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リアリティショックとは?原因と対策を抑えて早期離職を防止

組織が人材を採用・育成する上で避けて通れない課題のひとつが、リアリティショックです。近年では若手社員や転職者だけでなく、役職が変わったベテラン社員にもリアリティショックが見られ、本人のモチベーション低下や離職につながる深刻な問題です。

本記事では、リアリティショックの意味や具体例といった基本的な概念をはじめ、発生する原因や実践的な対策方法についても解説しています。組織の持続的な成長と従業員の満足度向上のために、リアリティショックへの理解と対応を深めましょう。

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リアリティショックとは?

まずはリアリティショックの意味や基本的な概念について、具体例を交えて詳しく見ていきましょう。

  • リアリティショックの意味
  • ベテラン社員のリアリティショック
  • リアリティショックの例

リアリティショックの意味

リアリティショックとは、就職や転職、昇進などによって新たな立場や職場環境に身を置いた際、理想と現実のギャップに直面し、精神的なストレスや失望を感じる状態を指します。

特に新入社員や若手層に多く見られ、入社前に描いていた期待と、実際の業務内容や人間関係とのズレが原因となり、意欲の低下や早期離職につながることがあります。リアリティショックは個人だけでなく組織にも大きな影響を与えるため、企業側の理解と支援が欠かせません。

ベテラン社員のリアリティショック

リアリティショックは新入社員だけに限らず、ベテラン社員にも発生します。

例えば、昇進や異動によって役割や職務内容が大きく変化した際、自分の経験やスキルが十分に活かせないと感じたり、期待していた裁量が得られないことでショックを受けることがあります。また、時代の変化や若手世代との価値観の違いに戸惑いを覚え、自信を失うケースも少なくありません。

リアリティショックの例

リアリティショックは仕事内容・人間関係・評価制度など、あらゆる場面で発生する可能性があり、年齢や職種を問わず誰にでも起こりうるものです。以下は、代表的なリアリティショックの具体例です。

よくあるリアリティショックの例
  • 入社後、希望していた職種と異なる部署に配属された
  • 上司が高圧的で相談できる雰囲気がない
  • 事前に聞いていたより残業が多く、ワークライフバランスが取れない
  • 昇進したが裁量が少なく意見も通らない
  • 同期と評価や待遇に大きな差があり、納得感を得られない

リアリティショックが組織に与える影響

リアリティショックは個人の問題にとどまらず、組織全体にも深刻な影響を及ぼすものです。特に顕著な影響としては、以下の3つが考えられるでしょう。

  • 早期離職の増加
  • 組織内のモチベーション低下
  • 職場の心理的安全性の損失

早期離職の増加

リアリティショックは、入社後間もない段階で「思っていた職場と違う」と感じさせ、早期離職の大きな要因となります。

特に新卒社員や転職者は、理想と現実のギャップに直面しやすく、職務内容や人間関係、働き方に対する失望から「ここでは続けられない」と感じてしまう傾向が強いものです。その結果、せっかく時間や費用をかけて採用した人材が短期間で離職してしまい、組織側は再採用や教育に余分なコストをかけることとなります。

高い離職率は企業イメージの低下にもつながり、今後の採用活動にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

組織内のモチベーション低下

リアリティショックを受けた社員は、やる気や自信を喪失し、業務に対するモチベーションが著しく低下します。

「こんなはずじゃなかった」という思いが強くなると、自主的な行動や挑戦を避けるようになり、結果として生産性も落ち込みます。また、周囲の社員にもそのネガティブな影響が波及し、チーム全体の雰囲気が悪くなるケースも少なくありません。

特に、マネジメント層がリアリティショックの兆候に気づかず放置してしまうと、改善の機会を失い、職場全体の活力が長期的に損なわれる危険性があるため要注意です。

職場の心理的安全性の損失

リアリティショックが放置されると、社員は上司や組織に対して「裏切られた」という感情を抱くようになり、信頼関係が揺らぎます。

特に、業務内容や社内文化に関する事前説明が不十分だった場合、「言っていたことと違う」と感じやすく、安心して発言や相談ができない職場環境が生まれます。このような状態が続くと、社員は問題や不満を抱えても声を上げなくなり、ミスやトラブルの早期発見が困難になってしまうでしょう。

心理的安全性の欠如は、職場の風通しの悪化やメンタル不調の増加にもつながるため、企業として早期の対応が重要です。

リアリティショックが発生する原因

リアリティショックは、新天地への期待と現実のギャップから生じます。具体的にどのようなギャップがトリガーとなってリアリティショックが発生してしまうのか、しっかりと把握しておきましょう。

  • 業務内容に対するギャップ
  • 人間関係に対するギャップ
  • 評価・待遇に対するギャップ
  • 成長機会に対するギャップ
  • 働き方に対するギャップ

業務内容に対するギャップ

リアリティショックの最も一般的な原因の一つが、業務内容に対するギャップです。

入社前に聞いていた仕事内容と、実際に任される業務が大きく異なると、戸惑いや不満が生まれます。特に、やりがいのある仕事や専門性の高い業務を期待していたにもかかわらず、ルーチンワークや雑務が中心だった場合、モチベーションを保つのが難しくなります。

企業側が魅力を強調しすぎた結果、過度な期待が生まれてしまうこともあり、採用段階での情報提供のバランスが非常に重要です。

人間関係に対するギャップ

職場での人間関係は、働きやすさやストレスレベルに直結します。面接時には「風通しのよい職場」と説明されていても、実際には上司が厳格だったり、チーム間の連携が不十分だったりする場合、理想と現実のギャップに落胆することがあります。

また、職場に馴染めない、孤立感を感じるといった状況もリアリティショックにつながります。こうしたギャップを防ぐには、リアルな社内の雰囲気を伝える工夫や、入社後のフォロー体制が欠かせません。

評価・待遇に対するギャップ

努力や成果が適切に評価されないと感じることも、リアリティショックの原因のひとつです。

例えば「実力主義」と聞いていたのに、年功序列が根強く残っていたり、目標を達成しても昇給や昇進につながらなかったりする場合、社員は大きな不満を抱きます。また、入社時に提示された待遇と実際の手当・福利厚生の内容が異なると、企業への不信感が募ってしまうでしょう。

ギャップを防ぐためには、評価制度の透明性と、期待値とのギャップを埋める説明責任が求められます。

成長機会に対するギャップ

自己成長やスキルアップを期待して入社したにもかかわらず、十分な教育制度やチャレンジの機会が与えられないと、社員は幻滅してしまいます。

特に若手社員や中途入社者は、将来的なキャリアの見通しを重視する傾向が強く、成長できる環境があるかどうかを重要視するものです。そのため、研修制度の実態やキャリアパスの説明が曖昧だった場合、ギャップによる失望を招きやすくなります。

成長機会が起因するリアリティショックを予防するには、計画的な育成と明確なビジョンの共有が重要です。

働き方に対するギャップ

働き方に関する期待と現実のズレも、リアリティショックを引き起こす大きな要因です。

例えば「ワークライフバランスが取れる」と聞いていたのに、実際は長時間労働が常態化していたり、有休が取りにくい雰囲気があったりする場合、社員は裏切られたような気持ちになります。また、在宅勤務や柔軟な勤務制度に期待していたにも関わらず、実際には選択肢が限られているといったケースも少なくありません。

働き方の柔軟性に対する説明は、採用前に明確にする必要があります。

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リアリティショックの防止に有効な対策

リアリティショックを防ぐには、採用段階から入社後まで一貫した情報開示とフォロー体制の整備が重要です。具体的な取り組みで社員の期待と現実のギャップを埋め、早期離職やモチベーション低下を防止しましょう。

  • 採用時の情報開示を徹底する
  • リアルな職場体験の機会を設ける
  • 入社後のフォロー体制を強化する
  • 定期的な面談とフィードバックを行う
  • キャリア形成の支援と選択肢の提示

採用時の情報開示を徹底する

リアリティショックの多くは、「聞いていた話と違う」という入社前後の情報ギャップから発生します。そのため、採用段階で仕事内容・評価制度・社内文化・働き方などについて、誇張せず正確に伝えることが重要です。

候補者に良い印象を与えることだけを目的とせず、「等身大の企業像」を見せることで、入社後のギャップを最小限に抑えることができるでしょう。

具体的な取り組み例
  • 募集要項に業務の具体例や1日の流れを記載
  • 面接時に想定される業務範囲やキャリアパスを明示
  • 社員インタビューでリアルな声を発信

リアルな職場体験の機会を設ける

書類や口頭の説明だけでは、企業文化や働き方の本質までは伝わりにくいため、入社前に職場を実際に体験できる機会を設けることが効果的です。実際に業務を体験したり、社員と直接対話することで、働く環境への理解が深まり、入社後のイメージギャップを減らせます。

採用ミスマッチの防止にもつながり、企業・求職者双方にとってメリットがあります。

具体的な取り組み例
  • インターンシップや職場体験プログラムの実施
  • OBOG訪問や社員との座談会の定期開催
  • 内定者向けの事前オリエンテーション

入社後のフォロー体制を強化する

入社直後は誰しも不安を抱えやすく、ここで適切なサポートが得られないとリアリティショックが深刻化します。特に最初の3か月は「定着の壁」と言われる重要な期間であり、悩みを抱え込ませないためにも、相談できる体制づくりが必要です。

メンター制度や定期的な面談など、早期に不安を把握しケアする仕組みが求められます。

具体的な取り組み例
  • メンター制度やバディ制度の導入
  • 入社後1か月・3か月のフォローアップ面談の実施
  • 相談窓口を活用した気軽な相談体制

定期的な面談とフィードバックを行う

業務に慣れてきた社員でも、上司とのコミュニケーション不足が原因で、不満や不安を抱え続けてしまうことがあります。定期的な面談を通じて、本人の感じているギャップやキャリアへの期待を丁寧にヒアリングし、フィードバックを行うことで、リアリティショックの悪化を未然に防ぐことができるでしょう。

具体的な取り組み例
  • 月1回の1on1ミーティングを全社員に実施
  • 上司と部下間で目標と実績のすり合わせを行う制度
  • 定期的な従業員満足度調査の実施

キャリア形成の支援と選択肢の提示

社員が「将来ここでどう成長できるか」が見えないと、早期に失望や不安を感じやすくなります。そのため、キャリアパスや成長機会を具体的に提示し、個人の希望に応じた選択肢を用意することが重要です。

将来像が明確になることで、自らの成長と会社との接点を見いだしやすくなり、リアリティショックの緩和につながります。

具体的な取り組み例
  • 社内公募制度の導入
  • キャリア面談や自己申告制度の整備
  • スキルアップ支援制度(資格取得補助・eラーニング等)の提供

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HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。

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まとめ

本記事では、リアリティショックの意味や具体例といった基本的な概念をはじめ、発生する原因や実践的な対策方法についても解説しました。

リアリティショックは、新しい環境での期待と現実のギャップから生じる、誰にでも起こり得る心理的な反応です。放置すると、社員の早期離職やモチベーション低下、職場の信頼関係の崩壊といった組織全体への悪影響が避けられません。

企業は、採用時の正確な情報開示やリアルな職場体験の提供、入社後のフォロー体制の充実、定期的な面談によるコミュニケーションの強化、そして明確なキャリア形成支援を通じて、社員の期待と現実のギャップをできるだけ小さくする努力が必要です。

双方の取り組みによって、リアリティショックの悪循環を断ち切り、長く活躍できる健全な職場環境を築いていきましょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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