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人的資本投資とは?具体例やリターンとなる効果、投資額の平均も解説

現代の企業経営において、人的資本投資は競争力を高めるための重要な要素となりつつあります。しかし、人的資本投資にはさまざまな課題があり、どのように実施すれば効果的に投資ができるのか、多くの企業が模索しているのが現状です。

本記事では、人的資本投資の概念や具体例について解説しています。投資額の平均やリターンとなる効果、よくある課題についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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人的資本投資とは?

人的資本投資とは、従業員の知識・スキル・健康・モチベーションなど、人材が持つ価値を高めるための投資です。

人的資本は財務資本や物的資本と並ぶ経営資源として位置付けられており、近年ではESG経営や人的資本開示の流れの中で注目が高まっています。企業が中長期的に成長するためには、単にコストとして捉えるのではなく、「未来への投資」として人的資本を捉える視点が求められています。

人的資本投資の平均投資額

内閣府の調査によると、2016年度における日本企業の1人あたりの年間人的資本投資額は約28万円と推計されています。​この投資額には、OJTやOFF-JTに費やした時間を賃金(時給)により金額換算した機会費用と、教育研修費などの直接費用が含まれます。

​内訳をみると、人的資本投資額の約64%がOJTの機会費用であり、直接投資は企業によってはゼロのところもあり、1人あたりの平均でみると人的資本投資額に占める割合は3%程度と、非常に少ないことがわかりました。​また、企業規模によっても差があり、上場企業では約36万円、非上場企業では約25万円が投資されているとされています。

人的資本投資の効果は?5つのリターン

積極的な人的資本投資によって、企業は様々なリターンを得ることができます。特に顕著な効果として現れいやすい、5つの項目について解説していきます。

  1. 生産性の向上
  2. 離職率の低下
  3. イノベーションの創出
  4. エンゲージメントの強化
  5. 企業ブランドの向上

効果1:生産性の向上

人的資本投資により従業員のスキルや知識が向上すれば、業務の効率化やミスの削減につながり、生産性が大きく向上します。たとえば、ITツールの研修を受けた社員は、同じ業務を短時間でこなせるようになり、結果として全体の業績向上に寄与するでしょう。

また、マネジメント研修やコミュニケーションスキル向上もチーム全体の連携力を高め、業務の停滞を防ぎます。このように、人的資本への継続的な投資は、企業全体のパフォーマンスを底上げする重要な要素です。

効果2:離職率の低下

社員への研修やキャリア支援といった取り組みは、従業員が自分の成長を実感しやすくなり、会社への満足度や忠誠心を高めます。これらの人的資本投資は、結果として従業員の離職率低下につながります。

特に若手社員や中堅層にとって、自分の市場価値を高められる環境があることは、企業に長く留まる大きな動機となるでしょう。また、人的資本への投資は「社員を大切にする企業」としての評価にもつながり、働きやすい職場環境の実現にも貢献します。

効果3:イノベーションの創出

人的資本投資は、社員が新たな知識や視点を獲得するきっかけとなり、イノベーションの創出を促進します。たとえば、外部セミナーや異業種交流会への参加、クリエイティブな思考を促す研修は、既存の枠を超えた発想を生み出すでしょう。

特に知識集約型の産業においては、社員一人ひとりの学びが新しいビジネスモデルやサービスの種になります。学習機会を提供する企業は、変化に強く、持続的に成長できる組織として進化し続けることが可能です。

効果4:エンゲージメントの強化

従業員のエンゲージメントを高めるには、自身の成長を実感できる環境が不可欠です。研修やキャリア開発支援を通じて、企業が個々の成長をサポートしていると実感すれば、社員は企業の目標に主体的に関与するようになります。

また、成長機会の提供は「評価されている」「期待されている」というポジティブな感情を引き出し、業務への意欲やコミットメントを高める効果もあります。人的資本投資は、組織と個人の信頼関係を強固にする基盤となるのです。

効果5:企業ブランドの向上

人的資本への投資は、企業の対外的なイメージ向上にも大きく貢献します。従業員を大切にし、育成に注力している企業は求職者から「魅力的な職場」として評価されやすくなるでしょう。

また、人的資本開示の推進により、投資家や社会からもその取り組みが注目されるようになっています。人材育成に積極的な企業は採用力が高まり、優秀な人材を確保しやすくなると同時に、社内外の信頼を獲得することにもつながります。

人的資本投資で取り組むべき施策と具体例

人的資本投資に取り組む際は、具体的かつ効果的な施策を講じることが求められます。特に重要な施策の具体例をご紹介しますので、ぜひ自社の人的資本投資の参考にしてください。

  • 研修・教育制度の充実化
  • キャリア開発と目標設定の支援
  • ワークライフバランスの整備
  • 給与や福利厚生の改善
  • HRテックの導入

研修・教育制度の充実化

人的資本投資の基本は、従業員のスキル向上を目的とした研修や教育制度の整備です。

新入社員研修、階層別研修、専門スキル研修などを通じて、業務に直結する知識やノウハウを習得させることができます。また、eラーニングや外部講師を活用することで、学びの幅や深さを拡張できるでしょう。

さらに、資格取得支援や受講費用の補助などを制度化することで、社員の自発的な学習意欲を高め、企業全体の知的資産の底上げにつながります。

キャリア開発と目標設定の支援

従業員一人ひとりが自身のキャリアを描ける環境を整えることも、人的資本投資において重要です。

キャリア面談や1on1ミーティングを通じて将来の方向性を確認し、個人目標と組織目標をすり合わせることで、モチベーションと成果の両立を図ります。タレントマネジメントシステムを活用し、適切な人材配置やスキル可視化を行うことも有効です。

成長実感を得られる仕組みを用意することで、長期的な人材育成とエンゲージメント向上が期待できます。

ワークライフバランスの整備

働きやすい環境を整えることも、人的資本への有効な投資です。

フレックスタイム制度やリモートワーク、育児・介護支援制度など、多様なライフスタイルに対応できる柔軟な働き方の導入が求められています。過重労働を防ぐ勤務時間の管理や、有給休暇の取得推進も重要です。

ワークライフバランスの整備は、従業員の心身の健康が保たれ、仕事への集中力や生産性の向上にもつながります。働きやすさは企業の魅力として、採用や定着にも好影響を与えるでしょう。

給与や福利厚生の改善

報酬制度や福利厚生の充実も、人的資本への投資として見逃せません。

成果に応じた適切な報酬を提供することは、社員のモチベーション向上につながります。また、住宅手当や食事補助、育児休業制度などの福利厚生は、従業員の生活安定に貢献し、働き続けやすい環境を構築するでしょう。

近年ではウェルビーイングを意識した施策として、健康診断の強化やカウンセリングサービスの導入なども注目されています。

HRテックの導入

人的資本管理を効率化・高度化するためにHRテック(HRテクノロジー)を導入することも重要です。

人事データをAIで分析するシステム、社員のスキルや評価を一元管理するタレントマネジメントシステムなどを導入することで、データに基づいた人材戦略が可能になります。適材適所の人材配置や早期離職の防止、育成計画の最適化などが実現するでしょう。

人的資本投資における課題

企業が人的資本投資に取り組むにあたって、様々な課題と直面することがあります。代表的な課題を3つご紹介しますので、詳しく見ていきましょう。

  • 投資の効果測定が難しい
  • 中小企業におけるリソース不足
  • 従業員の学習意欲や定着率の課題

投資の効果測定が難しい

人的資本投資は成果が数値で直ちに現れにくく、効果の測定が難しいという課題があります。

たとえば研修を実施しても、従業員の成長が業績にどう影響したかを明確に結びつけるのは困難です。また、定量的なKPIが設定されていない場合、投資対効果を示すことができず、社内での予算確保や継続的な改善が滞る恐れもあるでしょう。

近年ではHRテックを活用してデータを可視化し、スキルの定着や行動変容を定量化する動きが出てきており、こうした手法の活用が今後のカギとなります。

中小企業におけるリソース不足

人的資本投資は中小企業にとって非常に重要である一方、時間・予算・人材といったリソースの制約は大きな壁です。

特に教育研修の外部委託費用や専門人材の確保にはコストがかかり、日々の業務に追われて実施が後回しになることも多くあります。また、社内に育成ノウハウや制度設計の知見がない場合、施策が場当たり的になるケースも少なくありません。

こうした中、自治体や業界団体が提供する支援策の活用や、他社との連携を図ることが現実的な解決策として注目されています。

従業員の学習意欲や定着率の課題

人的資本投資の成果を引き出すには、従業員の学習意欲や企業への定着が前提となります。

しかし、キャリアの多様化が進む中で「学んだ後に転職されてしまう」といった懸念を持つ企業も少なくありません。また、従業員側も自らの成長が実感できない、あるいは会社からの支援が不十分だと感じると、学習意欲が低下しやすくなります。

こうした課題に対しては、社員のキャリアビジョンと企業の方針をすり合わせる対話の場を増やし、内発的な動機を育む環境づくりが重要です。

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まとめ

本記事では、人的資本投資の概念や具体例、投資額の平均、リターンとなる効果、よくある課題について解説しました。

人的資本投資は、企業の成長を支える基盤となる重要な戦略の一つです。教育や研修、キャリア開発などの施策を通じて従業員のスキル向上やモチベーションの向上が期待でき、結果として企業の競争力を強化することができます。

しかし、投資の効果を測定する難しさや、リソースが限られた中小企業における施策の実行の難しさ、そして従業員の学習意欲や定着率の課題など、克服すべき障壁も多くあります。企業は、人的資本投資を成功させるために、長期的な視点で投資の価値を認識し、効果的な施策を設計・実施していくことが求められるでしょう。

これにより、従業員の成長が企業の成長に直結し、持続的な競争力を確保することが可能となります。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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