2025/03/29
離職対策新卒の定着率の平均は?定着しない原因と向上の対策も解説

新卒社員の定着率は、企業の成長や組織の安定に直結する重要な指標です。しかし、入社後の早期離職に悩む企業は少なくありません。
本記事では、新卒社員の定着率の平均や向上に向けた施策例について解説しています。新卒社員が定着しない原因や向上させるメリット、企業の取り組み事例についてもまとめています。
新卒社員が長く活躍できる環境を整えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
新卒の定着率の平均
一般的に、新卒の3年以内の離職率は3割で、定着率は7割が目安と言われています。しかし、定着率は業種や企業の規模などで変動するため注意が必要です。
厚生労働省の『新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)』を参考に、業種や規模ごとの定着率の平均について見ていきましょう。
【事業所規模別】新卒3年以内の定着率の平均
高卒 | 大卒 | |
---|---|---|
5人未満 | 37.5% | 40.9% |
5~29人 | 45.6% | 47.3% |
30~99人 | 54.7% | 57.6% |
100~499人 | 62.9% | 64.8% |
500~999人 | 68.5% | 67.1% |
1,000人以上 | 72.7% | 71.8% |
上記の通り、事業者規模が大きい企業ほど従業員の定着率が高く、小さい企業ほど低いことがわかります。
様々な要因が考えられますが、大企業は給与や福利厚生が充実しており、安定した雇用環境を提供できるため、従業員が長く働きやすい状況を整えています。研修制度やキャリアパスも明確で、成長機会が多いことも魅力となっているでしょう。
一方、小規模企業では業務の負担が個人に集中しやすく、労働環境が不安定になりがちです。また、職場の人間関係も影響しやすく、少人数のため対人トラブルが深刻化しやすいことも、定着率の低下に関係していると考えられます。
【産業別】新卒3年以内の定着率の平均
以下は、新卒3年以内の定着率が低い産業のうち、上位5産業をまとめた表です。
高卒 | 大卒 | ||
---|---|---|---|
宿泊業,飲食サービス業 | 34.9% | 宿泊業,飲食サービス業 | 43.4% |
生活関連サービス業,娯楽業 | 39.0% | 生活関連サービス業,娯楽業 | 46.3% |
教育,学習支援業 | 46.9% | 教育,学習支援業 | 53.4% |
医療,福祉 | 50.7% | 小売業 | 58.1% |
小売業 | 51.4% | 医療,福祉 | 58.5% |
高卒・大卒ともにサービス業の定着率が低い傾向にあることがわかります。
離職率計算エクセルテンプレート

従業員人数、離職者数などを入力することで年間の離職率を簡易に計算することができます。
無料ダウンロード新卒が定着しない原因とは?
新卒の定着率を向上させるには、まず定着しない原因を把握しておくことが重要です。新卒社員が定着しない会社のよくある特徴から、原因を探ってみましょう。
- 採用のミスマッチ
- オンボーディング支援の不足
- 過重労働が常態化している
- 成長を実感できない環境
- 職場内の人間関係が良好でない
採用のミスマッチ
新卒の定着率が低下する主な原因の一つが採用時のミスマッチです。企業が求める人物像と実際に入社した新卒社員の価値観やキャリアビジョンが合致していない場合、早期離職に繋がります。
業務内容や企業文化に対する理解不足や、選考時の過度な理想化も要因となります。
オンボーディング支援の不足
入社後のオンボーディングが不十分だと、新卒は業務への適応に苦労します。充分な研修が行われていない、具体的な業務指導がない、質問しにくい雰囲気があるなどの状況では孤独感や不安が募ります。
メンター制度や定期的な1on1ミーティングを導入し、業務の理解を深めるサポート体制を整えることで、新卒社員の定着を促進できるでしょう。
過重労働が常態化している
新卒社員が過重労働に直面すると、心身の負担が増し離職のリスクが高まります。特に業界や職種によっては、長時間労働や休日出勤が常態化しているケースも少なくありません。
労働時間の適正化や業務分担の見直しを行うことで、働きやすい環境を整備し、新卒社員の定着率向上につなげることができます。
成長を実感できない環境
新卒社員は自身の成長を実感できない環境に不満を抱きやすい傾向があります。単調な業務ばかり任される、スキルアップの機会が少ないといった状況では、仕事への意欲も低下してしまうでしょう。
個々のキャリア目標に合わせた研修の提供や、チャレンジできる業務への積極的なアサインが重要です。
職場内の人間関係が良好でない
職場の人間関係は、新卒社員の定着に大きく影響します。上司や同僚との信頼関係が築けない、孤立してしまう環境では、働き続けるモチベーションを保つのが難しくなります。
チームビルディングや社内イベントの開催、コミュニケーションを促進する場を設けることで、人間関係の改善を図ることが可能です。
新卒の定着率が向上するメリット
従業員の定着率が向上することで、企業は様々なメリットを得ることができます。特に新卒の定着率改善において、どのようなメリットを得られるのか詳しく見ていきましょう。
- 採用や育成コストの削減
- 職場の生産性向上
- 企業文化やノウハウの継承
- 企業のブランド力向上
採用や育成コストの削減
新卒社員の定着率が向上すると、採用や育成にかかるコストを大幅に削減できます。
新たに社員を採用する場合、求人広告費や面接に要する時間、人材紹介会社への手数料など多くのコストが発生します。さらに、研修やOJTなどの育成費用も必要です。
定着率を高めることで、これらの費用を抑えつつ、社内に経験豊富な人材を蓄積することが可能になるでしょう。
職場の生産性向上
定着率が向上した職場では、社員同士の連携が深まり、業務の効率化が進みます。
長期的に勤務する社員は業務知識やスキルが蓄積されるため、より高いパフォーマンスを発揮できます。また、定着した社員が後輩の指導役として活躍することで、チーム全体の生産性向上にも貢献します。
経験者の安定した働きぶりは、職場のモチベーション向上にもつながります。
企業文化やノウハウの継承
新卒社員が長く勤務することで、企業の文化や価値観が社内に浸透しやすくなります。
業務を通じて得られたノウハウや成功事例も、ベテラン社員から若手社員へと継承されやすくなるでしょう。。これにより、企業全体のスキルレベルが向上し、競争力の維持・向上にも寄与します。
組織としての一体感や帰属意識を高めるためにも、定着率の向上は重要です。
企業のブランド力向上
定着率の高い企業は「社員を大切にする企業」として評価され、企業ブランドの向上につながります。
特に若手の離職率が低いことは、求職者や取引先に対して良い印象を与え、採用市場やビジネス面で有利に働きます。また、従業員満足度が高い企業は口コミやSNSなどで好意的に紹介されることが多く、さらなるブランド価値の向上が期待できるでしょう。
新卒の定着率向上のための対策・取り組み例
新卒がなかなか定着しない場合、改善に向けた施策や取り組みを講じる必要があります。基本的には離職要因となっている組織課題に合わせたアプローチが求められますが、代表的な取り組み例をご紹介しますので参考にしてください。
- 充実したオンボーディングプログラムの提供
- キャリアパスの明確化と成長支援
- メンター制度や1on1ミーティングの導入
- 働きやすい職場環境の整備
- 社員の声を反映した職場改善の推進
充実したオンボーディングプログラムの提供
新卒社員がスムーズに職場に適応できるよう、入社後のオンボーディングプログラムを充実させましょう。具体的な例としては以下のようなものが考えられます。
実践的なスキルを身につける機会を提供し、新卒社員の定着率向上につなげることが重要です。
キャリアパスの明確化と成長支援
新卒社員にとって、自身の成長やキャリアの見通しが立たないことは離職の大きな要因となります。
企業は社員一人ひとりの適性や目標に応じたキャリアパスを提示し、必要なスキルや経験を積むための支援を行うことが重要です。定期的なキャリア面談やスキルアップ研修の提供により、社員の成長意欲を引き出し、定着率を高める効果が期待できます。
メンター制度や1on1ミーティングの導入
メンター制度を導入することで、新卒社員が気軽に相談できる環境を整えることが可能です。年齢や経験の近い先輩社員をメンターとして配置し、業務上の悩みやキャリアの不安を解消できるよう支援します。
さらに、定期的な1on1ミーティングを通じて、上司が新卒社員の状況を把握し、必要なサポートを提供することで、心理的安全性を高め、定着率向上に寄与します。
働きやすい職場環境の整備
ワークライフバランスの確保や柔軟な働き方の導入は、新卒社員の定着率向上に効果的です。
リモートワークやフレックスタイム制度の導入、休暇取得の奨励などにより、社員の心身の負担を軽減できます。また、快適なオフィス環境の提供や福利厚生の充実も重要です。
新卒社員が長く働き続けたいと思える環境を整えることで、企業全体のエンゲージメントも向上します。
社員の声を反映した職場改善の推進
社員の声を積極的に収集し、職場環境の改善に活かすことも定着率向上に効果的です。
定期的なアンケートや意見交換会を通じて、現場の課題や要望を把握し、迅速に改善策を講じましょう。経営陣や管理職が社員の声に耳を傾ける姿勢を示すことで、従業員のエンゲージメントが高まり、安心して働ける環境が整います。
新卒の定着率向上に取り組んだ企業の事例
新卒の定着率向上を図る際、他社の取り組みを参考にするのも一手です。他社がどのようなアプローチで新卒社員の定着率を向上させたのか、事例を見ていきましょう。
- 株式会社サンユー
- 大起産業株式会社
- アサヤ株式会社
株式会社サンユー
株式会社サンユーは、学校や福祉施設などを対象に給食サービス業を提供している企業です。
家政・生活・栄養系大学や短大を中心に新卒採用を行っていたものの、2011年から翌年にかけて早期離職が続出。当時はOJTによる教育が中心で異動も少なく、新卒社員同士の横の繋がりが少なかったことが起因していたと分析し、以下の取り組みを行いました。
研修や日報で新入社員の近況を確認し、必要に応じて面談を行うことで、早期離職の予兆に迅速に対応できるようになりました。さらに、会社説明会の際にクイズ形式で業務内容を説明するなどの取り組みで、採用ミスマッチを減らしたことも定着率向上に繋がっています。
大起産業株式会社
大起産業株式会社は、航空機の構造組立や各種産業機械の設計製作を手掛けている企業です。
事業拡大に伴って新卒の採用を強化してきたものの、入社後1年以内の離職率は17%、3年以内の離職率は48%となっていて定着に課題を抱えていました。社員一人ひとりへの業務負荷の増加やビジネスチャンスを逃す要因にもなっていたため、以下のような取り組みを行いました。
特にメンター制度導入後は、新卒社員の退職者がなくなり離職率0%となることも。教育担当者も模範となれるように意識が変わり、定着率に加えてモチベーションや業務レベルも向上しました。
参考:経済産業省『中小企業・小規模事業者の 人手不足対応事例集』
アサヤ株式会社
アサヤ株式会社は、漁業資材機械の販売や水中ロボットでの漁場調査を手掛けている企業です。
同社の社長が人事業務を担っていたため、細やかな採用活動や入社後のケアに課題がありました。人手不足への対応が急務となった2022年に、採用強化と定着率向上のため以下のような取り組みを行いました。
これらの取り組みを1年間継続することで、12名の採用に成功。さらに、入社後のミスマッチ防止や定期的な面談によって、定着化も成功しています。
参考:厚生労働省『地域で活躍する中小企業の採用と定着成功事例集』
AI×現場の本音で新卒の定着率を向上『HR pentest』
HR pentestは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や離職防止をサポートするツールです。自然言語解析AIに加えて、専任担当者によるサポートも付けることができます。
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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、新卒社員の定着率の平均や向上に向けた施策例、定着しない原因や向上させるメリット、企業の取り組み事例について解説しました。
新卒社員の定着率を向上させるためには、採用時のミスマッチを防ぎ、充実したオンボーディングやキャリア支援を提供することが重要です。さらに、働きやすい環境の整備やメンター制度の導入、社員の声を反映した職場改善など、多角的な取り組みが求められます。
企業文化やノウハウの継承、採用コストの削減、ブランド力向上など、定着率の向上は企業にとって大きなメリットをもたらします。
社員一人ひとりが安心して働ける環境を整え、持続的な成長を目指しましょう。