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女性の活躍推進に取り組む企業の施策事例集!課題やメリットも解説

女性の活躍推進は企業にとって重要なテーマの1つですが、「女性社員の活躍を推進するための具体的な方法がわからない…」「男性と比べて女性の離職率が高い傾向にある…」とお悩みの方は少なくありません。

本記事では、女性の活躍推進に取り組む企業の事例をご紹介します。女性の活躍を推進するメリットや課題、現状を把握するための方法についても解説しています。

女性の管理職比率や定着率、エンゲージメントなどに課題感をお持ちの際は、ぜひ本記事を役立ててください。

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女性活躍推進とは?

女性活躍推進とは、性別にかかわらず個々の能力を最大限に発揮できる環境を整え、企業成長や社会全体の発展を目指すための取り組みです。まずは、女性活躍推進が重要視される背景と、認定制度について見ていきましょう。

女性活躍推進が重要視される背景

女性活躍推進の背景には、法制度の整備が大きく影響しています。

日本では2016年に女性活躍推進法が施行され、企業に対して女性の登用状況や活躍推進計画の策定・公開が義務付けられました。また、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、女性が働きやすい環境を整えるための法的枠組みも強化されています。

しかし、現状では依然として管理職に占める女性の割合が低いなど、課題も多く残されているのが現状です。今後はより具体的な施策を通じて、実質的な男女平等が達成されることが求められるでしょう。

女性活躍推進企業の認定制度

女性の活躍を推進し、その実施状況が優良な企業を認定する制度があります。代表的なものには、次のような制度が挙げられるでしょう。

えるぼし認定

えるぼし認定は、厚生労働省が所轄する認定制度です。女性の採用・継続就業・労働時間等の働き方・多様なキャリアコースの5つが評価基準となり、評価基準を満たす数に応じた3つの評価段階が設けられています。

えるぼし認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品や広告に掲載することができ、女性活躍推進事業主であることをPRできます。

なでしこ銘柄

なでしこ銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で所轄する認定制度です。女性活躍推進に優れた上場企業を、投資家へ魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進すると共に各社の取り組みを加速化していくことが目的とされています。

企業の女性活躍推進の現状

2016年に女性活躍推進法が施行されてから、各企業の取り組みは着実に進んでいるものの、依然として多くの課題が残されているのが現状です。

労働政策研究・研修機構が発表した”データブック国際労働比較2023”では、『管理的職業従事者に占める女性割合の国際比較』において上位であるフィリピン(53.0%)やアメリカ(41.4%)に対し、日本(13.2%)は国際的に見ると低い水準にあります。

特に中小企業ではリソースや経営資源の制約があり、大手企業と同水準の取り組みが難しいほか、性別に基づく固定観念や無意識のバイアスが、女性のキャリア形成を阻む要因となることも多いです。このような現状を打破するため、企業には継続的な意識改革と制度運用の改善が求められています。

なぜ必要?企業が女性の活躍推進に取り組むメリット

企業は女性の活躍を推進することによって、様々なメリットを得ることができます。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 多様な視点の導入によるイノベーションの促進
  • 優秀な人材の確保と企業イメージの向上
  • 社員のモチベーション向上と生産性の向上
  • 持続可能な経営を実現するための競争力強化

それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

多様な視点の導入によるイノベーションの促進

女性活躍推進の大きなメリットの一つは、多様な視点や価値観が企業内に取り入れられることです。新たなアイデアや斬新な解決策が生まれ、イノベーションが促進されやすくなります。

特に、消費者のニーズが多様化している現代において、異なるバックグラウンドや経験を持つ女性社員の意見は、製品やサービスの開発において重要な役割を果たすでしょう。また、チーム内で異なる意見が交わされることで、より柔軟で創造的な意思決定が行われ、競争優位性が向上します。

結果として、企業の成長や市場での差別化につながりやすく、持続的な成功を収めることができます。

優秀な人材の確保と企業イメージの向上

企業が女性活躍推進に積極的に取り組むことは、優秀な人材の確保に大きな効果をもたらします。

特に、若い世代は仕事とプライベートの両立や、多様性を重視する傾向が強いため、男女平等や働きやすい環境を提供している企業に魅力を感じるものです。これにより、採用活動で競争力を持ち、優秀な人材を引きつけやすくなります。

また、女性が活躍する企業は社会的な評価も高く、ブランドイメージの向上にも寄与します。ダイバーシティ推進の企業姿勢は顧客やパートナー企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネス成功にもつながるでしょう。

社員のモチベーション向上と生産性の向上

女性活躍推進は、社員全体のモチベーションを向上させ、生産性の向上にも貢献します。性別にかかわらず、全ての社員が平等な機会を与えられる職場は働く意欲が高まりやすく、社員同士の信頼感や協力体制が強化されます。

特に、ワークライフバランスを尊重する取り組みが評価されることで、仕事に対する満足度が上がり、長期的な就業意欲を高める効果が期待できるでしょう。また、女性社員が持つ多様なスキルやリーダーシップを活かすことで、チーム全体の生産性が向上し、企業の業績にもプラスの影響を与えることが期待できます。

持続可能な経営を実現するための競争力強化

企業が女性の活躍推進に取り組むことは、持続可能な経営を実現するための重要な戦略となります。人口減少や高齢化が進む中、限られた労働力を最大限に活用するためには、性別にかかわらず全ての人材が活躍できる環境を整えることが不可欠です。

女性社員の能力を十分に引き出すことで企業の競争力が強化され、社会的な責任を果たす企業としての評価も高まります。加えて、ジェンダー平等を重視する国際的なトレンドに沿った取り組みは、グローバル市場での信頼性を高め、ビジネスの拡大にも寄与します。

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企業が女性活躍に取り組む際の課題

いざ女性活躍推進に取り組もう思っても、企業は様々な課題に直面するものです。具体的な課題としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • ライフステージの変化に伴う離職
  • ワークライフバランス制度はあるものの活用できない風潮
  • ロールモデルが欠如している
  • 昇進を望んでいない女性も存在する

それぞれの課題について詳しく解説しますので、自社で女性活躍推進に取り組む際の参考にしてください。

ライフステージの変化に伴う離職

女性がキャリアを続ける上で大きな課題となるのが、ライフステージの変化に伴う離職です。結婚、出産、育児、介護など、家庭内の役割が増えるにつれて仕事と両立が難しくなり、やむを得ずキャリアを中断する女性は少なくありません。

企業が育児休業制度や介護休暇制度を整備しても、実際にそれを利用できるかどうかは職場のサポート体制や風土に依存します。また、長期間の休業後に職場復帰する際、キャリアの停滞やスキルのギャップに悩むことも多く、これが離職を決意する一因となります。

こうしたライフステージの変化に柔軟に対応できる職場環境の整備が、女性のキャリア継続を支援するために重要です。

ワークライフバランス制度はあるものの利用できない風潮

多くの企業がワークライフバランスを支援する制度を導入しているものの、その制度を実際に活用できない風潮が残っているのも課題です。例えば、時短勤務やテレワークなどの制度は存在するものの、周囲の理解不足や制度利用によるキャリアへの悪影響を懸念して、利用を躊躇する女性は少なくありません。

特に、日本企業に根強い『長時間労働=貢献』の文化が制度活用を難しくしているケースもあります。この風潮を変えるためには、企業のトップダウンによる働き方改革が求められ、制度が使いやすい職場文化を醸成することが重要です。

ロールモデルが欠如している

多くの企業では、女性社員がキャリアを描く際に参考となるロールモデルが不足していることが課題となっています。特に、管理職やリーダー職に就く女性が少ない職場では、女性社員が自分のキャリアパスを見出しにくく、将来の可能性を想像するのが難しい状況です。

ロールモデルがいないと、女性社員は「自分が昇進できるのか?」「家庭とキャリアを両立できるのか?」といった不安を抱えがちになります。これに対処するため、企業は女性リーダーを積極的に育成し、成功事例を共有するなどの取り組みを行うことで、次世代の女性社員に具体的な目標やビジョンを提供することが求められるでしょう。

昇進を望んでいない女性も存在する

すべての女性が昇進を望んでいるわけではないという点も、女性活躍推進の際に企業が直面する課題の一つです。

昇進に伴う責任や労働時間の増加を懸念し、現状維持を選ぶ女性も多くいます。特に、家庭やプライベートの時間を優先する女性にとって、管理職への昇進は必ずしも魅力的な選択肢ではありません。

こうした状況に対処するためには、昇進以外にも多様なキャリアパスや働き方を提供することが必要です。例えば、専門職としてのスキルアップや、柔軟な働き方の選択肢を広げることで、女性が自分に合ったキャリアを追求できる環境を整えることが求められるでしょう。

女性の活躍推進に取り組む企業の施策事例集

女性の活躍推進に取り組む企業は、実際にどのような施策を進めているのでしょうか?具体的な取り組みの事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • キユーピー株式会社
  • 株式会社資生堂
  • サントリーフィールドエキスパート株式会社
  • 楽天グループ株式会社

キユーピー株式会社

従業員の約半分が女性の『キユーピー株式会社』では、多様な人材が活躍できる仕組みを作り、人的資本経営に取り組むことで全ての従業員の活躍を目指しています。

創業当初は「大切なお嬢様を大事にお預かりしてお戻しする」という考え方のもと、女性の勤続年数は短い傾向にあり、従来の制度は男性が活躍しやすい男性視点で作られていました。しかし、1990年頃に導入した女性の総合職採用制度をきっかけに、以下のような取り組みで企業体質の変革に取り組んでいます。

女性活躍推進の取り組み内容
  • 男性従業員の育児休業取得の促進
  • 産前産後休業制度や育児休業制度の周知及び情報提供
  • 転居を伴わない総合職制度の導入
  • 配偶者が転勤になった場合、同じ勤務地へ異動できる制度の導入
  • 法定を超える独自の育児休業等の制度の導入
  • 育児休業取得前の直近の考課を採用する人事評価制度

参考:女性の活躍推進や両立支援に積極的に取り組む企業の事例

ヤマトホールディングス株式会社

『ヤマトホールディングス株式会社』では、人権尊重やダイバーシティを推進することで、市場変化に強い国際競争力のある企業グループを目指しています。

すべてのステークホルダーの人権に配慮した事業活動を推進するとともに、以下のような取り組みで女性活躍を推進しています。

女性活躍推進の取り組み内容
  • 営業所長を目指す女性社員を対象とした育成プログラムの実施
  • 無意識の思い込みや偏見の払拭をテーマとした上司向け研修の実施
  • 社内報を活用した女性役職者のロールモデルの発信
  • コンプライアンスに関するグループ共通の相談窓口の設置

参考:人権・ダイバーシティ | ヤマトホールディングス株式会社

株式会社資生堂

『株式会社資生堂』は1990年代から育児・介護休業法に先駆けて、女性のライフイベントを支援するさまざまな制度や支援策を推進してきました。

取締役会における女性比率は45.5%(2024年4月時点)、日本国内の女性管理職比率は40.0%(2024年1月時点)である同社では、2030年までに日本国内のあらゆる階層における男女比率を50:50にすることを目指し、以下のような取り組みを行っています。

女性活躍推進の取り組み内容
  • 事業所内保育所の開設
  • シッターを中心とした総合的な保育サービスの導入
  • 育児による短時間勤務を取得する美容職社員の代替要員体制の導入
  • 女性社員向けリーダー研修の実施
  • コアタイムのないフレックスタイム制度の導入
  • リモートワークとオフィスワークを柔軟に組み合わせる働き方の導入

参考:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン | 人材 | サステナビリティ | 資生堂 企業情報

サントリーフィールドエキスパート株式会社

サントリーホールディングス株式会社100%出資の店頭マーケティング会社、『サントリーフィールドエキスパート株式会社』では、2021年頃から女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、様々な取り組みを行ってきました。

2024年4月以降は”フルタイム労働者の女性比率が低い”という課題に対し、「パートタイムからフルタイム契約社員への転換 50名」「全社員の平均過勤時間を月20時間以内とする」ことを目標に掲げ、以下のような取り組みを行っています。

女性活躍推進の取り組み内容
  • フルタイム転換制度の継続実施
  • 評価基準の見直し(女性にとって不利な登用基準になっていないか検討)
  • フルタイム転換した社員への定期的なフォローアップ
  • 過勤時間目標達成に向けた施策の継続実施
  • 前年度実績に基づき、次年度の過勤時間の削減目標を設定

参考:女性活躍推進に関する行動計画 | 企業情報 | サントリーフィールドエキスパート株式会社

楽天グループ株式会社

『楽天グループ株式会社』では従業員がジェンダーの壁を感じず、自身の能力をありのままに活かせる環境を育むことを大切にしています。

女性が働きやすい職場環境作りや制度の導入はもちろん、健康管理にも配慮した次のような多角的な取り組みを行っているのが特徴的です。

女性活躍推進の取り組み内容
  • 妊娠前の健康管理や睡眠習慣に関するセミナーの開催
  • フレックスタイム制度や在宅勤務など柔軟な働き方の導入
  • 社内託児所や搾乳室の設置
  • ベビーシッター割引券の配布
  • 家事代行サービスの法人契約
  • 休職前/復職前セミナーの実施
  • 出産見舞金/出産育児一時金制度の導入

参考:楽天の女性活躍 | 楽天グループ株式会社

女性活躍の状況を調査するには社内アンケートが有効

企業が女性活躍推進の現状や課題を把握するためには、社内アンケートの実施が非常に有効です。アンケートを通じて、女性社員が直面している問題や職場環境への不満、キャリアに対する意識を具体的に把握することができます。

また、制度の利用状況やその効果、利用に対するハードルについても定量的に評価することが可能になります。匿名で実施することで、社員は率直な意見を提供しやすくなり、表面化しにくい課題を明らかにできるでしょう。

社内アンケートの項目例

自社の女性活躍推進の現状や課題を把握するための社内アンケートの質問項目例をご紹介します。どのような項目について質問すべきか迷った際は、ぜひお役立てください。

アンケート基本項目

  • 所属部署
  • 年齢
  • 性別
  • 配偶者の勤務状況
  • 子の有無
  • 要介護者の有無

女性社員の活躍についての項目

  • 育児や介護が理由で昇進を諦めたことがありますか?
  • 性別によって能力や成果に評価の差があると思いますか?
  • 今の職場は女性社員が活躍できる職場ですか?
  • 女性が活躍できる職場にするために何が必要だと考えますか?
  • 女性管理職が増えるために何が必要だと考えますか?
  • 今の会社はあなたの知り合いの女性へ、就職を勧められるような会社ですか?

女性社員のキャリアに関する項目

  • 自身の能力を発揮できる仕事や機会は与えられていると感じますか?
  • 昇進または昇格を希望しますか?
  • もし管理職候補となった場合、不安に思うことは何ですか?
  • キャリア形成にあたって困っていることはありますか?

女性社員の育児や介護支援に関する項目

  • 自社の育児・介護支援策を利用したことがありますか?
  • 育児/介護と仕事の両立が困難であると感じたことはありますか?
  • 育児/介護を行うことになった場合、今の職場で仕事を続けられると思いますか?
  • 今の職場は育児/介護を行っている社員が働きやすい職場ですか?
  • 現行の育児/介護支援制度に満足していますか?
  • 上司や部下が育児/介護休業を取得した場合、どのようなことが不安ですか?

女性社員のワークライフバランスに関する項目

  • 今の職場は有給休暇を取得しやすい職場だと思いますか?
  • 職場内で育児休暇を取得した男性はいますか?
  • テレワークや短時間勤務等を利用した人の働きぶりについてどう思いますか?
  • 子育てをするとしたら育児休暇を取得したいと思いますか?
  • 仕事と家庭の両立で悩みや困っていることはありますか?

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まとめ

本記事では、女性の活躍推進に取り組む企業の事例やメリット、課題、現状を把握するための方法について解説しました。

女性活躍推進は、企業の成長にとって欠かせない要素です。多様な視点を取り入れることでイノベーションが促進され、優秀な人材を確保するためにも重要な戦略となります。

しかし、ライフステージに応じた離職や、制度があっても利用しづらい風潮、ロールモデルの欠如など、取り組みには多くの課題が存在します。これらの問題に対処し持続可能な組織を築くためには、企業全体での意識改革と継続的な改善が必要です。

社内アンケートなどを活用し、実態を把握しながら、女性が長期的に活躍できる環境づくりを進めることが求められていくでしょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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編集部

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