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保育士の離職防止に向けた6つの施策!平均離職率や原因、対策の施策事例も解説

保育士の人手不足が深刻化する昨今、いかに定着化を図るかが保育業界の課題となりつつあります。しかし、いざ離職防止に取り組もうと思っても、離職率改善に向けた具体的な施策がわからずお困りの方も多いでしょう。

本記事では、保育士の離職防止に向けた施策について解説しています。保育士の平均離職率や離職率が高い保育所の特徴、よくある退職理由、定着化に成功した保育所の事例も紹介していますので、ぜひお役立てください。

保育士が安心して働ける環境を整え、子どもたちに質の高い保育を提供するためのヒントを掴みましょう。

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保育士の離職率について

「保育士の離職率は高い」というイメージを持つ方は少なくないでしょう。まずは昨今の保育士の離職率について、以下の3項目から詳しく見ていきましょう。

  • 保育士の離職率は9.3%
  • 公営保育所よりも私営保育所の方が離職率が高い
  • 経験2年未満の若手保育士の離職率は15.5%

保育士の離職率は9.3%

厚生労働省が令和2年に発表したデータによると、保育士の離職率は9.3%です。日本における令和5年の平均離職率は15.4%であるため、保育士の離職率は他の職種と比較すると高くないことがわかります。

しかし、前述の離職率は保育士全体の数値です。経営主体別や勤続年数別の離職率を見ていくと、これらの数値が保育士不足が深刻化する中で現場に大きな影響を及ぼしており、離職による人材ロスが施設運営に直接的な負担となっています。

公営保育所よりも私営保育所の方が離職率が高い

経営主体別で保育士の離職率を見ると、公営保育所の離職率は5.9%に対して私営保育所は10.7%という結果が出ています。公営保育所よりも私営保育所は、約1.8倍離職率が高いのが現状です。

公営保育所では安定した雇用条件が提供されることが多く、賃金や勤務時間が比較的整備されています。一方、私営保育所では人件費の制約から十分な待遇を整えるのが難しい場合があり、保育士の満足度が低下しやすい傾向にあると考えられるでしょう。

経験2年未満の若手保育士の離職率は15.5%

厚生労働省が発表したデータの中でも、経験2年未満の若手保育士の離職率は特に高く、15.5%に達しています。この数値は他の経験層と比較しても顕著に高く、若手保育士が現場に適応するのに苦労している現状を反映しています。

主な要因としては、仕事のミスマッチや現場でのサポート不足、過重労働が挙げられるでしょう。特に、新卒保育士は職務経験が浅いため、業務に対する不安や負担感を強く感じやすい傾向があります。

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離職率が高い保育所・保育園の3つの特徴

離職率が高くなってしまう保育所・保育園にはどのような特徴があるのでしょうか?職員が定着しづらい施設の特徴をご紹介しますので、当てはまっていないかチェックしてみましょう。

  1. 慢性的な保育士不足に陥っている
  2. 新人や若手保育士へのサポート体制が不十分
  3. 低賃金や昇給の見込みが少ない給与体系

1.慢性的な保育士不足に陥っている

離職率が高い保育園・保育所では、慢性的な保育士不足に陥っているケースが多く見られます。

保育士が不足すると一人ひとりの業務負担が増加し、長時間労働や休憩が取りにくい状況が生じやすくなります。次第に現場のストレスが高まり、連鎖退職を引き起こす悪循環が発生する恐れもあるでしょう。

また、十分な人員が確保できないと、保育の質にも影響を及ぼし、保護者からの不満が増加することも問題です。慢性的な人手不足を防ぐためには、働きやすい環境を整え、保育士の定着率を高める取り組みが必要不可欠です。

2.新人や若手保育士へのサポート体制が不十分

新人や若手保育士へのサポート体制が不十分な保育園・保育所は、離職率が高い傾向にあります。

特に、職場に慣れるための研修やフォローアップが欠如していると、新人保育士が現場に適応できず、不安やストレスを抱えやすくなります。また、ベテラン保育士からの適切な指導やサポートが得られない場合、仕事に対するモチベーションが低下することもあります。

3.低賃金や昇給の見込みが少ない給与体系

保育士の離職率が施設の特徴の一つに、低賃金や昇給の見込みが少ない給与体系も挙げられるでしょう。

特に、私営保育所では財政的な制約が大きく、他職種と比較しても給与が低い場合が多いです。また、業務量や責任の重さに対して給与が見合わないと感じる保育士が多く、不満が蓄積されやすい状況です。

このような待遇の悪さは、保育士のやりがいや働き続ける意欲を損ない、離職の原因となります。

保育士の離職率が高くなる原因は?よくある退職理由

平均よりも自身が所属する保育所・保育園の離職率が高い場合、職場環境に何かしらの課題が潜んでいる可能性が高いと考えられます。よくある保育士の退職理由とともに、代表的な原因について詳しく見ていきましょう。

  • 職場内の人間関係によるストレス
  • 保護者対応や事務作業の負担増加
  • 長時間労働と休憩時間の不足
  • 給与や福利厚生への不満
  • キャリア成長やスキルアップの機会不足

職場内の人間関係によるストレス

保育士の離職理由として、職場内の人間関係によるストレスは非常に多く挙げられます。

保育現場では保育士同士の連携が欠かせない一方で、上下関係やコミュニケーションの問題が原因で摩擦が生じることが少なくありません。特に、指導方針や業務分担に関する意見の対立が長期化すると、ストレスが蓄積しやすくなります。

また、リーダーや上司からの過度な指導やサポート不足も、保育士の離職率が高くなる要因となり得ます。

保護者対応や事務作業の負担増加

保育士の仕事は子どもの世話だけでなく、保護者対応や事務作業にも時間を割く必要があります。

特に、保護者からの要望やクレーム対応が過剰になると、精神的な負担が増大します。また、書類作成や記録業務が多く、通常の保育業務と並行して行う必要があるため、業務過多に陥るケースが非常に多いです。

このような精神的・身体的な負担が長期的に続くと、保育士はモチベーションを維持できず、離職を選択してしまいます。

長時間労働と休憩時間の不足

保育士の離職理由の中でも、長時間労働と休憩時間の不足は深刻な問題です。

保育業務は子どもたちの安全を守る責任が大きく、早朝から夜遅くまで勤務が続くことも少なくありません。また、子どもたちが休憩中でも、準備や記録作業などで休憩を取る時間が確保できない場合があります。

特に発表会等の行事の際の業務負担は大きく、過重労働となってしまう傾向にあります。

給与や福利厚生への不満

保育士の給与や福利厚生に対する不満も、離職理由として頻繁に挙げられます。

保育士の給与水準は他の専門職と比べても低い傾向にあり、仕事の責任や業務量に見合わないと感じる人が多いです。また、昇給の機会が少ない職場や、福利厚生が十分に整備されていない環境では、保育士のモチベーションが低下しやすくなります。

キャリア成長やスキルアップの機会不足

保育士の離職理由として、キャリア成長やスキルアップの機会が不足していることも挙げられます。

日々の業務に追われる中で、自己成長や専門知識を深めるための研修やセミナーに参加する時間を確保できないケースが多いです。また、昇進のチャンスが少ない職場では、将来的なキャリアに対する不安が高まり、転職を選ぶ保育士も増えています。

保育士の離職防止に向けた6つの施策!離職率改善の対策

いざ保育士の離職率を改善しようと思っても、具体的な施策が思い浮かばない方も多いでしょう。保育士の離職防止に向けた施策の例をご紹介しますので、ぜひ離職率改善にお役立てください。

  • 面談やアンケートで現場の声を聞く
  • シフト管理と業務分担の見直し
  • 待遇の改善と福利厚生の充実
  • 職場内コミュニケーションの活性化
  • 研修プログラムや資格取得サポートの提供
  • 離職防止ツールの導入

面談やアンケートで現場の声を聞く

保育士の離職防止には、現場の声を定期的に収集する仕組みを整えることが重要です。

定期的な個別面談を実施し、保育士が抱える不安や悩みを把握することで、適切なフォローが可能になります。また、匿名性のあるアンケートを活用することで、職場環境や業務負担に関する率直な意見を収集できます。

何より、職員の生の声には離職要因となる課題のヒントが隠されているため、確実性の高い施策を講じられるのが大きなメリットでしょう。

シフト管理と業務分担の見直し

保育士の働きやすい環境を整えるには、シフト管理と業務分担の見直しが欠かせません。

過剰な長時間労働や休日出勤を減らし、十分な休憩時間を確保することで、保育士の身体的・精神的な負担を軽減できます。また、業務分担を明確化することで業務の偏りを防ぎ、効率的な働き方を実現できるでしょう。

さらに、保育士の要望をヒアリングし、柔軟なシフト調整を行うことで、ワークライフバランスの向上にもつながります。

待遇の改善と福利厚生の充実

低賃金や不十分な福利厚生は、保育士の離職を引き起こす大きな要因です。

離職率を改善するためには、給与水準の引き上げや昇給制度の見直しが必要です。住宅手当や交通費支給、保育士自身の子どもが利用できる保育施設の提供など、福利厚生を充実させることも有効でしょう。

また、短時間勤務制度や育休後の復職サポート制度など、保育士のライフイベントに対応した福利厚生を整えることも離職防止につながります。

職場内コミュニケーションの活性化

職場内の人間関係を良好に保つことは、離職防止において重要です。

定期的な意見交換会や懇親会を実施することで、保育士同士が意見を共有し、相互理解を深める機会を提供できます。また、リーダーや管理職が職員との対話を積極的に行うことで、現場の課題を早期に把握し、適切なサポートを提供できます。

さらに、チームビルディングの活動を取り入れることで、職場内の連携が強化され、働きやすい環境が整うでしょう。

研修プログラムや資格取得サポートの提供

保育士がキャリア成長を実感できる環境を整えるためには、研修プログラムや資格取得サポートの提供が重要です。

定期的な研修を通じて、保育士のスキル向上を図ると同時に、最新の保育知識や技術を学ぶ機会を提供できます。また、資格取得にかかる費用を補助する制度を導入すれば、保育士の意欲を高めることができます。

離職防止ツールの導入

保育士の離職を防ぐためには、離職防止ツールを活用することも有効です。

離職防止ツールは、従業員満足度や離職リスク等を定期的に把握し、課題を可視化するのに役立ちます。例えば、アンケートや面談記録を自動的に収集・分析するツールを活用すれば、保育士の声を迅速に反映し、適切な改善策を講じることができます。

現場にできる限り業務負担がかからず、離職防止の施策の確実性を高められるツールを選ぶのが良いでしょう。

保育士の離職防止に成功した保育園の事例

保育士の離職率を改善するには、他所の保育所・保育園ではどのような施策を行っているかを知ることも重要です。離職防止に取り組む施設の事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

株式会社みらい あおぞら保育園・あおぞらキッズ保育園

静岡県で『あおぞら保育園』『あおぞらキッズ保育園』を運営する株式会社みらいでは、認可保育園への移行に伴い園児の受入が増加したため、保育士の採用が急務となっていました。そこで、保育士の定着を図るため以下の取り組みを行いました。

離職防止の施策例
  • 保育理念及び経営理念の浸透
    ホームページや採用サイト上で積極的に発信し、採用のミスマッチを防止
  • 月に1回、保育の中で生じた課題について議論する会議を開催
    意見を受け止めてもらえる場を提供し、定着につなげる
  • 有給休暇を1時間単位で取得可能に
    有給休暇を柔軟に取れる体制を作り保育士の負担を軽減

これらの取り組みを続けることで、株式会社みらいは高い定着率を実現、離職者がほとんどいないため、採用のコスト減少とともに、ゆとりある人員配置を可能にしました。

参考:厚生労働省「社員と共に成長する職場づくりのヒント・事例集」

社会福祉法人 祥榮福祉会 うえはら保育園

沖縄県の社会福祉法人 祥榮福祉会 うえはら保育園では、人材育成や定着、組織マネジメントに課題を感じていました。そこで、特に理念やビジョンの浸透を中心とした以下の施策を講じました。

離職防止の施策例
  • 理念やビジョンを整備し言語化する
    現場における理想の保育観をまとめて理念を作り、その理念に基づいたマネジメントを実施

理念やビジョンがあることで組織の方向性が定まり、現場からは保育の中で生じた課題の共有といった副次的な効果も得ることに成功しました。

参考:厚生労働省「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」

AI×現場の声で保育士の離職を防止!『HR pentest』

HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。

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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

本記事では、保育士の離職防止に向けた施策や平均離職率、離職率が高い保育所の特徴、よくある退職理由、定着化の成功事例について解説しました。

保育士の離職を防ぐためには、現場での課題を正確に把握し、根本的な改善に取り組むことが求められます。シフト管理や待遇の改善、新人保育士へのサポート体制の強化といった施策を実施することで、保育士が働きやすい環境を作ることができます。また、職場内のコミュニケーションを活性化し、キャリア成長を支援する取り組みを進めることで、保育士のやりがいを高めることが可能です。

保育士が安心して働き続けられる職場を実現することで、保育の質を向上させ、業界全体の発展につなげていきましょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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編集部

AME&Company編集部では、人事労務やマネジメントに関するお役立ち情報を発信しています。

【AME&Company株式会社について】
「うまくできるを仕組みにする」をパーパスに、挑戦するヒト・企業が抱えるお悩みをテクノロジーで解決する会社です。

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