HR pentest

玉突き人事とは?原因や対策を押さえて不満・退職を防止

玉突き人事を、望んで行っている人事担当者はいないはずです。それでも欠員が出れば誰かを充てざるを得ず、その異動がまた別の欠員を生んでしまいます。

本記事では、玉突き人事の意味やメリット・デメリット、発生する原因、対象に選ばれやすい人の特徴、防止のための対策までを解説します。玉突き人事による不満は離職リスクやモチベーション低下を招くため、早期に対策を講じましょう。

人事面談の業務負荷にお悩みの方へ

膨大な議事録作成や課題の分析、フォローアップなど、人事面談における様々な業務負荷が伴うもの。

HR pentestなら、音声を録音するだけで高精度に議事録を作成。収集したデータのAI分析やフォローアップの一元管理も可能です。1on1や評価面談、キャリア面談といった、あらゆる人事面談の最適化を実現します。

  • チェック 高精度な面談記録を自動作成
  • チェック 自然言語AIを用いたデータ分析
  • チェック 対話のエッセンスを凝縮した面談研修
  • … And More
HR pentest管理画面

玉突き人事とは?意味について

玉突き人事とは、ある一人の異動や退職によって生じた欠員を埋めるために、連鎖的に複数の人事異動が発生することを指します。ビリヤードの玉が次の玉を突き動かすように、一つの欠員が別の欠員を生み出していく状態です。

【玉突き人事が連鎖する流れの例】

段階出来事新たに生じる欠員
起点営業部の課長が退職営業部・課長ポスト
一次営業部の係長を課長に昇格営業部・係長ポスト
二次管理部の主任を営業部係長へ異動管理部・主任ポスト
三次他部署からの異動または採用で補充

育成や適材適所を目的として計画的に行われる通常のジョブローテーションとは異なり、玉突き人事は「空いたポストを埋めること」が起点となる受動的な異動です。そのため異動者本人のキャリア希望や適性が考慮されにくく、現場の不満が生まれやすくなっています。

玉突き人事がもたらすメリット・デメリット

玉突き人事は組織にとって一定のメリットがあります。一方で、異動者の納得感を得にくく、放置すれば退職の連鎖を招くリスクも抱えています。

玉突き人事が具体的にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか、両面を整理しておきましょう。

玉突き人事がもたらすメリット

①業務の停滞を抑えられる

玉突き人事の最大のメリットは、欠員が生じたポストを速やかに補充できることです。

外部から人材を採用する場合、求人の掲載から選考、入社までに数か月を要するケースも珍しくありません。その間、責任者不在のまま現場が回らなくなれば、意思決定の遅れや顧客対応の質の低下につながります。

社内異動であれば、自社の業務や文化を理解した人材を即座に配置できるため、業務が止まるリスクを最小限に抑えられます。

②採用コストを抑制できる

社内人材の登用によって、外部採用にかかる費用と手間を削減できる点もメリットです。加えて、入社後の研修や業務理解にかかる時間も無視できません。

既存社員の異動であれば、こうした採用コストが不要になるうえ、社内の人間関係やルールを把握している分、立ち上がりも早くなります。人員に余裕のない企業にとっては、限られた原資を有効に使う手段となります。

③若手や中堅の昇格機会の創出

上位ポストに空きが生まれることで、本来はまだ順番が回ってこなかった若手や中堅社員に昇格のチャンスが生じます。年功的な運用が根付いた組織では、実力があっても長く同じ役職にとどまるケースが少なくありません。

玉突き人事はその停滞を動かすきっかけになり、抜擢された社員にとっては早期に責任ある仕事を経験できる機会となります。ただしこの効果は、あくまで適切な人選と支援があって初めて成立します。

玉突き人事に伴うデメリット

①異動者のモチベーションが低下する

玉突き人事は「ポストを埋めること」が起点となるため、異動者本人の希望やキャリアプランが後回しにされがちです。取り組んできた業務を途中で手放すことになれば、成果が積み上がらないもどかしさが残ります。

また、内示から異動日までの期間が短く、納得する時間すら与えられないケースも少なくありません。「自分は都合よく動かされる存在なのか」という感覚は、仕事への意欲を確実に削ります。

昇格を伴う異動であっても、望まない職務内容であればモチベーション低下は起こり得る点に注意が必要です。

②適性のミスマッチが複数箇所で同時発生

玉突き人事では一つの欠員が連鎖して複数の異動を生むため、ミスマッチも同時に複数箇所で発生するリスクを抱えます。

ポストの充足が優先されると、「空いている枠に動かせる人」という基準で人選が進み、能力や志向との適合性は二の次になりがちです。結果として、営業に強みを持つ人材が管理業務に苦しむ、といったずれが各部署で同時に起こります。

個別の異動であれば軌道修正も可能ですが、連鎖した異動では影響範囲を把握しきれず、組織全体のパフォーマンス低下として表れます。

③異動先にも負担が生じる

玉突き人事の影響を受けるのは、異動者だけではありません。受け入れる側の部署も、業務の説明や指導に時間を割く必要があり、既存メンバーの通常業務が圧迫されます。

特に前任者の退職と重なった場合、引き継ぎが不十分なまま新任者を迎えることになり、周囲が知識の穴を埋めながら支える状況に陥りがちです。加えて、上司が代わればチーム内の関係性や進め方の再構築も避けられません。

玉突き人事のコストは、連鎖した部署の数だけ広がっていくと捉えておく必要があります。

④不満が募って退職を招く

最も注意すべきは、蓄積した不満が退職につながり、新たな玉突き人事を引き起こす悪循環です。納得のいかない異動が繰り返されれば、社員は「この会社では自分のキャリアを描けない」と判断します。

しかも異動は特定の人に偏りやすく、不公平感が不満をさらに増幅させます。この連鎖が続けば、人事への信頼は失われ、組織の人員構成そのものが不安定になるため要注意です。

玉突き人事が発生する原因

玉突き人事が起きると、現場からは「誰が悪いのか」という声が上がりがちです。しかし責任の所在を探る前に、まず押さえておきたいのが発生の構造です。

玉突き人事が発生してしまう、代表的な原因を見ていきましょう。

  • 予期せぬ退職や休職の発生
  • 欠員を吸収できる人員の余力がない
  • 後任が育っておらず事後対応になっている

予期せぬ退職や休職の発生

玉突き人事の直接的な引き金となるのが、計画外の欠員です。自己都合退職はもちろん、産前産後休業や育児休業、病気やけがによる長期休職など、発生時期を企業側がコントロールできないケースは少なくありません。

特に管理職や特定業務の担当者が抜けた場合、そのポストを空席のままにしておくことは難しく、誰かを充てる必要が生じます。社内から人材を動かす判断をした時点で新たな欠員が生まれ、連鎖が始まります。

欠員の発生自体を完全に防ぐことはできないため、起きた後にどう対応できるかが分かれ目です。

欠員を吸収できる人員の余力がない

同じ欠員が生じても、玉突き人事に発展する企業とそうでない企業があります。その差を生む要因の一つが人員の余力です。

各部署が常に手一杯の状態で回っている組織では、1名分の業務を残ったメンバーで一時的にカバーすることができず、他部署から人を移すしか選択肢がありません。加えて採用市場の逼迫により、外部からの補充には数か月を要するのが実情です。

その空白を社内の異動で埋めれば、今度は異動元に欠員が生じ、連鎖が次々と広がっていきます。

後任が育っておらず事後対応になっている

ポストが空いてから後任を探し始める、いわゆる事後対応も連鎖を招く原因です。特に管理職は担える人材が限られるため、自部署に候補がいなければ他部署から引き抜くほかありません。

後継者計画(サクセッションプラン)が整備されておらず、誰がどのポストを継ぐのかが決まっていない組織ほど、この傾向は強くなります。結果として、本来動かす必要のなかった人材まで巻き込む形で異動の範囲が広がり、規模が大きくなるほど現場の混乱も深まります。

玉突き人事の対象に選ばれやすい人の特徴

玉突き人事で異動の対象に選ばれやすい人の特徴は、人事が無自覚に使っている選定基準でもあります。「なぜこの人が選ばれたのか」を言語化することが、偏りのない人事異動への第一歩です。

  • 優秀で幅広い業務に対応できる人
  • 業務の属人性が低く引き継ぎしやすい人
  • 若手や単身者など調整しやすい人

優秀で幅広い業務に対応できる人

玉突き人事の対象になりやすいのは、周囲からの評価が高い人材です。

人員が抜けた部署を立て直すには、業務の習得が早く、どこに配置しても一定の成果を出せる人を充てるのが最も確実だからです。その結果、優秀な社員ほど欠員のたびに声がかかり、繰り返し異動を経験することになります。

しかし本人にとっては、専門性を積み上げる機会を都度断たれることを意味します。

業務の属人性が低く引き継ぎしやすい人

担当業務が標準化されており、他のメンバーでも代替できる状態にある人も対象になりやすい傾向があります。異動元の部署としては、抜けても業務が回る見込みが立つため、送り出すことへの抵抗が小さくなるためです。

ただしこれは、マニュアルを整備し、周囲に業務を共有してきた社員ほど動かされやすいことを意味します。組織にとって望ましい行動をとった人が異動の対象になるのであれば、標準化の取り組み自体が進まなくなりかねません。

若手や単身者など調整しやすい人

一度打診を受け入れた社員は、次の欠員が生じた際にも候補として名前が挙がりやすくなります。人選を進める側からすれば、断られる可能性が低く、調整の負担が小さいと見込めるためです。

しかし前回の受諾は、必ずしも本人が納得していたことを意味しません。会社の事情を汲んで引き受けた結果、「断らない人」として扱われるようになれば、協力的な姿勢を示した社員ほど負担が偏る構図が生まれます。

「なぜいつも自分なのか」という不満は、こうした人選の積み重ねから生じます。

玉突き人事を防止するための対策

玉突き人事の多くは、欠員が出てから慌てて対応することで規模が広がりますが、裏を返せば事前の準備によって連鎖は抑えられます。どのような対策が有効なのか、施策の具体例を見ていきましょう。

  • 退職・休職の予兆を早期に把握する
  • 要員計画を見直し採用を前倒しする
  • 後継者計画を整備する
  • 社員のスキルと異動希望を可視化する

退職・休職の予兆を早期に把握する

玉突き人事の起点となる欠員は完全には防げませんが、兆候を早く掴めれば準備期間を確保できます。退職の意思表示を受けてから動き始めると、後任の検討に十分な時間を割けず、その場しのぎの異動につながりやすくなります。

日頃から社員の状態を把握し、不調や不満の段階で対話できていれば、離職そのものを防げる可能性もあります。まずは現場任せにせず、人事として情報が集まる仕組みを整えることが出発点です。

具体的な施策の例
  • 1on1を月1回程度の頻度で定例化する
  • 従業員サーベイを定期的に実施する
  • 残業時間や有給休暇の取得状況をモニタリングする
  • 退職面談で得た理由を蓄積し、傾向を分析する

要員計画を見直し採用を前倒しする

欠員が出るたびに社内で人を動かす状態から抜け出すには、人員配置そのものに余力を持たせる必要があります。各部署が常に手一杯であれば、1名の欠員が必ず他部署への波及を招くためです。

また、採用に数か月かかることを前提とすれば、欠員が確定してから募集を始めるのでは間に合いません。定年退職や産休・育休など予測できる欠員は計画に織り込み、先回りして動く体制を作りましょう。

具体的な施策の例
  • 部署毎に業務量と必要人員を棚卸しする
  • 定年退職や育休取得の予定を要員計画に反映する
  • 通年採用に切り替え、応募者を人材プールとして蓄積しておく
  • 繁忙期を避けた採用スケジュールを組み、選考の質を確保する

後継者計画を整備する

ポストが空いてから後任を探す状態を改めることで、異動の連鎖は大幅に抑えられます。特に管理職は担える人材が限られるため、候補が育っていなければ他部署から引き抜くことになり、玉突き人事の規模が広がります。

誰がどのポストを継ぐのかをあらかじめ描き、必要なスキルと育成期間を逆算しておけば、欠員が生じても自部署内で対応できる可能性が高まります。候補は1名に絞らず、複線で用意しておくことが重要です。

具体的な施策の例
  • 主要ポストごとに後任候補を複数名リストアップする
  • 副担当や代行者を置き、日常的に上位業務を経験させる
  • 管理職候補向けの研修や、段階的な権限委譲を実施する
  • 計画は年1回を目安に見直し、組織や人員の変化を反映する

社員のスキルと異動希望を可視化する

人材情報が整理されていなければ、人選は「動かしやすい人」を基準に進みがちです。誰がどのような経験を積み、今後どの方向に進みたいのかが分かっていれば、欠員が生じた際も適性に基づいた配置を検討できます。

あわせて異動の履歴を記録しておくことで、特定の社員に負担が偏っていないかを確認できます。とりわけ、過去に打診を受け入れた社員が繰り返し対象になっていないかは、意識的に点検したい点です。

具体的な施策の例
  • スキルや職務経歴を一元管理し、部署を横断して検索できる状態にする
  • 年1〜2回のキャリア面談で、本人の希望を定期的に収集する
  • 異動履歴を記録し、同一社員への偏りが生じていないか点検する
  • 社内公募制度を設け、本人の意思による異動の割合を増やす

現場の本音×AI分析で人材投資を最適化『HR pentest』

HR pentestは、従業員アンケート×人事面談×AIで人材投資の最適化をサポートするツールです。

人的資本施策を成功させるには、人事面談や退職面談などで得た定性データの活用が必要不可欠です。HR pentestは独自のテクノロジーとノウハウで、従業員の声を活用した課題の因果関係解明を実現します。

以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。

  • 議事録作成に膨大な時間がかかる…
  • 年間100件以上の面談がある…
  • 面談をその後の改善に活かせていない…
議事録自動作成×AI分析で人事に従業員の声を反映
業務効率化・高度化・面談記録の自動生成
・フォローアップ管理
・面談品質レポート
・従業員アンケート(二次元コード、メール)
データ活用・従業員アンケートレポート
・インタビュー帳票/レポート
・コンディションレポート(β)
セキュリティ・2要素認証
・柔軟な権限設定
・各種エンタープライズ向けセキュリティ対策
資料請求はこちら

まとめ

本記事では、玉突き人事の意味やメリット・デメリット、発生する原因、対象に選ばれやすい人の特徴、防止のための対策までを解説しました。

玉突き人事は、欠員を素早く埋められる一方で、異動者の納得感を得にくく、退職の連鎖を招くリスクを抱えています。引き金となる退職や休職を防ぎきることはできませんが、人員の余力と後任候補が用意できていれば、連鎖の規模は大きく変わります。

また、優秀な社員や過去に異動を受け入れた社員など、特定の人に偏っていないかの点検も欠かせません。個人の判断ミスではなく組織の課題として、要員計画と後継者計画の見直しから着手しましょう。

\この記事をシェアする/

この記事を書いた人

AME&Company編集部

AME&Company
編集部

AME&Company編集部では、人事労務やマネジメントに関するお役立ち情報を発信しています。

【AME&Company株式会社について】
「うまくできるを仕組みにする」をパーパスに、挑戦するヒト・企業が抱えるお悩みをテクノロジーで解決する会社です。

Case study

HR pentestの活用シーン

AI議事録トライアルキャンペーン開催中
デモ動画を見る