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建設業界の平均離職率は?よくある退職理由と離職防止の対策も解説

建設業界では、少子高齢化による人手不足が深刻化しており、とりわけ若手人材の確保と定着が大きな課題となっています。働き方改革が進む中で、労働環境や待遇の見直しが求められていますが、いまだ業界特有の課題に悩む企業も少なくありません。

本記事では、建設業界における平均離職率や改善に向けた施策について解説しています。令和における離職率の推移や上がる原因、改善に成功した企業の事例もまとめました。

建設業界の企業で従業員の離職率にお困りの際は、ぜひ本記事をお役立てください。

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建設業界は離職率が高い?平均離職率について

慢性的な人手不足に悩む企業は多く、建設業界においても離職率が課題となっている企業は少なくありません。特に若年層や未経験者の定着が難しく、経験を積んだ人材の確保も困難な状況です。

まずは、厚生労働省の調査をもとに、建設業界の平均離職率やその推移について詳しく見ていきましょう。

  • 建設業界の平均離職率は10.1%
  • 建設業界における入社3年以内の平均離職率
  • 令和における建設業界の離職率の推移

建設業界の平均離職率は10.1%

厚生労働省の『令和5年雇用動向調査結果の概況』によると、建設業界の平均離職率は10.1%です。同調査における全産業平均の12.5%と比較すると低い水準ではありますが、入職率は10.0%とやや離職率が上回っているため、業界内では依然として人材の定着が課題とされています。

離職率が10%を超える状態が続くことで、現場の安定運営や後継者育成にも影響が及ぶため、企業ごとの離職防止対策が求められているのが現状です。

建設業界における入社3年以内の平均離職率

厚生労働省の『新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)』によると、入社3年以内大卒者の平均離職率は30.7%、高卒者は43.2%という結果でした。

同調査の産業全体の平均離職率は大卒者で34.9%、高卒者は38.4%です。建設業界の平均離職率と比較すると、高卒者の平均離職率が高いことがわかります。

いずれの学卒者も入社3年以内に約3割が離職しているため、建設業界における企業は離職率改善の取り組みが求められるでしょう。

令和における建設業界の離職率の推移

建設業界の離職率は令和元年以降、おおむね9〜10%台で推移しています。令和元年〜令和3年は9%台とほぼ横ばいでしたが、令和4年以降は10%台に上昇しました。

若手人材の確保が難しい一方で、熟練労働者の高齢化も進んでおり、業界全体として離職率の抑制に向けた取り組みが重要となっています。

建設業界の平均離職率の推移
  • 令和5年の建設業界の平均離職率:10.1%
  • 令和4年の建設業界の平均離職率:10.5%
  • 令和3年の建設業界の平均離職率:9.3%
  • 令和2年の建設業界の平均離職率:9.5%
  • 令和元年の建設業界の平均離職率:9.2%

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建設業界の離職率が上がる原因は?よくある退職理由

離職率を改善するためには、従業員が離職する原因をしっかり把握しておくことが重要です。従業員が離職する理由は様々ですが、建設業界の企業においては主に以下の理由での退職が多くなっています。

  • 労働環境の厳しさと業務負担の大きさ
  • 業務量に対する待遇面への不満
  • 人間関係のトラブル
  • 将来性への不安

労働環境の厳しさと業務負担の大きさ

建設業界は屋外での作業が中心となるため、天候や気温の影響を大きく受けます。夏の猛暑や冬の寒さ、雨天での作業など、体力的な負担が非常に大きいことが特徴です。

また、高所作業や重機の操作など、常に危険と隣り合わせの現場で働くことが求められるため、精神的なストレスも少なくありません。加えて、納期や工程に追われる現場では残業や休日出勤が発生することも多く、ワークライフバランスの確保が難しいのが実情です。

こうした厳しい労働環境が続くことで、心身ともに疲弊し、離職を選ぶ人が多い傾向にあります。

業務量に対する待遇面への不満

建設業界では、肉体的・精神的に負荷の高い業務が日常的に発生しますが、それに見合った報酬が得られていないと感じる労働者は少なくありません。特に若手や未経験者の場合、スキルや経験が十分でないことを理由に賃金が抑えられがちで、長時間労働をしても生活に余裕が持てないケースもあります。

また、現場ごとの契約体系や賞与の有無など、待遇面にばらつきがあることも不満の種になります。「頑張っても報われない」と感じることがモチベーション低下につながり、最終的に他業種へ転職する決断を促す要因となっているのです。

人間関係のトラブル

建設現場では、チームワークが重要とされる一方で、上下関係や年齢層のギャップ、厳しい指導などが原因で人間関係のトラブルが起こりやすい傾向にあります。特に、ベテランと若手の間での価値観の違いやコミュニケーション不足が摩擦を生むことが少なくありません。

また、現場によってはパワハラまがいの指導が見られることもあり、職場に居づらさを感じて離職を決意するケースもあります。建設業界に限らず、人間関係の悩みは退職理由として非常に多く報告されており、風通しの良い職場づくりが課題とされています。

将来性への不安

建設業界では、明確なキャリアパスが用意されていない企業も多く、将来的にどのようなスキルが身につき、どのポジションを目指せるのかが不透明な場合があります。また、年功序列や職人文化が色濃く残る職場では、努力や成果が評価されにくく、「このまま続けても先が見えない」と感じる若手が増えています。

加えて、建設需要の地域差や景気の影響を受けやすい業界特性もあり、雇用の安定性に不安を抱える人も少なくありません。こうした将来への不安が、離職や異業種への転職を選ぶ大きな要因となっているのです。

建設業界の離職率を改善!離職防止の施策例

離職率を改善するには、現場の状況や従業員のニーズに合わせた施策を講じることが求められます。以下に建設業界の企業が取り入れやすい施策の例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 労働時間の適正化と休日の確保
  • 給与や手当の見直しと待遇改善
  • 職場の人間関係を良好に保つ取り組み
  • 研修制度の充実でキャリア支援
  • 若手社員の定着を図るメンター制度の導入

労働時間の適正化と休日の確保

建設業界の離職防止において、労働時間の見直しと休日の確保は極めて重要な施策です。長時間労働や休日出勤が常態化している現場では、心身の疲労が蓄積しやすく、離職のリスクが高まります。

そこで、勤務シフトの見直しや、週休二日制の導入、IT技術を活用した工程管理の効率化などを行う企業が増えています。また、計画的に休暇を取得できる仕組みを整えることで、従業員の生活の質が向上し、定着率の改善にもつながるでしょう。

まずは働き方改革の一環として、過重労働の是正に取り組むことが求められます。

給与や手当の見直しと待遇改善

従業員が安心して働き続けるためには、業務量や責任に見合った給与・手当の整備が欠かせません。建設業界では、肉体的・精神的に厳しい仕事にも関わらず、報酬面での満足度が低いことが離職の一因となっています。

そのため、基本給の引き上げや技能手当、現場手当、資格手当の導入・拡充などによって待遇を改善する企業が増加中です。加えて、賞与や退職金制度の明確化も従業員の安心感につながります。

公平で納得感のある報酬体系を整えることが、離職率の低下と人材の定着に直結します。

職場の人間関係を良好に保つ取り組み

職場の人間関係が円滑であることは、従業員の働きやすさに直結する重要な要素です。建設現場では、上下関係の厳しさや職人文化が根強く残っていることもあり、若手や未経験者がなじめずに辞めてしまうケースも少なくありません。

そこで、社内コミュニケーションの活性化や、ハラスメント防止研修の実施、定期的な1on1ミーティングなどを導入する企業が増えています。また、チームビルディングや社内イベントを通じて、現場の雰囲気を和らげる工夫も有効です。

風通しの良い職場づくりが、離職防止の大きなカギとなります。

研修制度の充実でキャリア支援

将来的なキャリアパスが明確でないことが原因で離職に至るケースも多いため、体系的な研修制度の整備は重要です。

入社時の基礎研修から、OJTや技術研修、資格取得支援制度までを一貫して整えることで、従業員は自らの成長を実感しやすくなります。特に若手社員には、将来のビジョンを描けるようなキャリアプラン提示やスキルアップの機会が求められます。

会社として成長を後押しする姿勢を示すことで、従業員のモチベーション向上と長期的な定着につながるでしょう。

若手社員の定着を図るメンター制度の導入

入社後間もない時期は、不安や孤独を感じやすく、離職が発生しやすいタイミングです。そこで注目されているのが、若手社員に対して先輩社員が付き添い、日常業務や悩みの相談に応じるメンター制度です。

定期的な面談や日常の声かけを通じて、不安を早期に解消し、安心して業務に取り組める環境を整えます。特に現場経験の浅い社員にとって、頼れる存在が近くにいることは大きな支えとなります。

新人の早期離職を防ぎ、組織内での信頼関係を構築するうえでも、効果的な施策と言えるでしょう。

建設業界の離職率を改善した企業の成功事例

離職率改善の施策を講じる際、他社がどのような取り組みを行ったのかを参考にするのも有効です。離職率の改善に取り組んだ建設業界の企業の事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  1. 株式会社三和建設
  2. 株式会社荒木組
  3. 隂山建設株式会社

事例1:株式会社三和建設

株式会社三和建設では、新卒社員の3年以内離職率が50%に達していたことが課題でした。この問題に対処するため、同社は「ひとづくり寮」プロジェクトを開始。新卒社員が1年間共同生活を通じて同期との絆を深めながら、社会人としてのスキルを身につける環境を整備しました。

また、経営理念「つくるひとをつくる」を共有し、経営陣と社員が一体となった組織改革を推進。その結果、新卒3年以内の離職率をゼロに抑え、社員数や経常利益率も向上しました。

参考:三和建設株式会社:新卒3年以内の離職率50%を0%にした三和建設の取り組み [講演レポート] | 日本の人事部「HRカンファレンス」

事例2:株式会社荒木組

岡山県の総合建設会社である株式会社荒木組は、建設現場の労働環境改善に早期から取り組んできました。

同社は、ICT技術の導入や協力会社との連携強化を図る「アラキ・アカデミー」の実施など、働き方改革を推進。また、本社内には壁面緑化や畳敷きのリフレッシュルームを完備し、従業員の快適な職場環境を整備しています。

これらの取り組みにより、離職率の改善とともに、従業員の満足度向上を実現しています。

参考:株式会社荒木組 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省

事例3:隂山建設株式会社

隂山建設株式会社は、リーマンショックによる経営危機を機に、守りの経営から攻めの経営へと方針を転換。

顧客満足度と現場の効率化を目的に、自社開発のアプリを導入しました。工事進捗や労務管理の可視化を実現し、社内外の関係者が一体となって現場を支える体制を構築。これにより、働きやすい環境が整い、従業員の定着率が向上しました。

アプリの活用で顧客との接点も増え、若手社員のやりがいや女性社員の活躍機会も広がっています。その結果、従来は年間1名程度だった採用が直近5年間で17名に増加し、離職の抑制にもつながっています。

参考:地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集|厚生労働省

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HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。

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まとめ

本記事では、建設業界における平均離職率や改善に向けた施策について解説しました。

建設業界では、人手不足が続く中で、いかに人材を確保し、定着させるかが重要な経営課題となっています。離職の背景には、労働環境や待遇、人間関係、将来への不安といった複合的な要因があり、それぞれに対応した施策が求められます。

労働時間の適正化やキャリア支援、職場の人間関係改善など、企業の取り組み次第で定着率を高めることは十分に可能です。実際に、デジタル化や柔軟な働き方の導入により成果を上げている企業も存在します。

今後も長期的に安定した人材確保を目指すためには、社員一人ひとりの働きやすさを追求し続ける姿勢が不可欠です。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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