2025/02/12
人材育成バーンアウトとは?燃え尽き症候群の原因や前兆、対策について解説

働き方改革や仕事の多様化が進む一方で、過度な労働や精神的な負担が原因となり、バーンアウトに悩む人が増えています。バーンアウトは単なる疲労感とは異なり、精神的・肉体的なエネルギーが枯渇し、仕事や生活に対する意欲を失う深刻な状態です。
本記事では、バーンアウトの原因や症状について解説しています。職場内のバーンアウトを未然に予防するための対策や燃え尽きる前の前兆、立ち直り方についてもまとめていますので、ぜひお役立てください。
従業員の心身の健康を守るために企業ができる対策について理解を深め、効果的な方法を実践しましょう。
バーンアウト(燃え尽き症候群 )とは?症状やプロセスについて
バーンアウトとは、物事に熱心に取り組んでいた人が、まるで燃え尽きたようにやる気を失ってしまう状態を指します。日本語では燃え尽き症候群と呼ばれ、国内でも多くの人がこの状態に陥った経験があると言われています。
個人差はありますが、バーンアウトの回復期間は平均で3ヶ月半と言われており、一度発症してしまうと立ち直るまでに長期的な期間が必要です。さらに、バーンアウトから離職につながるケースも少なくありませんので、企業は予防や対策が求められるでしょう。
まずはバーンアウトについて、以下の3点から詳しく見ていきましょう。
- バーンアウトの代表的な3つの症状
- バーンアウトに陥るプロセス
- バーンアウトとうつ病との違い
バーンアウトの代表的な3つの症状
1.情緒的消耗感
バーンアウトの代表的な症状の一つが情緒的消耗感です。これは、精神的なエネルギーが枯渇し、強い疲労感や無気力を感じる状態を指します。
仕事や人間関係に対する意欲が低下し、どれだけ休息を取っても回復しにくくなります。特に、対人支援職や高い責任を伴う業務に従事する人が感じやすく、ストレスが蓄積すると、うつ状態に陥ることもあるため要注意です。
2.脱人格化
脱人格化とは、他者に対して冷淡になったり、共感することが難しくなる状態を指します。仕事上の顧客や同僚に対して無関心になり、機械的な対応を取るようになることが特徴です。
本来ならば大切にすべき人間関係や仕事への誇りを失い、苛立ちや皮肉っぽい態度をとることも増えます。この症状が進行すると職場での孤立が深まり、業務パフォーマンスの低下にもつながるため、早めの対策が求められます。
3.個人的達成感の低下
個人的達成感の低下は、自分の仕事に対する満足感や自信がなくなり、努力しても成果を感じられなくなる状態です。以前はやりがいを感じていた業務が無意味に思えたり、自分の能力に対する疑念が生じたりします。
この状態が続くと、自己評価が下がり、仕事へのモチベーションが低下するだけでなく、離職のリスクも高まります。
バーンアウトに陥るプロセス
バーンアウトに陥るプロセスは、最初は意欲的に働くことから始まります。特に責任感が強く、仕事に情熱を持つ人ほど、無理をして長時間労働を続けがちです。
しかし、休息を十分に取らずに働き続けると、精神的・肉体的な疲労が蓄積し、ストレス耐性が低下していきます。次第に、仕事への興味ややりがいを感じにくくなり、同僚や顧客に対して冷淡な態度を取るようになることも少なくありません。
さらに、努力しても成果が得られないと感じることで、自己評価が低下し、モチベーションを完全に失ってしまいます。最終的には、無気力になって仕事への適応が難しくなり、社会的な孤立に陥ることもあるでしょう。
バーンアウトとうつ病との違い
バーンアウトとうつ病は似た症状を持ちますが、原因や発症の仕組みに違いがあると言われています。
バーンアウトは主に仕事の過労やストレスが原因で発生し、特定の職務や環境に対する情緒的疲弊が特徴です。一方、うつ病は仕事に限らず、家庭環境や遺伝的要因など複合的な原因で発症し、全般的な気分の落ち込みが続きます。
バーンアウト(燃え尽き症候群 )の主な原因
バーンアウトに陥ってしまう主な原因には、個人要因・環境要因の2つがあると考えられています。それぞれの要因について、具体例を交えて解説していきます。
個人要因
バーンアウトは、個人の性格や行動パターンによっても引き起こされることがあります。特に、完璧主義や責任感が強い人ほど、自分を追い込みやすく、過度なストレスを抱えやすい傾向があるため要注意です。
環境要因
職場環境や業務内容もバーンアウトの大きな要因となります。働く環境が過酷であったり、人間関係が悪い場合、ストレスが増大し、心身の疲弊を招きやすくなるでしょう。
バーンアウト(燃え尽き症候群 )の4つの前兆
バーンアウトの前兆を事前に察知できれば、症状がより進行してしまう前に適切な対策を講じられる可能性が高まります。自社の従業員のバーンアウトを対策するためにも、以下の4つの前兆について詳しく見ていきましょう。
- 充分に休んでも疲れが取れない
- 集中力が低下してミスが増える
- コミュニケーションを避けがちになる
- 自己評価が下がって無力感を感じる
充分に休んでも疲れが取れない
バーンアウトの初期段階では、どれだけ休息を取っても疲労感が抜けない状態が続きます。
以前は一晩眠れば回復していた疲れが、常に残っているように感じ、朝起きるのも辛くなることがあります。また、休日にしっかり休んでも体が重く、倦怠感が続くのが特徴です。
この慢性的な疲労は、心身のエネルギーが枯渇している前兆であり、無理に働き続けるとさらに悪化する可能性があります。
集中力が低下してミスが増える
バーンアウトが進行すると集中力が持続せず、業務効率が低下します。
今まで問題なくこなしていた仕事でも、小さなミスが増えたり、納期に間に合わなくなったりすることがあります。また、会議や資料作成の際に思考がまとまらず、アイデアが浮かびにくくなることもあるでしょう。
集中力の低下が続くと、さらに仕事への自信を失う悪循環に陥るため、前兆に気がついたら適度に休憩を取りながら業務を進めることが大切です。
コミュニケーションを避けがちになる
バーンアウトの前兆として、周囲の人との関わりを避けるようになることもあります。
職場の同僚や上司との会話が煩わしく感じたり、メールの返信を後回しにすることが増えたりします。また、顧客対応などの対人業務にストレスを感じ、必要最低限のやり取りしかしなくなることも特徴です。
次第に職場での孤立感が強まり、より一層ストレスを感じやすくなります。
自己評価が下がって無力感を感じる
「自分は役に立たない」「頑張っても意味がない」と感じることが増えると、バーンアウトの前兆と思われます。
以前は達成感を得ていた業務でも、やりがいを感じられなくなり、努力しても報われないという思いが強まります。この状態が続くと、仕事に対するモチベーションが著しく低下し、最終的には退職を考えるケースも珍しくありません。
バーンアウト(燃え尽き症候群 )を予防するための対策
前述のとおり、バーンアウトは個人の問題だけでなく、職場環境が起因して発症する場合もあります。適切な対策を講じることでバーンアウトを予防できる可能性が高まりますので、具体的な施策例を見ていきましょう。
- 適切な業務量を設定して長時間労働を防ぐ
- 定期的に面談を実施して従業員の状態を把握する
- 柔軟な働き方を導入してワークライフバランスを促進する
メンタルヘルス支援制度を整備する - 職場の人間関係を良好に保つための環境作りを行う
適切な業務量を設定して長時間労働を防ぐ
長時間労働が常態化すると、従業員の心身に負担がかかり、バーンアウトのリスクが高まります。そのため、適切な業務量を設定し、過度な負担がかからないよう管理することが重要です。
業務の進捗を定期的に確認し、必要に応じてタスクの見直しや再配分を行うことで、従業員の負担を軽減できます。また、時間外労働を減らすために業務効率を向上させるツールやシステムを導入するのも効果的です。
定期的に面談を実施して従業員の状態を把握する
バーンアウトの兆候を早期に察知するためには、定期的な面談が有効です。
1on1ミーティング等の個別面談を通じて業務の負担感を把握し、必要なサポートを提供することで、従業員のメンタルヘルスを守ることができます。特に、上司と部下の信頼関係を築くことが重要であり、気軽に相談できる環境を整えることが求められます。
また、社内アンケートやストレスチェックを活用することで、組織全体の状態を把握し、適切な対策を講じることも有効でしょう。
柔軟な働き方を導入してワークライフバランスを促進する
ワークライフバランスの乱れは、バーンアウトの大きな要因となります。テレワークやフレックスタイム制度を導入し、従業員が自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働ける環境を整えることが重要です。
また、有給休暇の取得を促進し、適切な休息を取れる仕組みを整えることで、心身の健康維持につながります。企業文化として”休むことの重要性”を浸透させることも欠かせません。
働きやすい環境を提供することで、従業員のモチベーション向上と生産性の向上が期待できます。
メンタルヘルス支援制度を整備する
従業員のメンタルヘルスを守るために、適切な支援制度を導入することが不可欠です。
社内カウンセリング制度や外部の専門機関と連携した相談窓口を設置することで、従業員が早い段階で悩みを相談できる体制を整えます。また、ストレスマネジメント研修を実施し、従業員自身がストレス対処法を学べる機会を提供するのも効果的です。
企業が従業員の健康を大切にする姿勢を示すことで、安心して働ける職場環境が生まれ、組織全体の活力向上につながります。
職場の人間関係を良好に保つための環境作りを行う
バーンアウトを予防するためには、職場内の円滑なコミュニケーションを促進することも効果的です。具体的には、チームビルディング活動や社内イベントの開催などが考えられるでしょう。
また、オープンな企業文化を醸成し、従業員が意見を言いやすい環境を作ることも大切です。ハラスメント防止対策を徹底し、誰もが安心して働ける環境を整えることで、従業員の精神的な負担を軽減し、バーンアウトのリスクを低減できます。
バーンアウト(燃え尽き症候群 )からの立ち直り方は?
もしもバーンアウトになってしまった時に備えて、回復に向かうためのポイントも押さえておきましょう。どのようにして回復を図るのか、代表的な方法を解説していきます。
- 十分な休息を取って心身の回復を図る
- 専門家のサポートを受ける
- 働き方や生活習慣を見直す
十分な休息を取って心身の回復を図る
バーンアウトから立ち直るためには、まずは十分な休息を取ることが不可欠です。
心身の疲労が蓄積しきっている状態では、無理に働き続けることが回復を遅らせます。休養を最優先し、できる限り仕事を一時的に離れ、リラックスできる時間を持つことが大切です。
質の良い睡眠を確保し、食事や運動を見直すことで、体力と精神力を回復させましょう。また、自然と触れ合うことや趣味の時間を持つことで、心の疲れも癒され、再び前向きな気持ちを取り戻すことができます。
休息期間中に無理に仕事をしないことが、再発を防ぐ鍵となります。
専門家のサポートを受ける
バーンアウトからの回復には、専門家のサポートが非常に重要です。
心理的な負担を一人で抱え込むことは、状況を悪化させる可能性があります。カウンセリングやメンタルヘルスの専門家によるサポートを受けて、適切な対処方法を相談しましょう。
一人で解決しようとせず、支援を求めることが回復への第一歩です。
働き方や生活習慣を見直す
バーンアウトを予防し、再発を防ぐためには、働き方や生活習慣を根本から見直すことが大切です。
過度な労働時間や責任感が原因であった場合、仕事の量や内容を調整し、適切な休息と仕事のバランスを取ることが重要です。また、毎日の食事や睡眠時間の管理に加えて、適度な運動も取り入れ、心身の健康をサポートする習慣を作りましょう。
持続可能な働き方を実現することが、バーンアウトを未然に防ぐ第一歩となります。
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まとめ
本記事では、バーンアウトの原因や症状、未然に予防するための対策、燃え尽きる前の前兆、立ち直り方について解説しました。
バーンアウト(燃え尽き症候群)は、過度なストレスや働きすぎが原因で起こる深刻な問題ですが、早期に対処することで予防できる可能性が高まります。業務の過剰負担を避け、適切な休息を取ることや、専門家のサポートを受けることが回復への第一歩となるでしょう。
また、働き方や生活習慣を見直し、心身の健康を意識的に保つことが、再発を防ぐためには欠かせません。個人だけでなく、企業としても従業員のメンタルヘルスを支援する体制を整えることが求められます。
バーンアウトを防ぎ、持続可能な働き方を実現するためには、日々の対策が重要です。