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介護職員の離職を対策!よくある退職理由と離職率、離職防止事例を解説

慢性的な人手不足に悩まされている介護業界では、介護職員の離職防止が急務となっています。しかし、いざ離職を対策しようと思っても、なぜ職員が離職してしまうのか、どのような施策を講じるべきかわからなくてお困りの方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、介護職員の離職防止に有効な施策・取り組みについて解説しています。介護業界の平均離職率やよくある退職理由、離職防止に成功した介護業界の事例も紹介していますので、ぜひお役立てください。

介護業界の離職の現状を把握し、介護職員の定着率を向上させるための具体的な方法を模索しましょう。

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介護職員の離職率は高い?平均離職率と現状について

介護職員の離職防止を成功させるには、まず平均離職率と現状について把握しておくことが大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護職全体の平均離職率は13.1%

介護労働安定センターが発表した『介護労働実態調査』によると、令和5年における介護職全体の離職率は13.1%です。

厚生労働省が発表した同年における『雇用動向調査』では、全産業計の離職率は15.4%でした。そのため、一昔前まで「介護職福祉士は離職率が高い」というイメージがありましたが、他産業と比較すると介護職の離職率は低い傾向にあることがわかります。

また、離職率は以下のように介護サービスによっても変動します。

職種離職率
訪問介護12.1%
通所介護13.4%
地域密着型通所介護13.5%
特定施設入居者生活介護17.8%
認知症対応型共同生活介護15.5%
介護老人福祉施設11.9%
介護老人保健施設11.8%

介護職員の離職の現状

介護職員の離職率は全産業の平均と比較すると高くはないものの、介護業界では慢性的な人手不足が叫ばれているのが現状です。令和4年に実施された『介護労働者の就業実態と就業意識調査』では、サービス提供責任者の63.5%が「人手が足りない」と感じていること発表されました。

少子高齢化が加速する今後の日本においては、介護職員の人手不足はますます深刻化されると予想されるでしょう。厚生労働省の『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』では、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人の介護職員が不足すると予想されています。

そのため、組織は職場環境の改善や働きやすさの向上など、離職防止に向けた取り組みを強化する必要があります。

介護職員のよくある離職理由と原因

介護職員の離職を防止するには、どのような理由や原因で人材が去ってしまうのか把握しておくことが不可欠です。特に多い離職理由としては、以下のようなものが考えられます。

  • 長時間労働と過重労働による疲弊
  • 給与や待遇への不満
  • 人間関係の悪化によるストレスの蓄積
  • キャリアパスの不足と将来の不安

これらの介護職員の離職理由について、詳しく見ていきましょう。

長時間労働と過重労働による疲弊

介護職員は、利用者の身体的なサポートや生活支援など体力的に非常にハードな業務が多く、長時間労働や過重労働が日常的に発生しがちです。このような労働環境が続くことで肉体的・精神的に疲弊し、最終的には離職に至るケースが少なくありません。

また、夜勤やシフト制の不規則な勤務も体調管理を難しくし、離職を促す要因となっています。

給与や待遇への不満

介護職員は社会的に重要な役割を担っているにもかかわらず、給与水準が他業種に比べて低いことが多いです。特に若年層や新入社員にとっては、生活費や将来の資産形成を考えると不安が大きく、離職の一因となります。

さらに、昇給やボーナス、福利厚生の充実度が低いとモチベーションの低下を招き、長期的なキャリア形成が困難になります。

人間関係の悪化によるストレスの蓄積

介護現場ではチームワークが不可欠ですが、人間関係のトラブルやコミュニケーション不足が原因でストレスが蓄積しやすい環境でもあります。特に上司や同僚との関係が悪化すると仕事への意欲が低下し、孤立感や不安感が強まります。

職場内の人間関係だけでなく、利用者とのトラブルに悩まされるケースも多いため、人間関係が原因で離職する介護職員は少なくありません。

キャリアパスの不足と将来の不安

介護職員は専門的なスキルを必要とする一方で、明確なキャリアパスが提供されていないことが多いです。自身の成長や将来のビジョンが描けず、不安を抱える職員は少なくありません。

また、昇進や資格取得の機会が限られている場合、職務へのモチベーションが低下し、長期的に働き続けることが難しくなります。

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介護職の離職防止に効果的な対策・施策の例

介護職員の離職を防止するための取り組みには、様々な施策が考えられます。離職防止を成功させるには組織課題に合わせた対策を講じることが重要ですが、以下のような施策を参考にしてみてください。

  • 労働環境の改善と適正な労働時間の管理
  • 給与や待遇の見直しと福利厚生の充実
  • メンタルヘルスケアと職場内サポートの強化
  • キャリアパスの明確化とスキルアップの支援
  • コミュニケーション促進と人間関係の改善

労働環境の改善と適正な労働時間の管理

介護職員の労働環境を改善するためには、労働時間の適正化と業務の効率化が不可欠です。シフトの調整や休憩時間の確保を徹底し、過重労働を防止することが求められます。

現場での作業を効率化するためのIT導入や離職防止ツールの導入、機器の導入による身体的負担の軽減も有効です。これらの取り組みにより職員の疲労を軽減し、仕事へのモチベーションを維持することができます。

給与や待遇の見直しと福利厚生の充実

介護職員の離職防止には、給与や待遇の見直しが欠かせません。職員が安心して働けるように、給与水準の向上や昇給の機会を増やすことが重要です。

また、福利厚生の充実も効果的でしょう。例えば、住宅手当や交通費の支給、健康診断の実施、家族向けのサポート制度などを提供することで、職員の生活全般を支えることができます。

従業員のニーズに合わせた福利厚生を提供することによって、職員の満足度が向上し、離職の抑制につながります。

メンタルヘルスケアと職場内サポートの強化

介護職員のメンタルヘルスケアは、離職防止において重要な要素となります。職員が精神的に健康で働けるように、定期的なカウンセリングやストレスチェックを実施し、早期に問題を発見することが必要です。

その他にも、職場内でのサポート体制を強化し、困難な状況に直面した際に相談できる環境を整えることも効果的です。これにより、職員が安心して働ける職場環境が構築され、離職を防ぐことができます。

キャリアパスの明確化とスキルアップの支援

介護職員が長期的に働き続けるためには、キャリアパスの明確化とスキルアップの支援が重要です。昇進のチャンスや専門資格の取得支援を提供することで、職員のモチベーションを高めることができます。

また、研修やセミナーの機会を増やして自己成長を促進することで、職員が自信を持って業務に取り組めるようにサポートします。これにより、将来への不安が軽減され、離職率の低下が期待されます。

コミュニケーション促進と人間関係の改善

職場内の良好な人間関係は、離職防止に直結します。定期的なミーティングや懇親会の開催など、コミュニケーションを促進する機会を設けることで、職員同士の信頼関係を深めることができます。

また、トラブルや誤解が生じた際には迅速に対応し、問題解決を図ることが重要です。さらに、職員の意見や提案を積極的に取り入れることで職場全体の雰囲気を良くし、働きやすい環境を作ることができます。

介護職の離職防止に成功した企業の事例3つ

自社の離職防止の取り組みを検討する際、他社の事例を参考にすればよりスムーズに施策を進められる場合があります。介護職員の離職防止に成功した、3つの事例について見ていきましょう。

  1. 社会福祉法人あいの土山福祉会
  2. 社会福祉法人げんき
  3. 株式会社シニアライフアシスト

1.社会福祉法人あいの土山福祉会

社会福祉法人あいの土山福祉会は、特別養護老人ホーム、ケアプランセンター 、デイサービスセンター等の運営を手掛ける法人です。

2000年代初頭に退職者が相次ぎ、離職率が増加して人手不足に直面したこちらの法人では、腰痛・長時間労働・メンタルの不調という3つの組織課題を抱えていました。介護職員の離職を防止するため、以下の取り組みを進めました。

離職防止の取り組み
  • リフト等の機械を積極的に導入
    介護職員の腰痛を軽減するためにリフトマシンを導入
  • 作業のマニュアル化
    現場の作業を洗い出してチェックリスト化し、作業効率を底上げ
  • トーキング(月に1回の面談)を実施
    マンツーマンで面談を行い、職員の悩みや問題を把握

上記の離職防止の取り組みを進めることで、離職率は3〜5%まで改善。さらに、60歳以上の職員も活躍し、幅広い年代の人材を確保することに成功しました。

参考:地域で活躍する中小企業の採用と定着成功事例集

2.社会福祉法人げんき

社会福祉法人げんきは、障がい児支援事業・障がい者の就労支援事業を手掛ける法人です。

介護職員の8割が女性で、結婚や出産といったライフステージの変化とともに離職せざるをえない状況がありました。特に育休から復職した際の問題が大きく、知識や経験を持つ介護職員の離職に繋がるとともに、再就職の受け入れ体制も整備できていなかったこともあり、以下の施策を講じました。

離職防止の取り組み
  • 短時間正職員制度の導入
    育児や介護などでフルタイム勤務ができなくても正職員と同様のキャリアを構築できる
  • 在宅勤務制度の整備/IT導入
    可能な部署に対して週2回の在宅勤務、Web会議やグループウェア、スマホの貸与
  • 柔軟な勤務日数・勤務時間設定
    月単位の変形労働時間制を
  • 障がいのある職員や高齢者などの受け入れ推進
    一人ひとりの事情に応じた働き方の推進
  • 残業削減に向けた取組
    残業は届出制で業務内容の進捗を職員同士で共有し、残業ゼロを目指す

これらの取り組みを進めることで、女性が8割という職場環境において、コロナ禍の離職者は0名、2021年度の離職者は1名に抑えることができました。さらに、社内全体の残業時間も月平均3時間の残業にとどまるほか、職場内でのコミュニケーションの円滑化にも成功した事例です。

参考:家庭と仕事の両立支援ポータルサイト

3.株式会社シニアライフアシスト

株式会社シニアライフアシストは、有料老人ホームの運営等介護保険法に基づく事業、福祉サービス提供事業等を提供する企業です。

経営層と従業員の間のコミュニケーション不足から、トップダウンで進めた取り組みへの反発や休みづらさを理由とする離職者が続出していたため、2017年から以下の離職防止の取り組みを進めました。

離職防止の取り組み
  • 勤怠管理システムの導入
    年次有給休暇の残日数の把握、所属長への相談をしやすい環境を構築
  • ビジネスチャットツールの導入
    従業員の悩みを把握、社内アンケートの実施など円滑なコミュニケーションを促進
  • 社内等級制度の導入
    資格取得や社内試験の合格によって給与が上がる制度

これらの取り組みを実施することにより、離職率の改善と有給取得率の向上、さらには働き方改革関連の受賞やメディア掲載によって、従業員エンゲージメントの向上と求人応募者の増加などの効果も得られました。

参考:地域で活躍する中小企業の採用と定着成功事例集

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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

本記事では、介護職員の離職防止に有効な施策・取り組み、介護業界の平均離職率やよくある退職理由、離職防止に成功した事例について解説しました。

介護職員の離職率を低下させるためには、労働環境の改善や給与・待遇の見直し、人間関係の改善など、包括的な対策が必要です。また、メンタルヘルスケアやキャリアアップ支援など、職員一人ひとりが安心して働ける環境を整えることが重要です。

介護職員が長期的に働き続けられる職場を実現することで、介護の質を向上させ、社会全体の福祉を支えることが可能となります。企業は今こそ、これらの課題に真剣に取り組むべき時です。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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編集部

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