2026/04/02
離職対策退職代行を使われたら?会社側の対応手順や注意点を解説
近年、従業員が会社に直接退職を伝えず、退職代行サービスを利用するケースが急増しています。ある日突然、見知らぬ業者から従業員の退職意思を伝えられ、戸惑ってしまう人は少なくありません。
本記事では、退職代行を使われた際に会社側がとるべき対応についてまとめました。退職代行の基本知識をはじめ、注意点や使われる原因、退職代行を使われないために今から取り組めることも解説しています。
会社側が適切な対応をとらなければ、法的トラブルや社内混乱に発展するリスクもありますので、ぜひ本記事をお役立てください。
従業員の離職率にお悩みの方へ
「本音の退職理由が聞き出せない」「退職分析の仕方がわからない」「具体的な施策が思い浮かばない」そんな課題をHR pentestが解決。
AIが従業員の本音から離職要因を分析し、誰もが確実に実行できる対策を導き出します。
-
自然言語AIによる人事データ分析
-
高精度な面談記録を自動作成
-
専門家監修の組織診断アンケート
- … And More
退職代行とは?
退職代行とは、従業員本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。
本来、退職の意思表示は本人が直接行うのが一般的ですが、「上司に言い出せない」「ハラスメントを受けていて出社できない」といった事情を抱える労働者が、第三者に退職手続きの連絡を依頼するケースが増えています。会社側にとっては突然の連絡となるため、適切な対応方法を事前に把握しておくことが重要です。
退職代行の種類
退職代行サービスは、運営主体によって大きく3種類に分けられます。種類ごとに会社への交渉権限や対応できる範囲が異なるため、会社側はどのタイプの業者から連絡が来たかを最初に確認することが重要です。
| 種類 | 運営主体 | 交渉権限 | 主な対応範囲 |
|---|---|---|---|
| 民間業者型 | 一般企業 | なし | 退職の意思伝達のみ |
| 労働組合型 | 労働組合 | 団体交渉権あり | 有給消化・退職日の交渉 |
| 弁護士型 | 弁護士事務所 | 法的交渉・請求可 | 未払い残業代請求・損害賠償対応 |
いずれのタイプであっても、連絡を無視したり感情的に対応したりすることは避け、冷静かつ適切に対処することが求められます。
退職代行の利用が増加する背景
近年、退職代行の利用者数は急増しています。背景には、パワハラや過度な引き止めなど、従業員が直接退職を申し出にくい職場環境の存在があります。
また、退職を申し出ても「もう少し待ってほしい」と引き延ばされるケースや、強い引き止めによって精神的に追い詰められるケースも少なくありません。さらにSNSの普及により退職代行サービスの認知度が高まり、若い世代を中心に「使って当然のサービス」として定着しつつあることも、利用増加の大きな要因となっています。
退職代行の連絡を無視・拒否しても良い?
退職代行業者から連絡が来た際、無視・拒否は原則として避けるべきです。
民間業者型であれば法的な対応義務は生じにくいものの、労働組合型の場合は団体交渉権にもとづく誠実対応義務が発生する可能性があります。弁護士型に至っては、無視することで法的措置に発展するリスクが高く、特に注意が必要です。
また、退職代行業者を無視して本人へ直接連絡することも慎むべきです。強いストレスを抱えて退職代行を利用した従業員に直接連絡することは、ハラスメントと受け取られるリスクがあります。
無視・拒否は問題を長期化・複雑化させるだけです。連絡が来た際は業者の種類を確認したうえで、冷静かつ誠実に対応することが会社側にとって最善の対処法といえます。
退職代行を使われたら?会社側の対応手順
退職代行から会社に連絡が来た際、初動対応を誤ると法的トラブルや社内混乱に発展するリスクがあります。感情的にならず、以下の手順に沿って冷静に対応を進めましょう。
- ①退職代行業者を確認する
- ②退職意思を確認・受理する
- ③退職希望者の雇用形態を確認する
- ④退職手続きを実施する
- ⑤社内への情報共有と引き継ぎを行う
①退職代行業者を確認する
退職代行から連絡が来たら、まず業者の種類と権限を確認しましょう。民間業者型・労働組合型・弁護士型によって、会社側に求められる対応範囲が異なります。
業者名や連絡先を記録し、対応窓口を人事担当者や総務など一本化することも重要です。複数の担当者が個別に対応すると、情報の混乱やトラブルの原因になります。
窓口を一本化したうえで、以降のやり取りはすべてその担当者を通じて行うようにしましょう。
②退職意思を確認・受理する
退職代行業者からの連絡をもって、従業員本人の退職意思表示として受理するのが原則です。民法上、退職の意思表示は本人以外を通じて行うことも認められており、退職代行による連絡を不当として拒否することはできません。
退職意思を確認したら、退職日や有給休暇の消化期間について業者を通じて調整します。原則として、従業員が有給を取得する権利は会社側も尊重する必要があるため、一方的に退職日を決定することは避けましょう。
③退職希望者の雇用形態を確認する
退職意思を受理したら、対象従業員の雇用形態を確認しましょう。正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態によって、適用される退職ルールや手続きが異なります。
正社員の場合、民法上は退職申し出から原則2週間で退職が成立しますが、就業規則に別途定めがある場合はその内容も確認が必要です。また、試用期間中や契約期間中の退職については、それぞれ異なるルールが適用されるため、状況に応じて適切に判断しましょう。
④退職手続きを実施する
雇用形態と退職日が確定したら、速やかに退職手続きを進めます。会社側が準備・対応すべき主な書類の例は以下です。
- 離職票
- 源泉徴収票
- 健康保険・厚生年金の喪失手続き
- 退職証明書
書類は本人が直接受け取れない場合、郵送で対応しましょう。返却物(社員証・制服など)の回収方法についても、退職代行業者を通じて事前に確認・調整しておくとスムーズです。
⑤社内への情報共有と引き継ぎを行う
退職が確定したら、関係部署への情報共有と業務引き継ぎを速やかに行いましょう。退職代行を利用した従業員は出社しないケースがほとんどのため、引き継ぎ資料の作成を本人に依頼する場合も、業者を通じて連絡します。
ただし、本人が引き継ぎを拒否した場合でも、それを理由に退職を拒否したり損害賠償を請求したりすることは難しいため、残されたメンバーでカバーできる体制を整えることが現実的な対応です。
退職代行を使われた時の会社側の注意点
対応手順と同様に重要なのが、やってはいけない行動を把握しておくことです。悪意がなくても対応を誤ると、ハラスメントや法的問題に発展するケースがありますので、会社側が陥りやすい注意点を見ていきましょう。
- 退職の意思を尊重する
- 本人への連絡は避ける
- 感情的に対応しない
- 退職に至った原因を振り返る
退職の意思を尊重する
退職代行を通じた退職の意思表示は、法的に有効なものとして扱う必要があります。「直接言ってこないと認めない」「退職届を本人が持参しなければ受理しない」といった対応は、退職の自由を侵害するとみなされる可能性があります。
また、有給消化の拒否や退職日の一方的な決定も、労働者の権利を損なう行為です。退職代行からの連絡を受けた時点で、従業員の意思を真摯に受け止め、誠実に手続きを進める姿勢が会社側には求められます。
本人への連絡は避ける
退職代行業者から連絡が来た後、会社側が本人へ直接電話やメッセージを送ることは避けるべきです。
特に弁護士が代理人となっている場合、本人への直接連絡は弁護士法に抵触する恐れがあります。また、弁護士型以外のケースでも、精神的に追い詰められて退職代行を利用した従業員への直接連絡は、ハラスメントとみなされるリスクがあります。
書類の確認や引き継ぎに関する連絡も、必ず退職代行業者を窓口として行うようにしましょう。
感情的に対応しない
突然の退職代行連絡に、「非常識だ」「無責任だ」と感情的になる担当者もいるかもしれません。しかし、感情的な言動は状況をさらに悪化させる可能性があります。
退職代行業者へ高圧的な態度をとったり、不当な要求をしたりすることは、後にハラスメントや不当対応として問題になるリスクがあります。また、対応の様子がSNSで拡散されるケースもあるため、会社の評判を守る観点からも、冷静かつ誠実な対応を心がけることが重要です。
退職に至った原因を振り返る
退職代行が使われた事実を単なるトラブルとして処理するだけでなく、なぜ従業員が直接言い出せなかったのかを真剣に振り返ることが大切です。パワハラや過度な引き止め、相談しにくい職場環境など、会社側に問題があったケースは少なくありません。
同じことを繰り返さないためにも、離職理由の分析や職場環境の見直しを行うことが必要です。退職代行の利用は、組織の課題を映す鏡でもあると認識しましょう。
退職代行を使われてしまう4つの原因
退職代行を使われた場合、その背景には会社側に何らかの課題が潜んでいることが少なくありません。再発防止のためにも、退職代行が使われやすい職場に共通する原因を理解しておきましょう。
- ハラスメントへの対応が不十分
- 相談窓口が機能していない
- 労働環境への不満が放置されている
- 退職時の引き止めが常態化している
ハラスメントへの対応が不十分
職場でのパワハラ・セクハラなどのハラスメントが放置されている環境では、被害を受けた従業員が「直接退職を伝えたら報復されるかもしれない」と恐れ、退職代行に頼るケースが多く見られます。
会社側がハラスメントの相談を軽視したり、加害者をかばうような対応をとったりしている場合、被害者は会社を信頼できなくなります。退職代行の利用は、ハラスメント対応の不備が表面化したサインとして真剣に受け止める必要があります。
相談窓口が機能していない
相談窓口が形式的に設置されているだけで、実際には機能していないケースも原因の一つです。「相談しても握りつぶされる」「上司に筒抜けになる」といった不信感があると、従業員は悩みを抱えたまま限界まで我慢してしまいます。
退職の意思についても「誰に言えばいいかわからない」「言いにくい雰囲気がある」と感じる職場では、退職代行が唯一の手段になりやすいです。窓口の存在だけでなく、実際に機能しているかを定期的に見直すことが重要です。
労働環境への不満が放置されている
長時間労働・低賃金・過度なノルマなど、労働環境への不満が長期間放置されている職場では、従業員の不満が蓄積し、ある日突然退職代行という形で噴出するケースがあります。
日常的に不満やストレスを抱えていても、「言っても変わらない」という諦めから声を上げられない従業員も多くいるものです。現場の不満を拾い上げる仕組みがないと、退職の兆候を見逃したまま突然の離職につながりやすくなります。
退職時の引き止めが常態化している
過去に退職を申し出た際に、長期間にわたって引き止められた・感情的に責められたという経験が社内に広まっている場合、他の従業員も「直接言えば同じ目に遭う」と退職代行を選ぶようになります。
強引な慰留は一時的に離職を防いでも、従業員の不信感を高めるだけです。退職の意思を示した従業員に対して、引き止めよりも円満な退職手続きを優先する文化を社内に根付かせることが、退職代行の利用を防ぐことにもつながります。
退職代行を使われないために会社側がすべきこと
退職代行への対応策を講じるだけでなく、そもそも使われない職場環境をつくることが根本的な解決策です。今日から取り組める具体的な施策について、見ていきましょう。
- 心理的安全性の高い職場環境をつくる
- 定期的に1on1やアンケートを実施する
- ハラスメント対策と相談窓口を整備する
- 円満退職を前提とした退職フローを整備する
心理的安全性の高い職場環境をつくる
退職代行を使わせない最大の予防策は、従業員が「何でも言える職場」をつくることです。心理的安全性が確保されている職場では、従業員は不満や悩みを抱え込む前に声を上げることができます。
上司が部下の意見を否定せず傾聴する姿勢を持つこと、失敗を責めない文化を醸成することが基本です。経営層・管理職がその姿勢を率先して示すことで、組織全体の雰囲気は変わります。
心理的安全性は一朝一夕では築けませんが、日々のコミュニケーションの積み重ねが退職代行の利用防止にも直結します。
定期的に1on1やアンケートを実施する
従業員の不満や離職意向を早期に把握するために、定期的な1on1面談や従業員アンケートの実施が有効です。
1on1では業務の進捗だけでなく、職場環境や将来のキャリアについて話せる場を設けることが重要です。アンケートは匿名形式にすることで、普段言い出しにくい本音を引き出しやすくなります。
重要なのは、収集した意見を放置せず、改善につなげるアクションを取ることです。「言っても変わらない」という諦めを生まないことが、従業員との信頼関係を維持するうえで欠かせません。
ハラスメント対策と相談窓口を整備する
ハラスメントのない職場環境を実現するには、防止方針の明文化と定期的な研修の実施が不可欠です。管理職だけでなく、全従業員を対象にしたコンプライアンス教育を継続的に行いましょう。
また、相談窓口は設置するだけでなく、実際に機能しているかを定期的に検証することが重要です。相談内容の守秘義務を徹底し、相談者が不利益を受けない仕組みを整えることで、従業員が安心して声を上げられる環境が生まれます。
円満退職を前提とした退職フローを整備する
退職代行の利用を防ぐには、従業員が「直接言っても大丈夫」と思える退職フローを整備することが重要です。退職の申し出を受けた際に感情的な引き止めをせず、本人の意思を尊重したうえで手続きを進めるプロセスを明文化しておきましょう。
退職面談(オフボーディング)を制度化することで、退職理由や職場への不満を把握でき、組織改善にも活かせます。「退職しやすい会社」は一見ネガティブに思えますが、働きやすい職場環境の裏返しでもあります。
従業員の本音×AI分析で本質的な離職対策『HR pentest』
HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。
以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。
- 離職要因の分析の仕方がわからない…
- 退職者の本音の聞き出し方がわからない…
- 課題が不明瞭で施策がわからない…
- 給料が原因だと何もできない…

| 本音を引き出せる | ・イグジットインタビュー研修でスキルUP ・実務を通したトレーニング&フィードバック |
|---|---|
| 解像度の高い面談記録 | ・自動文字起こしでそのまま蓄積 ・AIによる離職要因解析 ・退職者の生の声から課題がわかる |
| 施策につながる | ・定量×定性で効果的に分析 ・在職者からも退職者からも不満を発見 ・高い解像度で課題把握=施策につながる! |
まとめ
本記事では、退職代行を使われた際に会社側がとるべき対応についてまとめました。
退職代行からの連絡は、会社側にとって突然の出来事に感じられますが、適切な対応をとることで無用なトラブルを防ぐことができます。まず業者の種類を確認し、退職意思を尊重したうえで手続きを進めることが基本です。
一方で、退職代行を使われた事実は、職場環境の課題を見直す機会でもあります。ハラスメント対策の強化や相談窓口の整備、円満退職フローの確立など、従業員が安心して働ける組織づくりに取り組むことが、退職代行の利用を防ぐ最大の予防策となります。