2024/05/14
離職対策定着率の高い会社・低い会社の特徴は?上げる方法や目安もご紹介
定着率は企業が人事計画を企てる際に重要な指標です。定着率が高い場合は「働きやすい会社」であり業績向上が期待できますが、あまりにも低い場合は早急に改善の施策を講じる必要があります。
本記事では、定着率が高い会社・低い会社に共通する特徴をまとめました。定着率の目安や数値を上げる方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
定着率が高い会社・低い会社の特徴と改善方法を把握して、より働きやすい組織作りを目指しましょう。
定着率とは?
定着率とは、入社した従業員が一定期間後にどれだけ勤続しているかを示す指標です。
定着率が高いほど離職が少なく、組織体制が安定していると考えられます。一方で定着率が低いということは離職が多いことを示し、組織体制に何かしらの課題がある可能性が高いと考えられるでしょう。
また、定着率は会社側だけでなく求職者側にとっても重要な指標です。定着率の高さは会社の働きやすさにも直結するため、求職者が会社を選ぶ際の一つの指標になります。
定着率の計算方法
従業員の定着率を計算する際は、まず対象とする期間を定めます。
対象期間は任意ですが、年度初めの4月1日を起算日として年単位で計算するのが一般的です。詳細な定着率を計算する場合は数ヶ月や半年単位で定めるのも良いでしょう。
対象期間を定めたら、以下の計算式で定着率を求めます。
定着率(%) = (入社人数 - 離職者数) ÷ 入社人数 × 100
仮に4月1日に50人入社して、残っている従業員が40人の場合は定着率80%となります。
(50 - 10) ÷ 50 × 100 = 80%
定着率と離職率の違い
定着率と対になる指標に、離職率があります。定着率が会社に残っている従業員の割合を示す指標であることに対し、離職率は離職した従業員の割合を示す指標です。
離職率を求める計算式は以下です。
離職率 = 起算日から一定期間内の離職者数 ÷ 起算日時点の従業員数 × 100(%)
離職率の計算方法については以下の記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
定着率の平均目安
計算した結果、どの程度の数値なら「定着率が高い会社」で「定着率が低い会社」なのでしょうか?
適切な定着率は業種や業界によって異なりますが、厚生労働省が発表した”令和4年雇用動向調査結果の概況”によると常用労働者(パートタイム労働者含む)の平均離職率は15%です。定着率は「100 -離職率(%)」でも求められるため、定着率の平均目安は85%となります。
離職率計算エクセルテンプレート
従業員人数、離職者数などを入力することで年間の離職率を簡易に計算することができます。
無料ダウンロード定着率の高い会社のメリット
定着率の高い会社が得られるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
優秀な人材を確保できる
定着率の高い会社は、求職者の目に魅力的に映ります。職場環境の良さを具体的に伝えるのは困難ですが、定着率という裏付けのある数字で伝えることで、採用活動の際に優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
また、定着率が高いということは離職率が低いことであるため、人手不足を防げていると言えます。優秀な人材も確保できているため、業務の生産性やクオリティ、職場環境の良さも高い水準を維持することができます。
従業員のモチベーション向上が期待できる
定着率が低く社員の入れ替わりが激しい職場環境だと、従業員には大きなストレス・負担がかかるものです。離職者が出るたびに業務の引き継ぎが必要になり、長時間労働を強いられる従業員もいるでしょう。
その反面、定着率が高い会社は入れ替わりのストレス・負担が少ないうえに、長く勤続することで従業員同士の信頼関係が構築され、高いモチベーションで業務に取り組むことができます。
採用や人材育成にかかるコストを軽減できる
定着率が低いということは離職率が高い会社であるため、人材補填のコストが高くなります。求人広告の出稿や面接、研修、備品の手配など採用や人材コストには様々なコストがかかるものです。
定着率が高い会社であれば、これらの採用や人材育成にかかるコストを必要最低限に抑えられます。
定着率の高い会社の5つの特徴
定着率の高い会社には5つの共通点があります。以下の特徴を持つ会社は定着率が高い傾向にありますので、それぞれ具体的に見ていきましょう。
給与水準が高い
給与は業界や職種によって異なりますが、定着率の高い会社は同業種の中でも給与水準が高い傾向にあります。転職は同業種で行われることが多いため、自社の給与水準が業界平均よりも高ければ人材の流出が少なくなるでしょう。
また、給与水準が高い会社は財務状況も健全である場合が多く、安定した昇給も望めるため不満を抱く従業員は少ない傾向にあります。
人事評価制度が整っている
定着率の高い会社では、従業員の活躍に対する明確な人事評価制度が整えられています。自身の貢献が正当に評価されているか否かは、従業員のモチベーションを大きく左右するものです。
客観的で明確な人事評価制度が整えられていれば、従業員は公正に評価されていることを実感でき、離職のリスクを軽減することができます。
福利厚生が充実している
定着率の高い会社では健康保険や雇用保険などの法定福利厚生だけでなく、家賃補助や特別休暇などの法定外福利厚生も充実しています。福利厚生は従業員の会社に対する満足度やモチベーションに直結するため、ニーズに合わせたものを設けることが重要です。
ワークライフバランスが整っている
定着率の高い会社は、従業員のワークライフバランスを重要視する傾向にあります。有給休暇を取得しやすい環境作りや残業時間の適正化など、従業員が心身共に健康的に働ける環境を整えることが大切です。
結婚や出産といったライフステージの変化にも対応できる環境であれば、優秀な人材の流出を防ぐことが可能でしょう。
社内の風通しが良好
定着率の高い会社は社内の風通しが良好で、コミュニケーションが円滑である傾向にあります。意見の主張や相談をしやすい環境は人間関係の良好化にも繋がるため、自然と定着率が高くなるものです。
定着率が低い会社の5つの特徴
反対に定着率が低い会社にも共通点が存在します。以下の5つの特徴に当てはまっているか否かもチェックしておきましょう。
労働条件が良くない
当然ですが、労働条件が良くない会社は定着率が低い傾向にあります。会社が定める給与や拘束時間、働き方などと従業員の理想にギャップが大きければ、 転職を考える社員が増加します。
人事評価制度が不透明
従業員の貢献に対する人事評価制度が定まっていなかったり、公平性に欠ける場合は定着率が低くなります。会社への貢献以外の要素で評価される、従業員が大きな成果を上げても評価がない場合は、モチベーションの低下と離職を招いてしまいます。
ハラスメントが横行している
会社側がハラスメントの横行に気付けていない場合は、離職や求職に繋がり定着率の低下を招きます。ハラスメントの横行は定着率の低下だけでなく、 労働基準監督署の調査や企業のイメージダウンにも繋がるため注意が必要です。
キャリアプランが描けない
従業員がキャリアプランを描けない会社では、将来への不安・不満がつのるため定着率が低くなります。研修制度が整っていなかったりキャリアパスが明確でない場合のほか、会社の将来性が不安な場合も転職を考える従業員が増加してしまいます。
入社前後のギャップが大きい
採用面接の際につい良いところばかりを伝えてしまい、入社前後でギャップが生じてしまう会社も定着率が高い傾向にあります。入社前に残業が少ないと聞いていたのに毎日残業している、希望していた職種に就けないといったギャップには特に注意しましょう。
定着率を上げる方法は?
定着率が著しく低い場合は、一体どのようにして改善を目指せば良いのでしょうか?定着率を上げるポイントや具体的なアクションについて見ていきましょう。
定着率を上げるには会社の現状分析が重要
従業員の定着率を上げる具体的なアクションには、以下のようなものが考えられます。
上記は一例ですが、定着率を下げる要因に対して的確なアクションを実行しなければ、期待していた効果を得ることはできません。社内制度は容易に変えられるものではなく、やみくもに施策を講じても時間やコストが余計にかかるリスクも考えられます。
そのため、定着率を上げるには会社の現状をしっかり分析し、定着率を下げてしまっている組織課題を抽出したうえで、優先度の高いものから着手していくことが重要です。まずは従業員へのアンケートや退職者へのイグジットインタビューを実施するなど、組織課題改善に向けたヒントを探ることから始めるのが良いでしょう。
離職防止ツールを活用するのも一手
HR pentestでは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や定着率向上をサポートします。以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。
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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ:定着率が高い会社の特徴から改善のヒントを得よう
本記事では定着率の高い会社・低い会社の特徴に加え、計算方法や上げる方法もご紹介しました。
定着率は会社の働きやすさを示す指標とも言え、高い水準を維持することで事業や業績の向上、優秀な人材の確保にも繋がります。自社の定着率でお悩みの方は、定着率の高い会社の特徴から改善のヒントを得ましょう。
定着率を上げるには時間や手間がかかるため、効率的に改善していくならツールを導入してみるのも一手です。ぜひ本記事を参考にして、従業員が長く働ける組織作りに役立ててください。