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早期離職の防止に有効な7つの対策!若手に多い退職理由や成功のポイントも解説

若手社員の早期離職は、多くの企業にとって深刻な課題となっています。特に入社後3年以内の離職は、採用や教育にかけたコストの回収が難しく現場への影響も大きくなるため、早期の対策が重要です。

本記事では、早期離職の防止に有効な7つの対策について解説しています。早期離職率の平均や対策を成功させるためのポイント、若手に多い退職理由と離職の兆候についてもまとめました。

若手社員の早期離職を防止し、定着率を改善して持続的な企業成長を目指しましょう。

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早期離職は何年から?定義について

一般的に早期離職とは、入社から3年以内に退職することを指します。厚生労働省の調査などでも、この3年という期間が基準とされることが多く、特に新卒社員の場合は「3年で3割が離職する」といったデータが示されています。

ただし、企業や業界によって早期とされる期間は異なる場合があり、入社後1年以内の退職を超早期離職としてさらに重視する企業も少なくありません。早期離職は人材採用や育成にかかるコストが回収される前に人材が流出することから、企業にとっては深刻な課題となっています。

そのため、自社にとっての「早期」の定義を明確にし、離職の実態を正確に把握することが防止施策の第一歩となるでしょう。

若手の早期離職の現状

若手の早期離職を対策するには、まず離職の傾向や平均離職率について把握することが重要です。

就職後3年以内に3割以上が辞めている

厚生労働省の発表によると、過去10年以上にわたって新規学卒者の早期離職率は30%を超える水準で推移しています。つまり、就職後3年以内で3人に1人が辞めているのが現状です。

特に令和3年3月に卒業した新規学卒就職者のうち、就職後3年以内に早期離職した割合は高卒で38.4%、大卒で34.9%と、いずれも高い水準となっています。これらの数値からも、若手社員の定着は多くの企業にとって継続的な課題であることがうかがえます。

採用・育成にかかるコストの損失を防ぐためにも、早期離職への対策は喫緊の課題と言えるでしょう。

事業所規模別の早期離職率の平均

新規学卒者の早期離職率を事業所規模別で見ていくと、規模が小さい(従業員数が少ない)企業の方が早期離職率が高くなる傾向があります。以下は令和3年3月に卒業した新規学卒就職者の早期離職率を、事業所規模別で集計した結果です。

  • 5人未満…高卒62.5% / 大卒59.1%
  • 5〜29人…高卒54.4% / 大卒52.7%
  • 30〜99人…高卒45.3% / 大卒42.4%
  • 100〜499人…高卒37.1% / 大卒35.2%
  • 500〜999人…高卒31.5% / 大卒32.9%
  • 1,000人以上…高卒27.3% / 大卒28.2%

産業別の早期離職率の平均

早期離職率の平均は、産業・業種によって大きく異なります。以下は早期離職率の平均が高い上位5つの産業・業種です。

大学卒の産業別の早期離職率

  • 宿泊業,飲食サービス業…56.6%
  • 生活関連サービス業,娯楽業…53.7%
  • 教育,学習支援業…46.6%
  • 小売業…41.9%
  • 医療,福祉…41.5%

高校卒の産業別の早期離職率

  • 宿泊業,飲食サービス業…65.1%
  • 生活関連サービス業,娯楽業…61.0%
  • 教育,学習支援業…53.1%
  • 小売業…49.3%
  • 医療,福祉…48.6%

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若手に多い退職理由は?早期離職の原因

早期離職を対策するには、なぜ退職してしまうのかその原因を把握しておくことが重要です。特に若手に多い退職理由をご紹介しますので、自社の離職要因の分析にお役立てください。

  • 仕事内容がイメージと違っていた
  • 人間関係や職場の雰囲気に馴染めなかった
  • 成長実感が得られず将来に不安を感じた
  • 労働時間や給与など待遇面への不満
  • 会社に貢献している実感を得られなかった

仕事内容がイメージと違っていた

入社前に抱いていた仕事内容のイメージと、実際の業務内容とのギャップは早期離職の要因となり得ます。たとえば、クリエイティブな仕事を期待していたのにルーチンワークが中心だった、顧客対応よりも事務作業が多かったなど、入社後の現実が期待を下回ると、モチベーションが低下しやすくなります。

ミスマッチを防ぐには、採用時に業務の実態を正確に伝える工夫が欠かせません。

人間関係や職場の雰囲気に馴染めなかった

良好な人間関係は働きやすさに直結しますが、若手社員にとって職場に馴染めないことは大きなストレスになります。上司との関係が築けない、同僚との距離感が掴めない、過度な上下関係や閉鎖的な雰囲気に戸惑うといったケースもあります。

特にリモート勤務などで交流の機会が限られている環境では、孤立感が強まり、離職のリスクが高まるため要注意です。

成長実感が得られず将来に不安を感じた

自分のスキルやキャリアが成長しているという実感が得られないと、将来への不安が増し、早期離職に繋がりやすくなります。単調な業務の繰り返しや、明確な目標設定がなされていない場合、若手社員は自らの価値や存在意義を見失いがちです。

定期的なフィードバックやキャリア面談を通じて、成長の方向性を示すことが欠かせません。

労働時間や給与など待遇面への不満

長時間労働や低賃金など、待遇面への不満も若手の離職理由として多く挙げられます。特に、働き方改革やワークライフバランスへの関心が高まる中で、過度な残業や休日出勤が常態化している職場では、若手が早期に見切りをつける傾向があります。

給与水準の見直しや柔軟な勤務制度の導入など、公平で納得感のある待遇を整えることが求められるでしょう。

会社に貢献している実感を得られなかった

自分の仕事が会社にどう貢献しているのかが見えづらいと、やりがいや達成感を感じにくくなるものです。特に若手社員は、成果や存在意義が実感できることに大きな価値を感じる傾向があります。

業務の目的や意義を上司が明確に伝えたり、小さな成果でも認める文化を醸成することで、社員のエンゲージメント向上につながります。

早期離職を検討している若手に見られる3つの前兆

離職の前兆を早期に察知できれば、若手の早期離職を未然に防止できる可能性が向上します。勤務態度や勤怠、コミュニケーションなどに早期離職のサインが現れますので、気が付いた時は早めの対策を心がけるようにしましょう。

  1. 遅刻や早退、欠勤が目立つようになる
  2. 業務への意欲や発言が明らかに減っている
  3. 上司や同僚との関わりを避けるようになる

1.遅刻や早退、欠勤が目立つようになる

今まで時間通りに出勤していた社員が、急に遅刻や早退、欠勤を繰り返すようになる場合は注意しましょう。体調不良を訴えるケースもありますが、実際には精神的なストレスやモチベーションの低下が原因となっていることが多く、離職を検討し始めているサインのひとつです。

勤怠の乱れが目立つようになった段階で、本人との対話の機会を持ち、背景にある課題を早期に把握することが欠かせません。

2.業務への意欲や発言が明らかに減っている

会議での発言が減る、積極的な提案や改善意見が出なくなるなど、以前は見られた業務への関心が薄れている様子は、離職を検討している兆候の可能性があります。特に若手社員は、仕事への期待感が大きいぶん、希望が見えなくなると急速に意欲を失いやすい傾向があるため注意が必要です。

発言や行動の変化に気づいたら、上司が声をかけ、関心や悩みを引き出すことが離職防止に繋がります。

3.上司や同僚との関わりを避けるようになる

社内のコミュニケーションを避けるようになった場合も、早期離職の兆しとして注意が必要です。以前は昼休みに同僚と談笑していた社員が一人で過ごすようになったり、業務連絡以外の会話をしなくなったりする場合、職場への帰属意識が薄れている可能性があります。

こうした孤立の兆候は見過ごされがちですが、日頃からのチームとの関係性を大切にし、フォローを行う姿勢が求められるでしょう。

早期離職の防止に有効な7つの対策

早期離職を防止するためには、自社の離職要因に合わせた的確なアプローチが求められます。しかし、どのような対策が有効なのか具体的な施策が思い浮かばないケースも珍しくありません。

早期離職の防止に有効な対策と具体的な施策例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  1. 採用のミスマッチを防止する
  2. オンボーディングの強化で早期の定着を支援
  3. 定期面談で不安や不満を早期に把握する
  4. 成長支援の機会や仕組みの整備
  5. 柔軟な働き方を導入する
  6. 労働条件を見直す
  7. 人事評価制度の整備

1.採用のミスマッチを防止する

早期離職の大きな原因の一つは、採用段階での期待と現実のギャップです。企業が魅力を伝えることも重要ですが、同時に仕事内容や職場環境についても正しく伝える必要があります。

リアルな情報を提供することで、入社後のミスマッチを減らし、定着率の向上につながるでしょう

具体的な施策例
  • 職場見学や社員インタビューを選考中に実施
  • 採用ページで業務の一日の流れを紹介
  • ネガティブ情報も含めた正直な説明を行う

2.オンボーディングの強化で早期の定着を支援

入社後すぐの環境への適応を支援するオンボーディングは、早期離職の防止に有効です。業務内容の理解だけでなく、人間関係や企業文化にスムーズに馴染めるよう支援することで、社員の不安や孤立感を軽減できます。

具体的な施策例
  • メンター制度やバディ制度の導入
  • 入社1か月/3か月/6か月でのフォロー面談
  • チーム単位での歓迎会や交流イベント開催

3.定期面談で不安や不満を早期に把握する

若手社員の不満や悩みは、なかなか自分から発信しにくいものです。定期的に面談を設けることで、表面化しにくい問題を早期に察知し、対応することが可能になります。

対話を重ねることが信頼関係の構築にもつながるため、積極的にコミュニケーションの機会を設けましょう。

具体的な施策例
  • 月1回の上司との1on1ミーティング
  • 匿名で意見を出せるアンケート制度の導入
  • メンタルケアを重視したキャリア面談の実施

4.成長支援の機会や仕組みの整備

若手社員は、成長の実感を持てるかどうかが定着に大きく影響します。日々の業務だけでなく、スキルアップやキャリア形成の支援があることで、仕事に対する前向きな姿勢が育まれます。

具体的な施策例
  • 社内外の研修プログラムの提供
  • キャリア相談窓口の設置
  • 挑戦を奨励するジョブローテーション制度

5.柔軟な働き方を導入する

働き方の多様化が進む中で、画一的な勤務体制は若手社員の離職要因になることもあります。ライフスタイルに合った柔軟な働き方を提供することで、社員の満足度や定着率を高めることが可能です。

導入する際は、事前にアンケートや面談で現場のニーズを把握しておくことが重要です。

具体的な施策例
  • テレワークやフレックスタイム制の導入
  • 私用による中抜けを認める制度設計
  • 育児・介護との両立支援制度の拡充

6.労働条件を見直す

待遇に対する不満も早期離職の一因で、特に労働時間や給与が他社と比べて見劣りする場合は、若手の流出につながります。ただ単純に給与水準を上げるのではなく、市場の水準や社員の声を参考にしながら、適切な条件を整える必要があります。

具体的な施策例
  • 残業時間の見直しと適正な管理
  • 年収水準の定期的な市場比較と調整
  • 福利厚生の充実(住宅手当、食事補助など)

7.人事評価制度の整備

努力や成果が正当に評価されないと、やる気を失い、離職につながる可能性があります。納得感のある評価制度を整え、フィードバックを定期的に行うことが、社員のモチベーション維持に直結します。

具体的な施策例
  • 評価基準の明文化と公開
  • 半期ごとの目標設定と振り返り面談
  • 上司以外からの多面評価(360度評価)の導入

早期離職の対策を成功させるためのポイント

早期離職の対策を成功させ、定着率を改善するにはただ施策を講じるだけでは不十分です。成功に向けた具体的なポイントをご紹介しますので、ぜひお役立てください。

  • 現場の声を継続的に収集して施策に反映する
  • 現場と人事が連携して一貫性のある取り組みを行う
  • 数値だけでなく背景や傾向も分析する
  • 継続的な見直しと改善を前提に取り組む

現場の声を継続的に収集して施策に反映する

早期離職の防止には、現場で実際に働く若手社員の声を丁寧に拾い上げることが欠かせません。

管理職や人事だけで課題を推測するのではなく、定期的なアンケートや1on1ミーティングなどを通じて、リアルな課題や悩みを把握し、施策に反映させることが重要です。また、意見を聞くだけでなく、反映された内容や改善の進捗を社員にフィードバックすることで、企業への信頼感やエンゲージメント向上にもつながります。

現場の声を継続的に吸い上げる仕組みが、離職防止の基盤になります。

現場と人事が連携して一貫性のある取り組みを行う

早期離職対策は人事部門だけの取り組みでは不十分です。現場の上司やチームリーダーが、日々の業務の中でどれだけ若手社員に目を配り、成長や悩みに寄り添えるかが鍵となります。

そのためには、人事と現場が連携し、同じ目的意識のもとで一貫した施策を行うことが重要です。例えば、評価制度や面談内容が人事と現場で食い違っていると、若手社員は混乱し、不信感を抱く原因となります。

役割分担を明確にし、情報共有や連携体制を整えることが、組織全体での離職防止に直結するでしょう。

数値だけでなく背景や傾向も分析する

離職率や勤続年数などの数値は、早期離職の実態を把握するうえで重要な指標です。しかし、数値の変動だけを追うのではなく、「なぜ離職したのか」「どの部署や職種に集中しているのか」といった背景や傾向を深掘りして分析することが必要です。

退職理由の傾向を見極めることで、潜在的な問題点が浮かび上がり、より効果的な対策を立てることができます。定量データと定性情報を組み合わせた分析を行うことで、表面的でない、実効性の高い離職防止策が見えてくるでしょう。

継続的な見直しと改善を前提に取り組む

早期離職の防止対策は一度実施すれば終わりではなく、常に見直しと改善が求められる取り組みです。時代の変化や若手社員の価値観の多様化により、働きやすさの基準や求める支援も変わっていきます。

そのため、施策の効果を定期的に検証し、必要に応じて柔軟にアップデートする姿勢が重要です。また、社員からのフィードバックを施策の改善に活かすことで、対話型の組織文化を醸成することにもつながります。

継続的なPDCAサイクルを意識した運用が、長期的な離職防止のカギとなります。

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まとめ

本記事では、早期離職の防止に有効な7つの対策や離職率の平均、成のポイント、若手に多い退職理由、離職の兆候について解説しました。

若手社員の早期離職を防ぐためには、単なる対症療法ではなく、採用から育成、定着に至るまでの一貫した取り組みが求められます。ミスマッチの防止や成長支援、柔軟な働き方の導入など、多角的な視点からの施策が必要です。

また、現場の声を継続的に取り入れ、変化に応じた見直しと改善を行うことで、効果的な離職防止が実現できます。若手が長く安心して働ける職場づくりを目指し、自社に合った施策を実行していくことが、これからの組織の持続的な成長につながるでしょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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AME&Company編集部では、人事労務やマネジメントに関するお役立ち情報を発信しています。

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