません。用意された回答には、いくつかの兆候が表れます。
主語が「チームで」「我々が」に終始して本人の行動が見えない、時期や数値が曖昧、成功した点しか語られない、といった特徴です。こうした場合は、その場で判断せず追加質問を重ねます。
「そのとき、あなた自身は何を担当していましたか」「うまくいかなかった点はありましたか」と具体を求めれば、実体験の有無は自然に表れます。
経験の大きさではなく行動の質を評価する
大規模なプロジェクトや目を引く実績を聞くと、それだけで高く評価してしまうことがあります。しかし評価の対象は、あくまでその中で本人が取った行動です。
規模の大きな案件でも、担当範囲が限定的であれば再現性のある行動とはいえません。反対に、日常業務のような一見地味な経験でも、原因を分析し、意図を持って手段を選んでいれば評価に値します。
エピソードの華やかさに引っ張られていないか、面接後に評価シートを見返して確認する習慣をつけましょう。
候補者に過度な負担をかけない
同じ経験を繰り返し掘り下げる形式は、候補者にとって負荷が高いものです。
答えに詰まっているのに同じ角度から問い続けると、萎縮して本来の行動特性が見えなくなります。反応が硬いと感じたら、別の質問に切り替える判断も必要です。
また、選考は候補者が企業を見極める場でもあります。深掘りの意図が伝わらないまま質問が続けば、入社意欲の低下や辞退につながりかねません。
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まとめ
本記事では、コンピテンシー面接で使える質問例や設計方法、進め方、実施時の注意点まで解説しました。
質問を用意する前に、自社で評価するコンピテンシー項目を定めることが出発点です。そのうえでSituation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の順に1つの経験を掘り下げ、特にAction(行動)を丁寧に確認することで、候補者の行動特性が見えてきます。
評価の対象は経験の華やかさではなく、その中で本人が取った行動です。事実にもとづく判断を積み重ね、ミスマッチの少ない採用につなげていきましょう。
































