2025/03/03
離職対策外国人労働者の平均離職率は？よくある離職理由や定着率向上の対策も解説
人手不足が深刻化する近年、多くの企業が外国人労働者の雇用を進めています。しかし、外国人労働者の定着率は決して高いとは言えず、早期離職が大きな課題となっている企業も少なくありません。
本記事では、外国人労働者の離職率の現状や、定着率向上に向けた対策についてまとめました。よくある離職理由や、外国人労働者の定着率改善に取り組む企業の事例も紹介しています。
外国人労働者の離職・定着に課題をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
最短３ヶ月で課題分析、施策立案
外国人労働者の離職率・定着率の現状
近年、日本の労働市場における外国人労働者の数は増加傾向にあります。厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況（令和5年10月末時点）』によると、国内の外国人労働者数は約200万人を超えており、特に技能実習生や特定技能制度を活用した労働者の割合が増えているのです。
日本における外国人労働者の離職率・定着率の現状はどのようになっているのか、詳しく見ていきましょう。
外国人労働者の平均離職率・定着率
厚生労働省の『直接雇用の外国人労働者の入職、離職状況』では、直接雇用されている外国人労働者の年間の離職率は45.9%という報告があります。離職率は業種や雇用形態によって変動するものですが、外国人労働者の離職率は比較的高い傾向にあると言えるでしょう。
外国人労働者の定着率を向上させるには、職場環境の改善や適切なサポート体制の整備が重要です。特に、言語の壁や生活環境の違いが外国人労働者の定着に影響を与えるため、企業側の取り組みが求められています。
日本人と外国人労働者の離職率の比較
日本人と外国人労働者の離職率を比較すると、一般的に外国人労働者の方が離職率が高い傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、日本人の平均離職率は業種や雇用形態によって異なりますが、全体として年間15％程度とされています。一方、外国人労働者の場合、業種によっては30％以上の離職率が報告されることもあり、特に技能実習生では契約期間中に帰国するケースも見られます。
離職率計算エクセルテンプレート
従業員人数、離職者数などを入力することで年間の離職率を簡易に計算することができます。
無料ダウンロード外国人労働者に多い5つの離職理由
外国人労働者の定着率を向上させるには、なぜ離職してしまうのか原因を把握する必要があります。外国人労働者の離職理由の中で、特に多いものについて見ていきましょう。
- 言語の壁によってコミュニケーションが困難
- 文化の違いによるストレス
- 差別的な扱いやハラスメント
- 労働条件や給与への不満
- キャリアアップが望めない
1.言語の壁によってコミュニケーションが困難
外国人労働者が職場で直面する、最も大きな課題の一つが言語の壁です。特に日本語が十分に話せない場合、業務の指示が理解できず、ミスや誤解が発生しやすくなります。
また、職場の同僚や上司と円滑にコミュニケーションが取れないことで、孤立感を感じることも少なくありません。さらに、日本の職場では「空気を読む」文化が根付いており、明確な指示がなくても察することが求められる場面が多いため、外国人労働者にとってはハードルが高いと感じることがあります。
このような状況が続くと、働きづらさを感じ、結果的に離職につながるケースも多いです。
2.文化の違いによるストレス
日本と母国の文化の違いが、外国人労働者のストレスの原因となることは少なくありません。
例えば、日本では「和」を重視し、個人よりもチームワークを大切にする傾向があります。その他にも、上司や先輩に対して敬語を使う、報連相（報告・連絡・相談）が重要視されるなどのルールもあります。
これらを理解せずに働くと、上司や同僚からの評価が下がり、働きにくさを感じることもあるのです。さらに、宗教や食文化の違いが、職場の飲み会や社内行事への参加に影響を及ぼし、孤立を感じる要因となる恐れもあるので要注意です。
3.差別的な扱いやハラスメント
外国人労働者の中には、職場で差別的な扱いを受けたり、ハラスメントを経験して離職するケースも珍しくありません。
日本人の同僚と同じ仕事をしているにもかかわらず、昇進の機会が与えられなかったり、責任のある仕事を任せてもらえなかったりすることがあります。また、「日本語が下手だから」「文化が違うから」といった理由で軽視されるケースも。
さらに、一部の職場では外国人労働者に対するパワハラやいじめが問題視されており、特に技能実習生の間では劣悪な労働環境や過酷な待遇が問題になることもあります。こうした状況が続くと、精神的な負担が増し、離職を決断せざるを得なくなるのです。
4.労働条件や給与への不満
外国人労働者の離職理由の中でも、労働条件や給与に対する不満は大きな割合を占めています。特に技能実習生や特定技能の労働者の中には、日本人労働者と比べて低賃金で働かされていると感じるケースが多くあります。
さらに、長時間労働や休日の少なさ、残業代の未払いといった問題も発生しやすく、労働環境の厳しさに耐えられずに離職するケースも少なくありません。また、雇用契約の内容が十分に理解されていないまま働き始め、実際の労働条件が想定と異なることが発覚するケースもあるでしょう。
5.キャリアアップが望めない
日本で働く外国人労働者の中には、将来的なキャリアアップを期待して来日する人も多くいます。しかし、実際には昇進やスキルアップの機会が少ない企業も多く、長期的に働くモチベーションを維持しにくいという問題もあるのです。
特に、単純労働に従事している外国人労働者は、何年働いても役職が上がらず、同じ業務を繰り返すことになるケースが多いです。また、日本の企業文化では年功序列や社内教育が重視されるため、外国人労働者が実力を発揮しにくい環境にあることも、キャリアアップを阻む要因となっています。
こうした状況に不満を感じた外国人労働者は、より良いキャリアを求めて転職や帰国を決断することが少なくありません。
外国人労働者の離職を防止したい！定着率向上の施策例
外国人労働者の離職率を改善するには、どのような取り組みが有効なのでしょうか？具体的な施策例をご紹介しますので、自社の定着率向上に向けた施策の参考にしてください。
- 言語サポートの充実でコミュニケーションを円滑に
- 異文化理解を深める職場環境作り
- 労働条件の改善とキャリアパスの明確化
- メンタルケアの充実で安心して働ける環境を提供
言語サポートの充実でコミュニケーションを円滑に
外国人労働者が職場に定着するためには、言語の壁を取り除くことが重要です。業務の指示や職場のルールを理解できる環境を整えることで、労働者のストレスを軽減し、業務の効率向上にもつながります。
異文化理解を深める職場環境作り
日本人と外国人労働者の文化の違いを理解し、互いに尊重し合える職場環境を整えることで、離職率を低下させることができます。文化の違いが原因で生じるトラブルを減らし、働きやすい環境を作ることが重要です。
労働条件の改善とキャリアパスの明確化
外国人労働者に長く活躍してもらうためには、適正な労働条件の整備と将来のキャリアが見える環境が必要です。労働条件の改善が進まないと、より良い待遇を求めて転職してしまう可能性があります。
メンタルケアの充実で安心して働ける環境を提供
異国で働く外国人労働者は、言語や文化の違いだけでなく、生活面や人間関係の悩みを抱えやすい傾向があります。精神的な負担を軽減し、安心して働ける環境を作ることが定着率向上につながるでしょう。
AI×現場の本音で外国人労働者の離職率を改善『HR pentest』
HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか？」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。
以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。
- 離職要因の分析の仕方がわからない…
- 退職者の本音の聞き出し方がわからない…
- 課題が不明瞭で施策がわからない…
- 給料が原因だと何もできない…
| 本音を引き出せる | ・イグジットインタビュー研修でスキルUP ・実務を通したトレーニング＆フィードバック |
|---|---|
| 解像度の高い面談記録 | ・自動文字起こしでそのまま蓄積 ・AIによる離職要因解析 ・退職者の生の声から課題がわかる |
| 施策につながる | ・定量×定性で効果的に分析 ・在職者からも退職者からも不満を発見 ・高い解像度で課題把握＝施策につながる！ |
実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。
外国人労働者の定着率向上に取り組む企業の事例
既に外国人労働者の定着率向上に取り組んでいる企業は、どのような施策を講じているのでしょうか？企業の取り組み事例をご紹介しますので、自社の対策に活かして外国人労働者の離職防止を図りましょう。
- カシオ計算機株式会社
- 株式会社日本ハウジングセンター
- 株式会社ティーエスケー
カシオ計算機株式会社
カシオ計算機株式会社では、自社のダイバーシティを推進するため、外国人労働者の活躍をサポートしています。外国人労働者に配慮した様々な取り組みを実施しながら、定着率の向上を図っています。
参考：厚生労働省『外国人の活用好事例集』
株式会社日本ハウジングセンター
株式会社日本ハウジングセンターは、オール電化や太陽光発電システム等のエコ商品の営業を行っている企業です。
2022年から高度外国人材の採用を開始し、ベトナム・マレーシア・インド・スリランカ出身の外国人労働者が営業職として在籍。「全員平等」という理念の下、いつでも質問できる、いつでも上司は手を止めて理解できるまで教える、という組織風土がある同社では、以下のような取り組みで定着率向上を図りました。
参考：九州経済産業局『高度外国人材 定着・育成事例集』
株式会社ティーエスケー
株式会社ティーエスケーは、大規模改修工事の施工管理事業を行っている企業です。
日本の少子高齢化・国際化に伴って外国人労働者が増加していくことを見越し、早期から外国人労働者の活用に着目していた同社では、以下のような取り組みを行いました。
参考：関東経済産業局『外国人採用・活用事例集』
外国人労働者の定着率向上を成功させるポイント
外国人労働者の離職防止に向けた取り組みは、思いつきで推進しても期待していた効果が得られない場合があります。どのような点に気をつけて取り組むべきか、成功のポイントについて見ていきましょう。
- 外国人労働者の声を反映した職場作り
- 受け入れ体制の強化でスムーズな職場適応を支援
- 地域とのつながりを深めて生活基盤を安定化
外国人労働者の声を反映した職場作り
外国人労働者が長く働くためには、現場の意見や要望をしっかりと受け止め、職場環境の改善に活かすことが不可欠です。
例えば、定期的にアンケートや面談を実施して、外国人労働者が感じている課題や不満を把握することが重要です。単に意見を聞くだけでなく、具体的な改善策を講じることで、外国人労働者が自分の声が反映されていると実感し、職場に対する信頼感が高まります。
受け入れ体制の強化でスムーズな職場適応を支援
外国人労働者が日本の職場にスムーズに適応できるよう、受け入れ体制を強化することも欠かせません。
特に入社時のサポートを充実させることで、言語や文化の違いからくる不安を軽減し、早期離職を防ぐことができます。そのためには、入社時にオリエンテーションを実施し、日本の職場文化やルール、業務の進め方について丁寧に説明することが求められるでしょう。
地域とのつながりを深めて生活基盤を安定化
外国人労働者が職場に定着するためには、仕事だけでなく生活面での安定も重要な要素です。特に、異国での生活に孤独を感じることが多いため、地域とのつながりを深めることが定着率向上につながることもあります。
地域のコミュニティイベントに参加できる機会を提供し、地域住民との関係を築くサポートを行うことが大切です。例えば、地域のお祭りや交流会、スポーツイベントなどに参加することで、日本の文化を理解して地域に馴染むことができます。
こうした取り組みによって、外国人労働者が地域社会に溶け込み、長期的に日本での生活を安定させることが可能となるでしょう。
まとめ
本記事では、外国人労働者の離職率の現状や、定着率向上に向けた対策、よくある離職理由、リテンションに取り組む企業の事例について解説しました。
外国人労働者の定着率を向上させるためには、職場環境の整備が欠かせません。言語の壁を克服するためのサポートや、異文化理解を深める取り組み、適正な労働条件の確保、キャリアアップの支援など、企業ができることは多岐にわたります。
また、外国人労働者の声を反映した職場づくりや、受け入れ体制の強化、地域とのつながりを深めることも、長期的な定着に大きく寄与します。優秀な人材を確保し、長期的な成長を実現するために、企業は積極的に改善策を講じていくべきです。
本記事で紹介した施策や事例を参考に、外国人労働者が働きやすい職場づくりを進めていきましょう。
＼この記事をシェアする／
この記事を書いた人
イベント情報
HR pentest導入事例
人気記事ランキング
新着記事
