2025/12/23
人材育成【人事向け】昇格面談で何を聞く?質問例や進め方、課題も解説
昇格面談は、社員のキャリアと組織の成長を結びつける重要なプロセスです。そのうえで、成果や行動特性、マネジメント力、キャリア意欲などを総合的に把握するためには、適切な質問や進め方を押さえておくことが欠かせません。
本記事では、昇格面談の基本的な進め方や聞くべき質問項目についてまとめています。昇格面談でよくある逆質問とその回答例、人事が直面しがちな課題についても解説していますので、ぜひお役立てください。
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昇格面談とは?
昇格面談とは、社員を次の役職へと引き上げる際に、評価の妥当性や役割適性を確認するために行われる公式なプロセスです。単なる合否判定の場ではなく、これまでの実績や能力、マネジメント適性などを総合的に見極める機会として位置づけられています。
昇格面談を実施する目的
昇格面談の主な目的は、社員が新しい役職に求められる能力や責任を担えるかどうかを見極めることです。また、面談を通じて本人のキャリアビジョンや不安を把握し、今後の育成計画や配置判断に活かすことも狙いのひとつと言えます。
昇格後のミスマッチを防ぎ、組織と個人の双方にとって最適な判断を行うために欠かせないプロセスです。
昇格面談が重要な理由
昇格面談が重要とされるのは、組織のリーダー層の質を左右する重要な判断であるためです。適切な人材を昇格させることで、チームの士気向上や生産性向上につながります。
一方で、十分な適性確認を行わずに昇格させると、マネジメント不全や離職リスクの増加を招くこともあります。また、面談のプロセスを透明化することで「納得感のある評価」を実現し、社員のエンゲージメント向上にも寄与するでしょう。
昇格面談の基本的な進め方
昇格面談の基本的な進め方について解説します。昇格面談は、ただ評価を伝える場ではなく、候補者の強みや成長課題を把握し、昇格後の役割や期待値をすり合わせる重要なプロセスですので、事前準備からフィードバックまで、効果的に進める方法を見ていきましょう。
- 事前に評価データを整理
- 自己紹介とアイスブレイクで場を整える
- 昇格基準を共有してアピールを引き出す
- 実績と行動特性を深掘り
- 逆質問に応じる
- 総合評価と今後の課題をフィードバック
1.事前に評価データを整理
昇格面談をスムーズに進めるためには、事前準備が欠かせません。特に評価シートや定量実績、上司からのフィードバックなど、候補者に関する情報を整理しておくことが重要です。
また、過去の行動記録や成果のプロセスを把握しておくことで、表面的なアピールだけではなく本質的な能力評価につながります。事前準備の質が昇格判断の公平性にも大きく影響するため、丁寧な整理が求められます。
2.自己紹介とアイスブレイクで場を整える
昇格面談は候補者にとって緊張しやすい場であるため、冒頭でのコミュニケーションが重要です。
まずは簡単な自己紹介や近況確認など、アイスブレイクを取り入れることで、リラックスした環境を作れます。良い雰囲気をつくることで、候補者が率直に話しやすくなり、実力や考えを正しく引き出せる土台ができます。
また、面談の目的や全体の流れを共有することで、双方にとって納得感のある対話が生まれます。
3.昇格基準を共有してアピールを引き出す
候補者が適切に自己アピールできるよう、まずは昇格基準や求められる役割を明確に伝えることがポイントです。基準を共有することで、候補者は「どの強みを示すべきか」「どの成果を重点的に話すか」を判断しやすくなります。
基準が曖昧なままでは、面談者と候補者の認識がずれ、正しい評価につながりません。基準を提示した上で、成果・強み・工夫した点などを具体的に話してもらうと、アピール内容の質が上がり、能力の実像が見えやすくなります。
4.実績と行動特性を深掘り
昇格判断では、成果そのものだけでなく、成果に至る行動や判断も重要な評価軸です。そこで、候補者がどのようなプロセスで成果を出したのか、どんな課題にどう対処したのかといった行動特性を深掘りして確認しましょう。
プロセスを掘り下げることで、リーダーシップや問題解決力、再現性など、昇格後に求められる資質をより正確に判断できます。
5.逆質問に応じる
昇格面談の終盤では、候補者からの逆質問を受け付ける時間を設けることが有効です。昇格後の業務内容や役割、チーム体制など、候補者が抱く疑問に丁寧に答えることで、双方の認識をすり合わせることができます。
また、逆質問の内容から、候補者がどの程度役割を理解しているか、どれほど前向きに取り組もうとしているかといった意欲の深さも判断できます。透明性の高い説明は、不安や誤解を取り除き、昇格後のミスマッチ防止にもつながるでしょう。
6.総合評価と今後の課題をフィードバック
昇格面談の締めくくりとして、候補者に対して総合的な評価の方向性と、今後の成長ポイントをフィードバックしましょう。昇格の可否に関わらず、具体的な改善点や期待する行動を伝えることで、本人の成長意欲を高めることができます。
また、フィードバックは納得感を生む重要なプロセスであり、評価への信頼醸成にも直結します。曖昧な表現を避け、行動レベルで明確に伝えることがポイントです。
昇格面談で何を聞く?質問例について
昇格面談で聞くべき内容を整理しておくことで、候補者の実力や適性を正確に評価できます。成果や行動特性、キャリア意欲など、どのような質問で深掘りすべきか、具体例とともにご紹介します。
- これまでの成果に関する質問
- マネジメント力に関する質問
- 課題認識に関する質問
- キャリアビジョンに関する質問
- 仕事への姿勢に関する質問
これまでの成果に関する質問
昇格面談では、まずこれまでの成果を具体的に振り返ってもらうことが重要です。ここでは数値的な実績だけでなく、その成果を支えた行動や工夫、メンバーへの働きかけなど、プロセス面も確認しましょう。
成果の大小にかかわらず、どのように課題に向き合い、どのような改善を積み重ねたのかを把握することで、再現性の高い成果を生み出せる人物かどうかを判断できます。また、自身の成果を客観的に説明できるかどうかも、昇格に必要なコミュニケーション能力として重視されます。
マネジメント力に関する質問
昇格後の役割では、メンバーをまとめ、成果を最大化するマネジメント力が求められます。そのため、リーダーシップの発揮場面や、他者を動かす際の工夫、チームビルディングの経験を深掘りすることが欠かせません。
実際にどのような判断を行い、課題にどう向き合ったかというプロセスを聞くことで、管理職としての適性をより正確に把握できます。また、指示型・支援型など自身のマネジメントスタイルを理解しているかどうかも、昇格基準の大きな判断材料になります。
課題認識に関する質問
昇格を目指す上で、自分の強みだけでなく弱みをどれだけ正確に把握しているかは重要な評価ポイントです。課題を正しく認識し、改善のためにどんな行動を取ってきたかを確認することで、成長意欲や主体性を判断できます。
また、他者からのフィードバックをどう受け止め、どのように行動変容につなげているかも重要です。この項目を深掘りすることで、昇格後の役割に対する準備度合いや未然防止能力の高さを測ることができます。
キャリアビジョンに関する質問
昇格後のミスマッチを防ぐためには、本人がどのようなキャリアを描いているのかを理解することが欠かせません。昇格をどのように捉えているか、どんな役割に挑戦したいかを確認することで、意欲や方向性が組織の期待と一致しているかを判断できます。
また、長期的なキャリア視点を持っているかどうかは、持続的にチームを牽引できるリーダーの必須条件です。本人の価値観や目指す姿を丁寧に引き出すことで、その後の育成計画にもつなげることができます。
仕事への姿勢に関する質問
仕事に対する基本姿勢は、昇格における重要な判断材料です。モチベーションの源泉や、困難な状況でも前向きに取り組める理由、仕事で大切にしている価値観などを確認することで、長期的に組織へ貢献できるかどうかを判断できます。
また、責任感・誠実さ・主体性といった行動特性は、管理職として信頼されるために不可欠です。短期的な成果だけでは測れない、普段の取り組み姿勢を深掘りすることで、人物の芯を見極めることができます。
昇格面談でよくある逆質問と回答例
候補者からの逆質問は、昇格面談の理解度や意欲を測る重要な手がかりです。昇格後の役割や期待値、評価基準など、よくある逆質問と人事側の適切な回答例を見ていきましょう。
- 昇格後の役割や期待値に関する逆質問
- キャリアパスに関する逆質問
- チーム体制に関する逆質問
- 期待される成長領域に関する逆質問
昇格後の役割に関する逆質問
昇格面談では、候補者が昇格後の役割や期待値を正しく理解しているかを確認するために、役割に関する逆質問がよく出ます。役職が変わると、求められる視点や責任範囲も大きく変化するため、候補者としても認識のズレがないか確認したいという意図があります。
この質問に丁寧に答えることで、安心感や納得感を生むだけでなく、昇格後のパフォーマンスにも影響するでしょう。
逆質問と回答の具体例
- Q:昇格後に特に期待される役割は何でしょうか?
- A:新ポジションでは、メンバー育成とチーム全体の成果最大化が重要になります。まずは既存業務の引き継ぎ強化と、課題の整理に取り組んでほしいと考えています。
キャリアパスに関する逆質問
評価の透明性を求める声が高まる中、候補者が最も気にするのが「どう評価されるのか」という点です。そのため、多くの候補者は評価されるポイントや成長ステップを確認し、自身のキャリアパスと方向性が一致しているかを確認しようとします。
逆質問と回答の具体例
- Q:昇格後、どのような基準で評価されるのでしょうか?
- A:成果だけでなく、チームへの貢献度や育成の取り組みも評価対象になります。半年ごとにアクションをすり合わせながら進める想定です。
チーム体制に関する逆質問
昇格後の成果は、本人の能力だけでなく、周囲のサポート体制やチーム構成にも大きく左右されます。そのため、候補者が「どの程度裁量があるのか」「どんなメンバーと仕事をするのか」「支援体制はどうなっているか」を確認するのは自然なことです。
これらの逆質問から、候補者のリーダーとしての視点や、チーム全体を見渡そうとする姿勢がうかがえる点も重要です。
逆質問と回答の具体例
- Q:昇格後、どのようなチーム体制で業務を進めることになりますか?
- A:現状は4名体制ですが、今後の業務量を踏まえて増員を検討しています。裁量も大きく、体制づくりにも関与していただく予定です。
期待される成長領域に関する逆質問
候補者にとって、昇格はゴールではなく新しいスタートです。そのため、「自分に何が足りないのか」「会社としてどのような成長支援があるのか」を確認する逆質問がよく見られます。
こうした質問は、成長意欲が高い候補者ほど積極的に投げかける傾向があります。人事としては、現時点の評価と合わせて、今後強化してほしいポイントを明確に伝えることで、期待値を正しく共有することができるでしょう。
逆質問と回答の具体例
- Q:昇格後に特に強化すべきスキルや行動はありますか?
- A:業務推進力は十分ですが、部下育成に関するスキルをさらに高めてほしいと考えています。必要に応じて研修やメンター制度も活用できます。
昇格面談で人事が直面する課題
昇格面談では、評価の公平性や認識ギャップ、面談後のフォローといった人事ならではの課題が多く存在します。どのような問題が起きやすいのか、その対策とともに整理しておきましょう。
- 評価の公平性を確保する難しさ
- 候補者との認識相違によるミスマッチ
- 面談後のフォロー設計の負荷
評価の公平性を確保する難しさ
昇格面談において最も大きな課題のひとつが、評価の公平性を担保することです。面談者によって質問の深さや観点が異なると、候補者の印象に差が出てしまい、評価のばらつきにつながります。
また、成果だけでなく行動特性やリーダーシップなど定性的な評価項目が増えるほど、主観が入りやすくなる点も問題です。そのため、事前に評価基準を言語化し、面談者間で評価観点を統一する取り組みが不可欠となります。
候補者との認識相違によるミスマッチ
昇格面談では、候補者が「昇格後にどんな役割を期待されているのか」を正しく理解しているかが非常に重要です。しかし、役割や責任範囲が曖昧なまま昇格判断が行われると、本人が想像していた業務と実際の業務にギャップが生まれ、ミスマッチによるパフォーマンス低下を招くことがあります。
また、候補者側が昇格を「待遇の改善」として捉える一方、組織は「責任範囲の拡大」として期待しているなど、認識のずれが生じるケースも少なくありません。このギャップを防ぐためには、面談の中で役割期待・評価軸・業務範囲を明確に伝えることが不可欠です。
面談後のフォロー設計の負荷
昇格面談は判断して終わりではなく、面談後のフォローが大きな負担となることも課題です。昇格する場合は、スムーズに新しい役割へ移行できるよう業務引き継ぎや育成計画のサポートが欠かせません。
一方、昇格見送りとなった場合は、不満やモチベーション低下を防ぐために、納得感のある改善ポイントや次回に向けた成長支援を丁寧に提示する必要があります。また、多くの候補者がいる場合、人事や管理職のフォロー工数は急増し、通常業務に負荷がかかります。
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まとめ
本記事では、昇格面談の基本的な進め方や聞くべき質問項目についてまとめました。
昇格面談は、公平で納得感のある評価を行うための重要なステップです。面談を通じて候補者の成果や行動特性、キャリア意欲を正しく把握し、逆質問にも適切に応答することで認識ギャップを防ぎます。
また、面談後のフォローや育成計画も含めて設計することで、昇格後のパフォーマンス向上やモチベーション維持につながります。計画的かつ丁寧な面談運営が、組織の信頼性を高めるでしょう。