2025/10/01
人材育成レコグニションとは?人事制度に導入するメリット・企業事例も解説

近年、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることが、業績向上や離職防止の鍵となりつつあります。その中で注目されているのが、レコグニション制度です。
本記事では、レコグニション制度の意味や具体例をはじめ、基本的な導入手順や得られるメリット、注意点について解説しています。実際にレコグニション制度を導入して成果を得られた企業の事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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レコグニションとは?意味について
レコグニション(Recognition)とは、従業員の行動や成果、日々の貢献を認めて感謝や評価を伝える仕組みを指します。従来の人事評価制度が年次や半期ごとの査定を中心にしていたのに対し、レコグニションは日常的・即時的なフィードバックを重視する点が特徴です。
従業員一人ひとりの努力を可視化し、組織全体で承認する文化を醸成することで、モチベーション向上や離職防止につながるため、多くの企業で注目されています。
レコグニション制度の具体例
レコグニション制度は、従業員の努力や成果を日常的に認め、感謝や称賛を伝える仕組みです。形は企業によってさまざまで、金銭的なインセンティブから言葉による称賛まで幅広く存在します。
実際に多くの企業で導入されている、代表的なレコグニション制度の具体例には以下のようなものがあります。
制度名 | 内容 |
---|---|
ピアボーナス制度 | 社員同士が感謝や称賛の気持ちを送り合い、ポイントや金銭に交換できる仕組み |
バッジや称号の付与 | 定の行動や成果に応じてデジタルバッジや社内称号を授与する方法 |
社内SNSでの称賛投稿 | 専用チャットや社内SNSに、感謝や成功体験を投稿する取り組み |
表彰制度の強化 | 月間MVPや年間アワードを設け、成果や行動を公に評価 |
即時フィードバック面談 | 日常的に上司が社員へ短時間でフィードバックを行う仕組み |
レコグニション制度を導入するメリット
レコグニション制度を導入して効果的に運用することで、組織全体にポジティブな影響をもたらします。具体的にどのような効果が得られるのか、代表的なメリットを見ていきましょう。
- 従業員エンゲージメントの向上
- 従業員の離職率改善
- 組織文化の醸成
従業員エンゲージメントの向上
レコグニション制度は、従業員が日々の業務で示した行動や成果を即時に承認することで、仕事への主体性と組織への帰属意識を高めます。上司や同僚からの称賛が積み重なると、自分の貢献が認められている実感が生まれ、エンゲージメントが持続するものです。
例えばピアボーナスや社内SNSでの称賛、バッジ付与などで成功体験を可視化すれば、好事例の横展開が進み、個人・チーム双方の生産性向上にもつながります。定期的な承認のPDCAで効果を安定化させることが欠かせません。
従業員の離職率改善
レコグニション制度による日常的な承認は「評価されていない」という不満を和らげ、社員の心理的安全性や所属感を高めます。これにより不満からくる離職意向が低下し、特に中堅・エース社員の流出防止に有効です。
実務ではピアボーナス、1on1ミーティングでの即時フィードバック、定期表彰などを組み合わせ、定着率や平均勤続年数などで効果を測定しつつ、公平性と透明性を担保する運用設計が求められるでしょう。
組織文化の醸成
レコグニション制度によって称賛や感謝を日常化することで、組織が大事にする行動様式や価値観が定着します。可視化された表彰は模範行動を示し、他者の行動を学ぶ“社会的学習”を促すものです。
具体的には月次ミーティングでの受賞紹介や社内メディアでの成功事例、オンボーディングでの文化説明などを組み込み、長期的には採用ブランディングや社員推薦の活性化にも寄与します。
レコグニション制度の導入手順と注意点
レコグニション制度を効果的に運用するには、いくつかのポイントが存在します。制度の形骸化や不公平感を防ぐためにも、基本的な導入手順についてしっかり抑えておきましょう。
- 導入目的とゴールを明確にする
- 制度の形式と仕組みを設計する
- 従業員への周知と定着に向けた教育を行う
- 効果測定と改善を継続する
1.導入目的とゴールを明確にする
レコグニション制度を成功させるためには、まず導入の目的を明確にすることが欠かせません。例えば「社員のエンゲージメントを高めたい」「離職率を改善したい」といったゴールを定めることで、制度の方向性がぶれにくくなります。
目的が曖昧なまま導入すると、単なる表彰イベントや形骸化した仕組みになりがちです。経営層や人事部門だけでなく、現場の声も取り入れながら、どのような成果を期待するのかを明文化し、組織全体で共有することが重要です。
2.制度の形式と仕組みを設計する
目的が定まったら、自社に適した制度の形式を設計しましょう。例えば、従業員同士が感謝を送り合うピアボーナス、上司による即時フィードバック、社内SNSでの称賛共有、定期的な表彰制度など、導入可能な仕組みは多岐にわたります。
自社の規模や文化、リソースに応じて「金銭的報酬を伴うか」「非金銭的承認を中心にするか」などを判断することが必要です。評価基準や承認ルールをあらかじめ設け、社員が納得できる仕組みにすることが制度定着の鍵となります。
3.従業員への周知と定着に向けた教育を行う
レコグニション制度を導入しても、現場が仕組みを理解せずに利用しなければ効果は生まれません。そのため、導入時には丁寧な周知と教育が必要です。
例えば、キックオフ説明会やマニュアル配布、社内イントラネットでの特設ページ公開などを行い、社員が制度の意義や使い方を理解できる環境を整えましょう。また、管理職には率先して制度を利用し、模範を示す役割を持たせると効果的です。
導入直後は利用率が低迷しやすいため、初期はキャンペーンやインセンティブを設け、制度が自然に日常業務に溶け込むよう工夫することが定着のポイントです。
4.効果測定と改善を継続する
レコグニション制度は導入して終わりではなく、継続的な効果測定と改善が欠かせません。利用率や社員満足度、離職率の推移などを定量的に追いながら、制度が組織にどのような影響を与えているかを確認しましょう。
調査結果をもとに、承認方法の見直しや新しい仕組みの追加を行うことで、制度はより効果的に進化していきます。PDCAを回し続けることで、レコグニションが組織文化として根付き、長期的な成果につながるのです。
レコグニション制度を導入した企業の事例
レコグニション制度の効果を具体的にイメージするには、実際に導入している企業の事例が参考になります。他社がどのような運用をして成果に結びつけているのか、詳しく見ていきましょう。
- 事例1:日本マクドナルド株式会社
- 事例2:株式会社メルカリ
- 事例3:株式会社オリエンタルランド
事例1:日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルド株式会社では、社員・フランチャイズ法人・サプライヤーを対象に、グローバル規模でさまざまなアワードを設けました。これらのアワードは、優れた業績や貢献を称えるもので、組織全体のモチベーション向上に寄与しています。
また、店舗内では「サンキュー!」という言葉が日常的に交わされ、クルー同士が互いの行動や配慮に感謝の気持ちを伝える文化が根付いています。これにより、チームワークの強化と組織の一体感が生まれているのです。
事例2:株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、従業員同士が感謝や賞賛の言葉とともにポイントを付与できる「メルチップ」という制度を導入しています。この仕組みは1ポイント=1円として換算され、最も多くのポイントを獲得した従業員には「メルチップ賞」が授与されます。
導入から1か月で従業員の満足度が約87%に向上し、社員同士のコミュニケーションの活性化とエンゲージメントの向上に成功しました。
事例3:株式会社オリエンタルランド
株式会社オリエンタルランドでは、「マジカルディズニーキャスト」と呼ばれるレコグニション制度を実施。これは、キャスト同士が専用カードにメッセージを書いて称え合う活動で、1984年に「コーテシーキャンペーン」としてスタートし、年間を通じて行われています。
特に高く評価されたキャストは「マジカルディズニーキャスト」として選出され、キャラクターが描かれたピンバッジが授与されます。この制度はキャスト間の絆を深め、サービス品質の向上に貢献しました。
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まとめ
本記事では、レコグニション制度の意味や具体例をはじめ、基本的な導入手順や得られるメリット、注意点について解説しました。
レコグニション制度は、社員一人ひとりの貢献を可視化し、日常的に承認することで、モチベーション向上や離職率改善、健全な組織文化の醸成に効果を発揮します。導入にあたっては、目的の明確化、制度設計、社員への周知、運用ルール整備、効果測定の順で進めることが重要です。
自社に合った方法で実践すれば、組織全体の活性化につなげることができるでしょう。