2025/06/29
人材育成MBO面談とは?やり方や話すこと、目標管理のポイントもわかりやすく解説

従業員一人ひとりの成長と組織の成果を両立させるために、多くの企業で導入されているのがMBO面談です。しかし、定期的に行われるMBO面談に対して、課題感や苦手意識を持っている人も少なくありません。
本記事では、MBO面談の基本的な流れや目標管理のポイントについて、わかりやすく解説しています。MBO面談のやり方や進め方、面談で話すこと、注意点についてもまとめました。
これからMBO面談を導入される方はもちろん、面談の質を高めたい方もぜひ参考にしてください。
MBO面談とは?
まずはMBO面談の概要と、基本的な流れについて詳しく見ていきましょう。
MBO面談の概要
MBO面談とは、「Management by Objectives(目標による管理)」という考え方に基づいて行われる面談のことです。具体的には、上司と部下が1対1で話し合い、個人の業務目標を設定・共有することで、組織全体の目標達成につなげていくための面談を指します。
MBO面談は、主に期初の「目標設定面談」と期末の「評価面談」に分かれ、それぞれの時期に応じて役割が異なります。
目標設定面談 | 部下が自律的に目標を設定し、上司が方向性や達成可能性をすり合わせる |
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評価面談 | 目標達成度を振り返りながら成果や課題を共有し、フィードバックを行う |
どちらも業績向上やモチベーション維持、納得感ある人事評価の実現において、重要な位置づけを持つ面談です。
MBO面談の流れ
MBO面談は、目標の設定から振り返りまでの一連のプロセスを通じて、部下の成長と組織の成果を両立させるための仕組みです。一般的には期初・中間・期末といった節目ごとに行われます。
それぞれのタイミングで目的が異なるため、明確なステップに沿って実施することが欠かせません。
MBO面談を実施する目的
MBO面談を成功させるためには、実施する目的を明確にしておくことが重要です。目標設定面談・評価面談それぞれの目的について、詳しく見てきましょう。
目標設定面談の目的
目標設定面談の目的は、期初に部下と上司が話し合い、業務上の目標を明確に定めることにあります。組織の方針やチームの目標と連動しながら、個々の業務内容や成長課題を踏まえた目標を設定することで、仕事への意欲や責任感を高める狙いがあります。
また、目標を上司と合意形成することで、部下は自身の業務の優先順位や成果の基準を明確に理解できるでしょう。これにより、日々の業務が組織全体の成果にどう貢献しているかを実感しやすくなり、モチベーション向上にもつながります。
評価面談の目的
評価面談の目的は、期末に部下が設定した目標に対してどのような成果を上げたかを振り返り、成長や課題をフィードバックすることです。単に成果を評価するだけでなく、取り組みの過程や努力の質も含めて、上司と対話しながら納得感のある評価を行うことが求められるでしょう。
また、評価面談は本人の強みや改善点を言語化し、次の成長機会を見出す貴重な機会でもあります。適切なフィードバックによって、自分の業務姿勢やスキルを再認識し、次期の目標設定にも前向きに取り組む土台が築かれます。
MBO面談(目標設定面談)のやり方とポイント
目標設定におけるMBO面談の主な流れは以下のとおりです。
- 事前準備:会社方針と部下の業務内容を整理する
- 自己目標のたたき台を部下に用意させる
- 上司と部下で目標内容をすり合わせる
- 具体的な数値・行動で目標を明確化する
- 目標の妥当性を確認し、文書化・合意する
それぞれのステップにおける具体的なやり方と、成功させるためのポイントについて見ていきましょう。
1.事前準備:組織の方針と部下の業務内容を整理する
目標設定面談の前には、組織全体の方針や部署の目標を把握しておくことが重要です。上司は、会社の戦略や数値目標を部下に適切に落とし込む役割を担います。
また、部下の業務内容や得意分野、過去の成果を整理することで、現実的かつ納得感のある目標設定が可能になります。ポイントは、上位方針を意識した上で、個々の役割に即した目標の土台を考えることです。
2.自己目標のたたき台を部下に用意させる
部下自身に目標のたたき台を考えさせることで、主体性を引き出すことができます。上司は事前に目標のフォーマットや例を共有し、自ら考える余地を与えましょう。
この段階で部下の思考の方向性やモチベーションの有無も把握できます。ポイントは、上司が最初から正解を与えず、部下に考えさせる姿勢を促すことです。
3.上司と部下で目標内容をすり合わせる
目標の方向性や難易度、達成手段について、MBO面談の場で丁寧に話し合いましょう。部下の意見や考えを尊重しつつ、組織の方向性と矛盾がないよう調整することが重要です。
一方的な押し付けではなく、対話を通じて合意形成を図ることが成功のカギとなります。コツは、対等な立場で納得感を重視したコミュニケーションを行うことです。
4.具体的な数値・行動で目標を明確化する
目標は具体的で測定可能な内容で設定しましょう。
たとえば「売上を伸ばす」ではなく、「〇月までに売上を前年比120%にする」といった定量的な表現にします。行動目標も、「顧客訪問を週3回実施する」など、日常業務に落とし込めるレベルで記載することが効果的です。
成功のポイントは、SMARTの原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)に沿って目標を設計することです。
5.目標の妥当性を確認し、文書化・合意する
設定した目標が実現可能であり、部下の成長にもつながるかを最終確認しましょう。そのうえで、目標を正式な書類やシステムに記録し、上司・部下双方の合意を得ます。
このプロセスが不明確だと、後の評価や振り返りで齟齬が生じます。ポイントは、目標の背景・意図まで明文化し、将来の評価基準として活用できる状態にすることです。
MBO面談(評価面談)のやり方とポイント
続いて、評価におけるMBO面談のやり方とポイントについて見ていきましょう。
- 事前準備:目標と実績データを整理する
- 部下に自己評価を準備させる
- 面談で成果と行動を振り返る
- 評価結果とフィードバックを伝える
- 次期に向けた成長課題や目標の方向性を共有する
1.事前準備:目標と実績データを整理する
評価面談の前には、期初に設定した目標と、それに対する部下の実績・行動データを整理しておくことが重要です。主観的な印象ではなく、実際の数値や行動記録に基づいた評価を行うことで、公平性と納得感のある面談につながります。
必要に応じて他部署や関係者からの評価も参考にしましょう。成功のポイントは、事実ベースで振り返るために定量・定性の両面から準備することです。
2.部下に自己評価を準備させる
評価面談前に、部下自身にも自己評価を行ってもらうことで、主体的に自分の成果や課題を振り返る機会を作ります。上司からの一方的な評価ではなく、対話を通じた相互理解を促すために有効です。
ギャップがある場合も、なぜそう感じたのかを丁寧に話し合うことで、相互の信頼関係が深まります。ポイントは、自己評価は気づきと対話のきっかけとして活用することです。
3.面談で成果と行動を振り返る
評価面談本番では、成果だけでなく、その背景にある行動や取り組み姿勢も含めて振り返りましょう。数値で測れない努力や工夫をきちんと評価することが、部下のモチベーションにつながります。
成功要因やうまくいかなかった点を具体的に掘り下げることで、成長につながる面談になります。ポイントとしては、成果+行動の両面で「なぜそうなったか?」を共に考えることです。
4.評価結果とフィードバックを伝える
評価結果は、具体的な根拠を示しながら伝えることが大切です。良い点だけでなく、改善点や次回に向けた期待も明確に伝えましょう。
否定的なフィードバックも、相手の成長を前提にした前向きな伝え方を心がけることで、受け止められやすくなります。コツとして、フィードバックは評価より成長支援を意識して伝えるようにしましょう。
5.次期に向けた成長課題や目標の方向性を共有する
評価面談はゴールではなく、次の成長へのスタート地点でもあります。面談の最後には、今回の振り返りをもとに、次期に向けて伸ばすべき力やチャレンジすべき分野を共有しましょう。
本人の意欲や関心に寄り添うことで、次の目標設定にスムーズにつなげることができます。ポイントは、未来志向で「何を期待しているか?」を明確に伝えることです。
MBO面談を実施する際の注意点
MBO面談を実施する際、いくつかの注意点があります。MBO面談が形骸化してしまったり、被評価者である部下に苦手意識が芽生えてしまわないように、以下のポイントに気をつけるようにしましょう。
- MBO面談の記録を残し、次回に活かす
- 一方的な評価・指示にならないよう注意する
- 曖昧な目標や評価基準は避ける
- アイスブレイクを取り入れて緊張を緩和する
MBO面談の記録を残し、次回に活かす
MBO面談は単発の施策ではなく、継続的な成長を支援するプロセスの一環です。そのため、面談内容や合意した目標、フィードバックなどを記録に残すことが重要です。
記録があることで、次回の目標設定や評価の際に過去の振り返りがしやすくなり、ブレのない運用が可能になります。また、上司が異動や交代した場合でも、面談の履歴があればスムーズな引き継ぎができます。
記録を共有し、部下本人にも確認してもらうことで、目標への意識づけにもつながるでしょう。
一方的な評価・指示にならないよう注意する
MBO面談は、上司が評価や指示を一方的に伝える場ではありません。双方向のコミュニケーションによって、部下が自分の業務を主体的に捉え、成長の機会を見出すことが重要です。
上司が一方的に話しすぎると、部下は受け身になり、面談が単なる“通過儀礼”になってしまいます。まずは部下の意見や自己評価に耳を傾け、質問や対話を通じて本音を引き出す姿勢が大切です。
対話の中で部下の意図や価値観を理解することで、的確なフィードバックや適切な目標設定が可能になります。面談は「指導」ではなく、「伴走する対話」であることを意識しましょう。
曖昧な目標や評価基準は避ける
目標が曖昧だと、評価の際に解釈のズレが生じやすくなり、納得感のある面談が難しくなります。たとえば「売上を伸ばす」や「頑張る」といった表現では、具体的に何をどう達成すればよいかが分かりません。
目標は、成果(KPI)や行動レベル(例:週○件の訪問)で明確に定義することが重要です。また、評価基準も可能な限り事前に共有し、「どこまでできれば達成とみなすか?」をすり合わせておく必要があります。
こうした明確化によって、部下は日々の業務で目標達成に向けた行動がとりやすくなり、公平な評価にもつながります。
アイスブレイクを取り入れて緊張を緩和する
MBO面談は評価や目標の話が中心となるため、部下にとっては緊張しやすい場です。そこで、冒頭にアイスブレイクを取り入れることで、リラックスした雰囲気を作ることが効果的です。
最近の業務で嬉しかったこと、挑戦したこと、趣味や最近の出来事など、雑談を交えて会話を始めると、部下の緊張が和らぎ、自然な対話が生まれます。特に評価面談では、フィードバックに対する構えが強くなりやすいため、最初の空気作りが成果に直結します。
形式ばらず、相手に関心を持って雑談から入ることで、信頼関係の構築にもつながります。
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まとめ
本記事では、MBO面談の基本的な流れや目標管理のポイントについて解説しました。
MBO面談は、組織と個人が同じ方向を向きながら成果を生み出し、社員一人ひとりの成長を促す有効なマネジメント手法です。目標設定面談では、具体的かつ現実的な目標を合意形成のもとで定め、評価面談では成果とプロセスを丁寧に振り返り、次の成長へつなげることが大切です。
また、面談は対話を重視し、記録を残して継続的に活用することで、制度としての信頼性と運用効果が高まります。本記事の内容を参考に、より実りあるMBO面談の実施を目指しましょう。