2025/04/28
人材育成キャリア支援・開発の企業事例7選!取り組みの具体例とポイントを解説

近年、若手人材の早期離職や定着率低下が、多くの企業で課題となっています。こうした中で注目されているのが、社員一人ひとりの将来像に寄り添い、成長を支援するキャリア支援・開発の取り組みです。
本記事では、キャリア支援・開発に積極的に取り組む企業の事例についてまとめました。社員のキャリア支援に取り組むメリットや成功のポイントについても解説していますので、ぜひお役立てください。
キャリア支援・開発とは?
キャリア支援・開発とは、社員一人ひとりが自らの適性や志向性を理解し、将来的なキャリアビジョンを描きながら成長していけるよう、企業が支援する取り組みです。単なる昇進・昇格の支援ではなく、自己理解の促進、スキル向上の機会提供、異動や社外キャリアの支援なども含まれます。
具体的な取り組み例として、キャリア面談や1on1ミーティング、社内研修、リスキリング支援、ジョブローテーション制度などが挙げられるでしょう。これらの取り組みを通じて、社員の自己成長と組織の発展を両立させることが、キャリア支援の目的です。
キャリア支援・開発が重要視される背景
近年、終身雇用や年功序列といった従来の雇用慣行が変化し、働き方やキャリア形成に対する価値観も多様化しています。特に以下のような背景から、キャリア支援・開発の重要性が高まっていると考えられるでしょう。
- 組織への依存ではなく「自律したキャリア形成」が求められている
- 人材流動化の進展により、企業が選ばれる存在である必要がある
- デジタル化&グローバル化によるスキルの陳腐化への対応
- 若手社員の離職防止やエンゲージメント向上が課題となっている
こうした環境下で、キャリア支援は企業と社員の双方にとって不可欠な施策となっています。
企業がキャリア支援・開発に取り組むメリット
キャリア支援・開発は、社員個人の成長を促すだけでなく、企業にとってもさまざまなメリットをもたらします。主な利点は以下の通りです。
- 社員のエンゲージメント向上:自身の成長実感が高まり、仕事への意欲が向上
- 優秀人材の定着:長期的なキャリアパスが見えることで離職率が低下
- 組織の競争力強化:新たな事業展開や変革への対応力が向上
- 人的資本経営の推進:従業員の成長支援を通じて企業の持続的価値向上にも貢献
キャリア支援・開発の企業事例7選
自社のキャリア支援・開発プログラムを検討する際、他社がどのような取り組みを推進しているのかを把握しておくことも重要です。社員のキャリア支援・開発に積極的に取り組む企業の、具体例を見ていきましょう。
- アサヒビール株式会社
- 株式会社日立製作所
- 朝倉染布株式会社
- 医療法人 寿芳会 芳野病院
- 株式会社JTB
- 株式会社三菱東京UFJ銀行
- 大阪ガス株式会社
アサヒビール株式会社
アサヒビール株式会社は、「人こそが最も大事な経営資源であり、人の成長がグループの成長に繋がる」という理念のもと、社員の自律的な成長を支援する多様なキャリア開発施策を展開しています。
ブラザー・シスター制度やキャリア・アドバイザー面談、武者修行研修など、社員の成長段階やニーズに応じた支援を行い、離職率の低下や社員のモチベーション向上に寄与しています。これらの取り組みにより、社員が活き活きと働き、能力を伸ばしていける環境づくりを実現しています。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、社員の自律的なキャリア形成を支援するため、長年にわたり多角的な施策を展開しています。
特に「日立キャリア開発ワークショップ(H-CDW)」では、少人数の合宿形式で自己理解を深め、キャリアプランを策定する機会を提供。これにより、社員の成長意欲や会社へのコミットメントが向上し、組織全体の活性化にも寄与しています。
朝倉染布株式会社
朝倉染布株式会社は1892年の創業以来、染色整理加工業を営む老舗企業です。同社は、社員の自律的なキャリア形成を支援するため、プロジェクト活動や多様な働き方の推進など、さまざまな取り組みを実施しています。
これらの取り組みにより、社員のモチベーション向上や定着率の改善、リーダー育成など、組織全体の活性化に寄与しています。
医療法人 寿芳会 芳野病院
芳野病院は、「個人目標管理」と「教育」を柱に、職員一人ひとりのキャリア形成を支援しているのが特長的です。クリニカルラダー制度を導入し、個々の習熟度に応じた研修を実施しています。
また、目標設定や適切な評価で職員の成長を促進しつつ、多様な勤務シフトや育児休業制度の整備により、職員の働きやすさも向上。これらの取り組みにより、職員の満足度と定着率が向上し、患者満足度の向上にも寄与しています。
株式会社JTB
株式会社JTBでは、社員の主体的なキャリア形成を支援するため、「JTBユニバーシティ」を設立し、学びの機会を提供しています。また、キャリア面談や評価シートを活用し、従業員が自らのキャリアを考える文化を醸成。
これらの取り組みにより、社員のキャリア意識が向上し、組織全体の活性化につながっています。
株式会社三菱東京UFJ銀行
株式会社三菱東京UFJ銀行は、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するため、多様な制度や環境整備を進めています。職務経験を重視した人材育成を軸に、階層別研修や自己啓発支援、公募制度などを整備。
また、キャリア相談室の設置や柔軟な働き方の推進により、社員の多様なライフステージに対応しています。
大阪ガス株式会社
大阪ガス株式会社は、「人間成長の経営」の理念のもと、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する多角的な取り組みを展開しています。育成コース別人事制度や自己観察制度、各種研修・啓発プログラムなどを通じて、社員の成長意欲を高め、組織全体の活性化を図っているのが特長です。
これらの取り組みにより、社員のモチベーション向上や離職率の低下、リーダー育成など、組織全体の活性化に寄与しています。
企業がキャリア支援・開発を成功させるためのポイント
- 社員の主体性を引き出す制度設計
- キャリア面談や相談体制の整備
- 現場のニーズ把握
- 柔軟な働き方とライフイベントへの配慮
社員の主体性を引き出す制度設計
キャリア支援を成功させるためには、社員自身が「自らのキャリアは自ら切り拓く」という意識を持てる制度設計が重要です。具体的には、自己申告制度や社内公募制度、選択型研修など、自律的な選択を促す仕組みが効果的です。
また、キャリアパスの選択肢を明示することで、社員が将来像を描きやすくなり、モチベーションの向上につながります。
キャリア面談や相談体制の整備
社員一人ひとりのキャリア形成を支援するうえで、上司とのキャリア面談や専門部署による相談体制の整備は欠かせません。定期的な1on1やキャリア面談により、社員の希望や課題を把握し、適切な成長機会を提供することが可能となります。
また、社内にキャリアアドバイザーを配置することで、上司とは異なる視点からのアドバイスも受けられる体制が整います。社員の不安や迷いを早期に解消する仕組みが、離職防止やキャリア自律の促進につながるでしょう。
現場のリアルなニーズを把握
キャリア支援制度を実効性あるものにするためには、現場のリアルなニーズや課題を正確に把握することが重要です。年齢層や職種、組織のフェーズによって求められる支援内容は異なるため、アンケートやヒアリング、定期的なフィードバックの収集が不可欠です。
現場との対話を通じて、制度と運用をブラッシュアップしていく姿勢が、社員の納得感と制度の定着につながります。
柔軟な働き方とライフイベントへの配慮
キャリア支援は、社員の生活背景や人生の転機を尊重する姿勢があってこそ効果を発揮します。育児・介護・病気など、さまざまなライフイベントを抱える社員が安心して働き続けられるよう、在宅勤務や短時間勤務、休暇制度の整備が求められるでしょう。
さらに、制度を「使いやすくする」ための上司の理解や職場内の風土づくりも重要です。柔軟な働き方を可能にすることで、多様な人材の活躍を支え、長期的なキャリア形成にもつながります。
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まとめ
本記事では、キャリア支援・開発に積極的に取り組む企業の事例について解説しました。
キャリア支援・開発は、単なる人材育成ではなく、社員の働きがいや成長を支える重要な経営戦略のひとつです。社員の主体性を尊重した制度設計や相談体制の充実、現場との対話を重視した柔軟な運用が、取り組みの成否を分けます。
また、ライフイベントや多様な働き方への配慮は、長期的な人材活用の鍵となります。自社に合ったキャリア支援の形を模索しながら、社員と組織が共に成長していける環境を整えることが、これからの企業経営に求められています。