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eNPSとは?計算方法や質問項目の例、スコアが高い企業の特徴も解説

従業員が「会社を友人に勧めたい」と思える職場づくりは、企業の成長や人材定着に直結します。その従業員の推奨度を簡単に数値化できる指標が、eNPS(Employee Net Promoter Score)です。

本記事では、eNPSの意味や目的といった基本的な概念から、計算方法や業界別の平均値、調査の基本的な流れ、スコアが高い企業の特徴について解説しています。従業員の本音をeNPSで可視化し、組織改善に活かす方法を抑えましょう。

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eNPSとは?

まずはeNPSの基本的な概念について、以下の3項目から掘り下げていきましょう。

  • eNPSの意味と目的
  • eNPSが重要視される背景
  • eNPSとNPS・ESの違い

eNPSの意味と目的

eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、従業員が自社を「働く場所として他人に勧めたいか」を数値化する指標です。質問はシンプルで、「0〜10点でどの程度勧めたいと思うか」と尋ね、スコア化します。

eNPSの目的は、従業員のエンゲージメントや満足度を可視化し、組織の強みや課題を明らかにすることです。eNPSは従業員の声を定量的に把握できるため、人材定着率の改善や働きがいの向上に向けた施策の基盤として活用されます。

eNPSが重要視される背景

近年、少子高齢化や人材の流動化により、人材の採用・定着が多くの企業にとって大きな課題となっています。その中で、従業員が会社にどの程度愛着や信頼を持っているかを把握することは不可欠です。

従来の満足度調査では曖昧になりがちな「組織を他人に勧めたいか」という観点を数値化できるeNPSは、シンプルかつ比較可能な指標として注目されています。

eNPSとNPS・ESの違い

NPS(Net Promoter Score)は顧客が商品やサービスを「他人に勧めたいか」を測る指標で、eNPSはその従業員版です。一方、ES(Employee Satisfaction)は従業員満足度を広く測定する調査で、給与や福利厚生など多様な要因を含みます。

eNPSはシンプルな設問で従業員の推奨度を測る点が特徴で、NPSの仕組みを社内に応用したものです。ESよりも簡便で比較しやすく、経営層が迅速に現状を把握し、改善アクションにつなげやすい指標といえます。

eNPSの計算方法と平均スコアについて

eNPSは従業員の推奨度を数値化するシンプルな指標ですが、計算方法や業界別の平均スコアを理解することで、組織の状態を客観的に把握できます。推奨者と批判者の割合からスコアを算出する仕組みや、国内における平均スコアの傾向を知ることで、自社の位置付けや課題が見えやすくなるでしょう。

eNPSの計算方法

eNPSは、従業員に「あなたはこの会社を働く場所として友人や知人に勧めたいと思いますか?」と質問し、0〜10点で評価してもらう調査から算出するのが一般的です。9〜10点をつけた従業員を「推奨者(Promoter)」、0〜6点を「批判者(Detractor)」と分類し、その割合を集計します。

eNPSの計算式は以下で、結果は-100から+100までの範囲で示されます。

eNPS = 推奨者の割合(%)− 批判者の割合(%)

スコアが高いほど従業員エンゲージメントが強いと評価され、組織の健全性を測る重要な指標となります。

eNPSの業界別平均スコア

2017年に株式会社ビービットが約5,000名を対象に実施した調査によると、日本の平均eNPSスコアは-61.1でした。業界別では、以下のような結果となっています。

出典:「eNPSは何によって上がるのか 16業界eNPS調査結果

業界別では「官公庁・自治体・公共団体」が-41.3で最も高く、次いで「学校・教育産業」「建設業」が続きます。一方で、「出版・印刷関連産業」「サービス業」「運輸・運送業」はいずれも-70を下回り、特に低い傾向が見られました。

eNPS調査と分析を実施するメリット

eNPS調査を実施し、分析や定期的な改善策を継続することで、企業は様々なメリットを得ることができます。具体的にどのようなメリットがあるのか、代表的なものを見ていきましょう。

  • 定着率の向上や離職防止
  • 組織の生産性向上
  • リファラル採用につながる

定着率の向上や離職防止

eNPS調査を実施することで、従業員が職場にどの程度満足し、信頼を寄せているかを数値で把握できます。従業員が不満を抱く要因を早期に発見し改善することで、働きやすい環境を整備でき、結果的に定着率の向上や離職の防止につながります。

採用難の時代において、優秀な人材が長く働き続けられる環境を整えることは、企業の競争力を高める大きなポイントとなるでしょう。

組織の生産性向上

eNPSが高い組織は従業員のエンゲージメントが強く、業務へのモチベーションも高い傾向があります。従業員が自社を「働きたい職場」と感じることで、主体的な行動や協力が生まれやすくなり、チーム全体の生産性向上に直結するのです。

また、調査を定期的に実施することで、改善活動の効果を確認できるため、組織の持続的な成長サイクルを築くことが可能になります。

リファラル採用につながる

eNPSが高い企業では、従業員が自社を「友人や知人に勧めたい」と感じているため、自然とリファラル採用(社員紹介による採用)が活発になります。従業員が自らのネットワークを通じて候補者を紹介することで、採用コストの削減やミスマッチ防止にもつながるでしょう。

さらに、紹介を通じて入社した人材はエンゲージメントが高い傾向にあり、組織への定着率向上にも寄与します。

eNPS調査で必ず抑えるべき5つの質問項目

eNPS調査では推奨度だけでなく、幅広い領域の設問を抑えることが重要です。適切な質問項目を設定することで、従業員が抱える課題や改善すべきポイントを明確にし、具体的な改善策に反映させることが可能になるでしょう。

  1. 労働条件に関する質問
  2. 仕事のやりがいに関する質問
  3. キャリアに関する質問
  4. コミュニケーションに関する質問
  5. 企業の将来に関する質問

1.労働条件に関する質問

労働時間や給与、福利厚生などの労働条件は、従業員満足度や定着率に直結する重要な要素です。特に日本では、長時間労働や待遇への不満が離職理由になりやすいため、eNPS調査では必ず確認しておきたい設問と言えるでしょう。

具体的な質問例
  • 現在の給与や福利厚生に満足していますか?
  • 労働時間やワークライフバランスに納得していますか?

2.仕事のやりがいに関する質問

従業員が「自分の仕事にやりがいを感じられるかどうか」は、モチベーション維持に直結します。やりがいが不足していると、成果が出にくくなるだけでなく、離職のリスクも高まるため要注意です。

仕事の意義や達成感をどう感じているのかを問うことで、職場改善の方向性が見えてきます。

具体的な質問例
  • 現在の仕事にやりがいを感じていますか?
  • 自分の仕事が組織に貢献していると感じますか?

3.キャリアに関する質問

成長やスキルアップの機会が十分にあるかどうかは、従業員の長期的なモチベーションや定着に大きな影響を与えます。キャリア形成の支援が不足していると、優秀な人材が流出してしまう可能性があります。

具体的な質問例
  • 会社はキャリアアップの機会を提供していると思いますか?
  • 将来の成長に役立つスキルを学べていますか?

4.コミュニケーションに関する質問

職場の人間関係や上司との関係は、従業員のエンゲージメントに強く影響します。円滑なコミュニケーションが取れていれば、協働が進み生産性も高まります。

逆に人間関係の不満は、離職の大きな要因となるため、定期的に確認しておくことが重要です。

具体的な質問例
  • 上司や同僚と良好な関係を築けていますか?
  • 意見やアイデアを自由に発言できる雰囲気がありますか?

5.企業の将来に関する質問

企業のビジョンや将来性に対する共感度は、従業員の働きがいやエンゲージメントを大きく左右します。将来に不安を感じていると、離職や転職を検討するきっかけになりかねません。

eNPS調査では、経営方針や組織の方向性に関する質問も欠かせません。

具体的な質問例
  • 会社のビジョンや経営方針に共感していますか?
  • 組織の将来性に安心感を持っていますか?

eNPS調査を実施する際の基本的な流れ

効果的なeNPS調査には、明確な目的設定から設問設計、実施、集計・分析、改善施策の実行まで、一連の流れを踏むことが大切です。どのようなステップで実施するのが適切なのか、基本的な流れを見ていきましょう。

  1. 調査の目的を明確にする
  2. 設問と調査方法を設計する
  3. 従業員に調査を実施する
  4. 結果を集計して分析する
  5. 継続的に改善する

1.調査の目的を明確にする

eNPS調査を実施する前に、まずは「何のために調査を行うのか」を明確にすることが大切です。例えば、離職防止を目的とするのか、エンゲージメント向上施策の効果測定を目的とするのかによって、設計すべき設問や分析の視点が変わります。

目的を整理することで、調査結果を具体的なアクションに結びつけやすくなり、従業員からの回答も組織改善に直結する有益なデータとして活用できます。

2.設問と調査方法を設計する

eNPS調査の目的が定まったら、次に設問内容と実施方法を設計しましょう。基本となる「会社を友人に勧めたいか」という推奨度の質問に加え、労働条件やキャリア、コミュニケーションなど、改善につなげたい領域を網羅する設問を設定します。

また、調査は匿名で回答できる形式にすることで、従業員が率直に意見を伝えやすくなります。オンラインツールや定期的なアンケート形式を取り入れると効率的です。

3.従業員に調査を実施する

設問が固まったら、実際に従業員へeNPS調査を実施します。

重要なのは、調査の目的や回答データの扱いについて事前に丁寧に説明することです。匿名性が担保され、結果が従業員の不利益に利用されないと理解してもらうことで、より正直で信頼性の高い回答が集まります。

また、調査期間を明確に設定し、回答しやすい環境を整えることで、回収率を高めることが可能になるでしょう。

4.結果を集計して分析する

調査終了後は回答結果を集計し、eNPSスコアを算出します。推奨者・批判者・中立者の割合を明確にし、スコアの推移や部署別の傾向を分析することで、課題の所在を可視化できるでしょう。

また、自由記述のコメントがある場合は、定量データと組み合わせて分析することでより深い洞察が得られます。単なる数値の確認に留めず、組織課題を浮き彫りにすることが重要です。

5.継続的に改善する

調査結果をもとに改善策を立案・実行することが、eNPS調査の最大の価値です。スコアやコメントで浮かび上がった課題に優先順位をつけ、具体的なアクションを進めることが求められます。

また、1回きりで終わらせず、定期的に調査を繰り返すことで改善の効果を検証できます。

eNPSスコアが高い企業に共通する特徴

高いeNPSスコアを持つ企業には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴は従業員のエンゲージメントや働きがいを高め、推奨度の向上につながる重要なポイントとなりますので、代表的なものを見ていきましょう。

  • 従業員の声が反映される組織風土
  • ビジョンやミッションが浸透している
  • キャリアアップの機会が充実している
  • 柔軟な制度が整っている

従業員の声が反映される組織風土

eNPSスコアが高い企業には、従業員の声が経営や業務改善にしっかり反映される組織風土があります。

意見や提案が尊重され、改善策として具体的に実行されることで、従業員は自分の存在や行動が組織に影響を与えていると実感できるものです。風通しの良いコミュニケーションや、匿名の意見も活かす仕組みが整っていることが多く、従業員のモチベーション向上やエンゲージメントの強化につながります。

このような文化が定着している企業は、自然とeNPSスコアも高くなる傾向があります。

ビジョンやミッションが浸透している

従業員が会社のビジョンやミッションを理解し、共感していることもeNPSスコアが高い企業の特徴です。

組織の方向性や目標が明確であれば、日々の業務の意義や自身の役割が理解しやすくなり、働きがいや達成感が高まります。経営層がビジョンを繰り返し発信し、現場での実行と結びつけることで、従業員は会社の一員としての誇りを持ちやすくなるのです。

キャリアアップの機会が充実している

eNPSスコアが高い企業では、従業員が成長やスキル向上の機会を十分に得られる環境が整っています。

研修や社内勉強会、メンター制度などの教育制度が充実しており、従業員は自分のキャリアを主体的に形成できると感じています。さらに、成果や努力が評価される仕組みもあるため、目標達成意欲が高まり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

成長実感のある職場は、従業員の忠誠心や推奨意欲を高め、eNPSスコアを押し上げる大きな要因となります。

柔軟な制度が整っている

働きやすい環境や柔軟な制度が整っていることも、eNPSスコアの高さに直結します。

フレックスタイム制やリモートワークなど、従業員のライフスタイルや状況に応じた働き方が可能な企業は、仕事と生活のバランスが取りやすく、満足度も高くなります。制度だけでなく、制度の利用に対する理解や心理的安全性も重要です。

柔軟な環境が整っている組織は、従業員から「友人にも勧めたい」と思われやすく、eNPSスコアの向上に寄与します。

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まとめ

本記事では、eNPSの意味や目的といった基本的な概念から、計算方法や業界別の平均値、調査の基本的な流れ、スコアが高い企業の特徴について解説しました。

eNPSは、従業員の声を定量的に把握し、組織の課題や改善ポイントを明確にするための有効な指標です。計算方法や平均スコアを理解し、適切な質問項目を設定して調査を実施することで、離職防止や生産性向上、リファラル採用などの具体的なメリットが得られます。

また、高スコア企業に共通する組織文化や制度の特徴を参考にすることで、自社のエンゲージメント向上施策に活かすことが可能です。定期的な調査と改善サイクルを通じて、より働きがいのある組織を目指しましょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

AME&Company
編集部

AME&Company編集部では、人事労務やマネジメントに関するお役立ち情報を発信しています。

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「うまくできるを仕組みにする」をパーパスに、挑戦するヒト・企業が抱えるお悩みをテクノロジーで解決する会社です。

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