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休職者への対応マニュアル|注意点や復帰後の接し方も解説

近年、職場のストレスや私生活の変化により、休職を余儀なくされる従業員が増加しています。休職は誰にでも起こりうるものであり、企業は休職者への対応を適切に行う体制を整えることが重要です。

本記事では、休職者への対応マニュアルとして、対応の基本やポイントについて解説しています。休職の種類や復職後の接し方、休職者を増やさないための施策例も紹介していますので、ぜひお役立てください。

人事・労務担当者や管理職の方はもちろん、すべての働く人にとって役立つ内容をまとめています。

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休職者とは?概要について

休職者とは、病気やケガ、介護、出産・育児、メンタルヘルスの不調など、やむを得ない事情により一定期間就業が困難となり、会社に籍を置いたまま勤務を一時的に停止している従業員のことを指します。

休職は労働者の健康や家庭環境を守るための制度であり、企業にとっても優秀な人材を維持する手段のひとつです。ただし、休職制度の運用には就業規則に基づく明確なルールや対応が求められます。

正しい理解と適切な対応が、職場全体の信頼関係や復帰後のスムーズな業務再開に大きく影響するため、企業としての対応力が問われる重要なテーマです。

主な休職の種類
  • 私傷病休職:病気やけがによる休職
  • メンタルヘルス休職:うつ病や適応障害など精神的な不調による休職
  • 介護休職:家族の介護を理由とした休職
  • 産前産後休業/育児休業:出産や育児を理由とした休業
  • 自己都合休職:自己研鑽や留学など、本人希望による一時的な休職

休職者への対応が重要な理由

休職者への対応が適切でないと、復職が困難になるだけでなく様々なリスクが伴います。休職者への対応が重要な理由について、詳しく見ていきましょう。

  • 職場全体の信頼関係を維持するため
  • 復職後のスムーズな業務再開を支援するため
  • 法的トラブルを未然に防ぐため
  • 企業の離職率・人材流出を抑えるため

職場全体の信頼関係を維持するため

休職者への対応は、単なる個人対応にとどまらず、職場全体の信頼関係に大きく関わる重要なテーマです。

適切で思いやりのある対応を行うことで、他の従業員も「自分が困ったときにも会社が支えてくれる」と感じ、安心感が生まれます。一方で、対応が不適切だと「人ごとではない」として不満や不安が広がり、職場の士気や連帯感が低下する原因となります。

透明性のある情報共有やフォロー体制の整備は、休職者本人だけでなく、周囲の従業員への配慮としても非常に重要です。

復職後のスムーズな業務再開を支援するため

休職からの復帰は、休職者にとって身体的・精神的に大きな負担を伴います。

企業側が復職までのステップを丁寧にサポートし、復職後も段階的な業務復帰や定期的な面談などを行うことで、業務にスムーズに馴染めるようになります。また、復職時の職場環境や同僚の理解も重要な要素です。

事前に必要な情報を共有し、周囲の協力体制を整えることで、休職者の職場復帰を円滑に進めることができます。復帰後のミスマッチや再発を防ぐためにも、丁寧な対応が求められるでしょう。

法的トラブルを未然に防ぐため

休職制度は就業規則や労働関連法規に基づいて運用されるものであり、対応を誤ると法的トラブルに発展するリスクがあります。

たとえば、復職の拒否や不適切な退職勧奨、不十分な対応記録などが、労働審判や訴訟の原因になるケースもあります。また、メンタルヘルスが関係する場合は、特に慎重な配慮が求められ、産業医や専門家の意見を取り入れることが重要です。

あらかじめ明確なルールと対応フローを整備し、適切な手続きを踏むことで、企業としての法的リスクを最小限に抑えることができます。

企業の離職率・人材流出を抑えるため

休職者への適切な対応は、企業の人材維持戦略にも直結するものです。

従業員が「この会社は信頼できる」「困ったときにもサポートしてくれる」と感じれば、離職意向は大きく低下します。一方で、対応が冷淡だったり、復職後に不当な扱いを受けるような環境では、休職者本人だけでなく周囲の従業員のモチベーションにも悪影響を及ぼし、結果として人材流出の原因になります。

特に優秀な人材ほど、企業文化や職場環境に敏感なため、休職対応の質が企業の信頼度を測るバロメーターになることも少なくありません。

休職者への対応マニュアル|主なポイントについて

従業員から、休職の相談を受けた際のポイントと注意点について解説します。どのような点に配慮すべきなのか、一般的なものについて詳しく見ていきましょう。

  • 休職の申し出を受けた際の初期対応
  • 休職手続きと必要書類の案内
  • 休職期間中の連絡やフォロー体制の構築
  • 復職判断のための面談と医師の意見確認
  • 復職後の職場復帰プランの実施

休職の申し出を受けた際の初期対応

従業員から休職の申し出があった際は、まず丁寧に事情を聞き、本人の意向と状況を正確に把握することが重要です。感情的にならず、信頼関係を損なわない対応が求められます。

また、以下のような初期対応が基本となります。

初期対応に関するポイント
  • 申出内容のヒアリング(体調・理由・希望期間など)
  • 必要に応じて産業医や上司との面談設定
  • 就業規則に基づく休職制度の説明

この段階での誤解や曖昧な対応が、後のトラブルにつながる可能性があるため、記録を残しつつ冷静に対応することが大切です。

休職手続きと必要書類の案内

休職が正式に決定したら、社内の規定に沿って手続きを進めます。従業員が安心して制度を利用できるよう、必要な書類や流れをわかりやすく案内することが重要です。

一般的に必要となる手続きは以下の通りです。

休職手続きの対応に関するポイント
  • 休職届(休職願)の提出
  • 医師の診断書の提出
  • 社会保険や傷病手当金に関する書類案内
  • 就業規則や休職期間、給与・手当の説明

手続きが不透明だと従業員に不安を与えるため、丁寧な説明とサポートを心がけましょう。

休職期間中の連絡やフォロー体制の構築

休職中であっても、会社との適度な連絡体制を維持することは重要です。放置されたと感じさせず、復職への不安を軽減するための配慮が必要です。

休職期間中のの対応に関するポイント
  • 月1回などの定期的な連絡(メールや電話等)
  • 心身の状態確認と復職希望時期のすり合わせ
  • 必要に応じた産業医・カウンセラーの紹介
  • 会社からの連絡窓口の明確化

連絡の頻度や内容は本人の状態に応じて調整し、無理のない範囲での接点を保ちましょう。

復職判断のための面談と医師の意見確認

復職にあたっては、本人の意思だけでなく、医師の意見や会社の判断も必要です。無理な復職は再発のリスクを高めるため、慎重な確認が求められます。

復職判断の対応に関するポイント
  • 本人との復職希望についての面談
  • 主治医または産業医の復職可否の意見書の確認
  • 勤務条件や制限の有無についての確認
  • 業務負荷や環境の見直し検討

復職後の職場復帰プランの実施

復職後の適応支援も企業の重要な役割です。いきなりフル稼働させるのではなく、段階的に業務へ慣れていけるプランを立てましょう。

復職後の対応に関するポイント
  • 短時間勤務や業務内容の調整
  • 定期的なフォロー面談の実施
  • 周囲の社員への配慮と情報共有(本人同意のもと)
  • 体調悪化時の相談窓口の明示

復職後のサポート体制を整えることで、再発を防ぎ、長期的に活躍できる環境づくりにつながります。

休職者への復帰後の接し方の注意点

休職時の対応だけでなく、復帰後の接し方も配慮すべきポイントです。どのような接し方が適切なのか、詳しく見ていきましょう。

  • 無理な業務負荷をかけず段階的に慣れてもらう
  • プライバシーや経緯への過度な詮索を避ける
  • 周囲の社員への理解促進とサポート体制の共有

無理な業務負荷をかけず段階的に慣れてもらう

復職後の従業員は、長期の休職を経て体力や集中力が十分に戻っていない場合があります。そのため、復帰直後から以前と同じ業務量や責任を求めるのは避けるべきです。

まずは簡単な業務から始め、徐々に業務内容や勤務時間を増やすなど、段階的な適応が重要です。また、本人の体調や気持ちに寄り添いながら、無理のないスケジュールで支援を行うことが望まれます。

上司や人事が定期的に面談を行い、状況に応じて業務配分を調整することで、再発のリスクを抑え、復職者が安心して働ける環境づくりに繋がるでしょう。

プライバシーや経緯への過度な詮索を避ける

復職した従業員に対して、休職理由や経緯について詮索することは厳に慎むべき行為です。

本人が話したがらない場合には、たとえ親しい同僚であっても深く立ち入らない配慮が必要です。無神経な質問や噂話は、本人にとって大きな心理的負担となり、職場への不信感や再休職の原因にもなりかねません。

また、会社としてもプライバシー保護の観点から、復職者に関する情報の取り扱いには慎重を期す必要があります。本人が同意した内容以外は周囲に開示せず、復職者が安心して職場に戻れるような雰囲気づくりを心がけましょう。

周囲の社員への理解促進とサポート体制の共有

復職者がスムーズに職場に戻るためには、本人だけでなく周囲の理解と協力も不可欠です。

復職に伴い、業務分担の見直しや一時的な負荷の増加が発生することもあるため、周囲の社員に対して事前に状況を丁寧に説明し、必要な配慮を促すことが重要です。また、会社としては復職者支援の方針や体制を明確にし、関係者全員に共有することで、無用な誤解や不満を防ぐことができます。

周囲のサポートが復職者の安心感や定着に大きく影響するため、職場全体で受け入れる意識を醸成していくことが求められます。理解と連携を土台としたチームづくりが、働きやすい職場環境の実現につながるでしょう。

休職者を続出させないための施策例

休職者への対応はもちろん、そもそも休職者を増やさないために職場環境を改善することも欠かせません。休職率の改善に有効な施策例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 定期的なコミュニケーションによる早期の異変察知
  • 過剰な業務負荷を適切に調整
  • メンタルヘルスケア制度の整備
  • 風通しの良い組織文化づくり

定期的なコミュニケーションによる早期の異変察知

従業員の不調を早期に察知するためには、日常的なコミュニケーションが欠かせません。業務の進捗確認だけでなく、心身の状態や職場への不安・不満といった心理的な側面にも目を向けることが大切です。

特に、上司や人事との定期的な1on1ミーティングや面談を通じて、従業員が安心して悩みを打ち明けられる環境を整えることで、深刻な問題になる前に対処できます。

具体的な施策例
  • 月1回の1on1ミーティングの実施
  • オンライン相談窓口の設置
  • 職場の相談員やメンター制度の導入
  • 日報や業務日誌にコメントを添える運用

過剰な業務負荷を適切に調整

業務量が過剰になると、心身に大きな負担がかかり、モチベーションの低下や体調不良の原因になります。管理職は、チームや個人の負荷を日常的に把握し、偏りがないように調整する必要があります。

また、残業時間や業務の難易度に着目して改善を図ることで、従業員の健康と生産性の両立を目指せるでしょう。

具体的な施策例
  • 業務量の見える化と定期レビュー
  • 繁忙期前後の人員調整、応援体制構築
  • タスクの優先順位づけと分担の見直し
  • 有給取得の促進と残業抑制の徹底

メンタルヘルスケア制度の整備

心の健康を守るための制度を整備することは、休職予防において非常に重要です。従業員が気軽に相談できる体制や、外部専門機関との連携を活用することで、早期発見・早期対応が可能になります。

メンタルヘルスをタブー視せず、制度の存在を周知することも大切です。

具体的な施策例
  • 産業医やカウンセラーとの面談機会の提供
  • ストレスチェックの実施
  • メンタルヘルス研修の定期開催
  • EAP(従業員支援プログラム)の導入

風通しの良い組織文化づくり

職場内で自由に意見が言えない、孤立を感じるなどの環境は、ストレスの蓄積につながります。日常的に気軽に話せる雰囲気や、上司との信頼関係がある職場は、心理的安全性が高まり、メンタル不調の予防にも効果的です。

組織として「相談しやすさ」を重視した文化を醸成しましょう。

具体的な施策例
  • フラットな意見交換の場の定期開催
  • 上司向けに傾聴力・対話力研修の実施
  • 部署横断の交流イベントの実施
  • 匿名アンケートによる意見収集と改善反映

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まとめ

本記事では、休職者への対応マニュアルとして、対応の基本やポイントについて解説しました。

休職者への対応は、本人の健康回復を支えるだけでなく、職場全体の信頼や組織の健全性を維持するためにも非常に重要です。適切な対応フローと復職支援、そして休職予防に向けた取り組みを組み合わせることで、従業員が安心して働き続けられる環境を実現できます。

企業にとっても、長期的な人材確保や生産性維持の観点から、休職対応の強化は欠かせない課題です。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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