2026/08/26
人材育成やる気のない部下との面談における5つのポイント|やる気を引出す声掛けの例も紹介

やる気の低下は、本人の資質の問題として片づけられがちです。しかし、その本質的な原因を知る手がかりは本人しか持っていないため、面談という対話の機会が欠かせません。
本記事では、部下がやる気を失う原因を整理したうえで、面談で押さえるべき5つのポイントと、そのまま使える声かけの例をまとめました。やる気のない部下に見られる特徴、放置した場合のリスクもあわせて解説しますので、明日からの関わり方を見直すきっかけにしてください。
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やる気のない部下との面談が重要な理由
面談は、やる気を失っている原因を本人の言葉から探るための唯一の手段です。日常業務のなかで断片的に部下の様子を見ているだけでは、推測の域を出ず適切な手が打てません。
また、面談の場を設けること自体が「あなたを気にかけている」というメッセージになります。放置されていると感じている部下にとって、上司が時間を取って向き合う姿勢は、それだけで信頼回復のきっかけになり得ます。
原因の把握と関係性の再構築という二つの意味で、面談は欠かせない機会といえるでしょう。
やる気のない部下に見られる特徴
部下のやる気の低下は、ある日突然起こるものではありません。多くの場合、以下のように態度や仕事ぶりに小さな変化が現れ、それが積み重なって表面化します。
| 場面 | 見られる特徴 |
|---|---|
| 業務への取り組み | 最低限の仕事しかせず、自発的な提案や行動が見られない |
| 仕事の質 | ミスが増え、締切に遅れることが多くなる |
| 会議・打ち合わせ | 意見を求められても「特にありません」と応じる |
| 周囲とのやり取り | 必要最小限のコミュニケーションにとどまる |
| 勤怠の様子 | 遅刻や急な休みが増える、定時退社が極端に増減する |
上司が早い段階でサインに気づければ、深刻化する前に対話の機会を持てます。ただし、これらの特徴が見られたからといって、本人に問題があると決めつけるのは禁物です。
あくまで「何かが起きている」というサインとして受け止め、背景を探る姿勢を持ちましょう。
部下がやる気を失ってしまう主な原因
部下のやる気の低下には、必ず背景があります。そして、その多くは職場環境やマネジメントのあり方に根ざしているものです。
面談で本音を引き出す前に、代表的な原因を押さえておきましょう。
- 正当に評価されていないと感じている
- 仕事の意義や目標が見えていない
- 業務量や難易度が適切でない
- 上司や同僚との関係に問題がある
正当に評価されていないと感じている
努力や成果が評価に反映されていないと感じると、部下は「頑張っても意味がない」とやる気を失います。評価そのものが低いことより、評価の基準が不透明であることや、何を評価されたのか説明がないことが不満につながるケースは珍しくありません。
日々の業務で成果を出しても上司から何の反応もない状態が続けば、意欲は確実に削がれます。評価面談の場だけでなく、日常的に良い行動を言葉にして伝えられているかを振り返ってみましょう。
仕事の意義や目標が見えていない
自分の業務が誰の役に立ち、組織のどの成果につながっているのかが見えないと、仕事は単なる作業になります。指示だけを受けて手を動かす日々が続けば、当事者意識は薄れていくものです。
また、目標が抽象的すぎて達成の実感が持てない場合や、逆に高すぎて最初から届かないと感じている場合も、やる気の低下を招きます。業務を依頼する際に背景や目的をあわせて伝えているか、目標の水準は適切かを見直す必要があります。
業務量や難易度が適切でない
業務量が過重で常に余裕がない状態は、心身の疲弊を招き、やる気を奪います。一方で、簡単すぎる業務ばかりを任されている場合も、成長実感が得られず物足りなさから停滞につながります。
一見正反対に見えますが、いずれも「今の任され方が本人に合っていない」という同じ問題です。特に、能力の高い部下ほど負担が偏りやすく、逆に若手は経験不足を理由に挑戦の機会を与えられにくい傾向があります。
上司や同僚との関係に問題がある
職場の人間関係は、仕事への向き合い方を大きく左右します。相談しづらい雰囲気がある、意見を出しても取り合ってもらえない、チーム内で孤立しているといった状況では、やる気を保つのは困難です。
見落としがちなのが、上司自身が原因となっているケースです。忙しさから話を遮る、指示が一方的になるといった態度は、無自覚のうちに部下を萎縮させます。
やる気のない部下との面談における5つのポイント
面談の成否は、当日の話し方だけでなく、事前の準備やその後のフォローまで含めて決まります。部下が本音を語れる場をつくり、次の行動につなげるための5つのポイントを見ていきましょう。
- ①話しやすい環境と雰囲気をつくる
- ②評価や指摘をせず、まず最後まで聴く
- ③本人の言葉で語ってもらう
- ④上司の関わり方について意見を求める
- ⑤次のアクションを一緒に決める
①話しやすい環境と雰囲気をつくる
突然呼び出されると、部下は叱責されるのではないかと身構えてしまいます。数日前までに面談の目的と所要時間を伝え、評価や指導の場ではないことを明示しておきましょう。
当日は、周囲の目が気にならない個室を選び、正面に向き合うより斜めに座るほうが緊張が和らぎます。冒頭からいきなり本題に入らず、日頃の労いや近況の話題から始めることも大切です。
この入り口の設え次第で、本音が出るかどうかが決まります。
②評価や指摘をせず、まず最後まで聴く
面談で最も多い失敗が、上司が話しすぎることです。話す割合は部下が7割、上司が3割を目安にし、聴くことに徹しましょう。
話の途中で「それは違う」と遮ったり、結論を先回りしたりすると、部下は口を閉ざします。たとえ事実誤認や不満が含まれていても、まずは最後まで受け止めてください。
また、沈黙を埋めようとして話し出す必要はありません。考えを整理する時間として、数秒待つ姿勢が本音を引き出します。
③本人の言葉で語ってもらう
「評価に不満があるのだろう」と当たりをつけて尋ねると、部下は否定しづらく、うなずいて終わってしまいます。「最近、仕事のどのあたりに難しさを感じているか」といったオープンな問いかけで、本人が自分の言葉で語れるようにしましょう。
話を聞くなかで、本人も気づいていなかった原因が浮かび上がることは珍しくありません。上司の役割は、答えを言い当てることではなく、部下が考えを整理する手助けをすることです。
④上司の関わり方について意見を求める
「指示で分かりにくいところはないか」「もっとこうしてほしいという要望はあるか」と率直に尋ねてみましょう。上司が自らの改善点を聞く姿勢を見せることで、部下は本気で向き合ってもらえていると感じ、話しやすくなります。
やる気の低下は、上司の関わり方が一因になっているケースも少なくありません。指摘を受けたときは弁明せず、まず感謝を伝えるのが望ましいでしょう。
⑤次のアクションを一緒に決める
面談を一度実施しただけで状況が変わることは、ほとんどありません。話を聞いて終わりにせず、明日から何を変えるかを一緒に決めましょう。
このとき、上司が一方的に指示するのではなく、本人が実行できる小さな目標を自ら選べるようにすることが大切です。日常でも進捗に触れて声をかけ、継続して関心を寄せていることを行動で示すことが欠かせません。
やる気のない部下との面談で使える声かけの例
同じことを尋ねるにも、言い方ひとつで部下の受け取り方は変わります。面談の流れに沿って、そのまま使える声かけの例を、場面毎に分けて見ていきましょう。
- 面談の冒頭で緊張をほぐす声かけ
- 現状や気持ちを引き出す声かけ
- 話を深掘りする声かけ
- 上司自身への意見を求める声かけ
- 次の行動につなげる声かけ
面談の冒頭で緊張をほぐす声かけ
部下は「何か問題があったのだろうか」と身構えて面談に臨んでいます。まずは評価や指導の場ではないことを言葉にして伝え、警戒を解くところから始めましょう。
いきなり本題に入らず、日頃の労いや近況の話題といったアイスブレイクを挟むことで、会話の温度が上がります。「時間を取らせて悪いね」と切り出すと業務の一環という印象が強まるため、あくまで話を聞きたくて場を設けたという姿勢を示すことが大切です。
現状や気持ちを引き出す声かけ
「なぜやる気が出ないのか」と直接尋ねると詰問に聞こえ、部下は言い訳を探すことになります。やる気という言葉を使わず、仕事の手応えや負担感という切り口から尋ねるほうが答えやすくなります。
答えの幅を狭めない問いかけを心がけ、本人が自分のペースで語れるようにしましょう。返答に時間がかかっても、急かさず待つ姿勢が本音を引き出します。
話を深掘りする声かけ
部下が話し始めたら、その流れを止めないことが重要です。不満や事実誤認が含まれていても、まずは受け止めてください。
相づちを打ちながら、相手の言葉を言い換えて返すと、理解されているという安心感が生まれます。さらに一歩踏み込みたい場面では、具体的な場面を思い出してもらう問いかけが有効です。
上司自身への意見を求める声かけ
やる気の低下は、上司の関わり方が一因になっていることも少なくありません。自分の改善点を率直に尋ねることで、部下は本気で向き合ってもらえていると感じます。
指摘を受けたときは弁明せず、まず感謝を伝えてください。答えにくそうであれば、「言いにくいと思うけれど」と前置きを添えると、口を開いてもらいやすくなります。
次の行動につなげる声かけ
面談を行うだけで終わらせず、明日から何を変えるかを一緒に決めましょう。
上司が一方的に指示を出すと、やらされ感が残ります。本人が実行できそうなことを自ら選べるよう、選択肢を示して委ねる形が効果的です。
あわせて次回の面談日程もその場で決めておくと、継続的に関わる姿勢が伝わります。
やる気のない部下を放置するリスク
対応を先送りにしても、状況が自然に好転することはまずありません。やる気のない部下の放置がもたらす影響を確認しておきましょう。
- 本人の離職につながる
- 周囲にやる気の低下が伝染する
- 上司のマネジメント能力が問われる
本人の離職につながる
やる気の低下は、離職の予兆であるケースが少なくありません。声をかけられないまま時間が過ぎると、部下は「自分は期待されていない」と受け取り、上司や会社への期待を失っていきます。
採用や育成にかけたコストを考えれば、損失は決して小さくありません。変化に気づいた時点で対話の機会を持つことが、結果的に最も確実な引き止めになります。
周囲にやる気の低下が伝染する
消極的な態度は、想像以上に周囲へ伝染します。さらに深刻なのが、業務のしわ寄せが真面目に取り組む社員に集中することです。
同じ給与で負担だけが増える状況が続けば、「頑張っても報われない」という不公平感が広がります。加えて、上司が何も手を打たない姿勢を見せることで、周囲は「この職場では相談しても無駄だ」と学習してしまいます。
結果として、意欲の高いメンバーから先に辞めていくという、避けたい連鎖を招きかねません。
上司のマネジメント能力が問われる
部下の変化に気づかない、あるいは気づいても手を打たない状態は、上司自身の評価に跳ね返ります。チームの成果が落ちれば当然責任を問われますし、離職者が続けば管理体制そのものを疑われることになるでしょう。
それ以上に大きいのが、周囲からの信頼の低下です。「あの人に相談しても動いてくれない」という認識が広まれば、他のメンバーも本音を話さなくなります。
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まとめ
本記事では、部下がやる気を失う原因を整理したうえで、面談で押さえるべき5つのポイントと、そのまま使える声かけの例をまとめました。
部下のやる気の低下には必ず背景があり、その多くは評価や業務内容、人間関係といった環境側の要因に根ざしています。面談では原因を決めつけず、部下が自分の言葉で語れる場をつくることが何より大切です。
本記事で紹介した声かけの例を参考に、まずは話を聴くところから始めてみてください。一度で状況が変わることはありませんが、継続的に関わる姿勢そのものが、部下の意欲を取り戻す土台になります。































