2025/04/28
人材育成中堅社員のモチベーション低下の原因は?影響や向上施策、退職の対策も解説

近年では「モチベーションの低下」や「キャリアの行き詰まり」を感じる中堅社員が増え、離職や生産性の低下といった問題に直面する企業も少なくありません。若手の育成や業務の中心を担う中堅社員が意欲を失うと、組織全体に大きな影響を与える可能性があります。
本記事では、中堅社員のモチベーションが低下してしまう原因と、その対策について解説しています。中堅社員のモチベーションが下がることで企業に与える影響、モチベーション向上に向けた施策例もまとめていますので、お役立てください。
中堅社員の定義
中堅社員は一般的に、入社から5〜10年程度が経過し、一定の業務経験と専門知識を備えた社員を指します。現場の実務を担いながら、後輩指導やチームリーダー的な役割を果たすことも多く、企業にとって中核的な存在といえるでしょう。
若手社員の育成や、管理職との橋渡し的な役割も担うため、組織全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。一方で、昇進や評価の停滞、キャリアの行き詰まり感といった悩みを抱えやすく、モチベーションの維持が課題となりがちです。
このような中堅社員の意欲や満足度を高めることは、企業の持続的成長や離職防止にも直結する重要なテーマです。
中堅社員のモチベーション低下でよくある原因
中堅社員のモチベーションが下がる原因は、人によって様々です。しかし、中には個人的要因ではなく、組織課題が起因してモチベーションを維持できないケースもあるため、無視できません。
中堅社員のモチベーション低下の原因として、特に多いものについて見ていきましょう。
- 中堅社員のモチベーション低下でよくある原因
- 昇進の停滞による将来不安
- 業務のマンネリ化と達成感の喪失
- 過度な業務負担による疲労
- 人事評価制度への不満
- キャリアの方向性が見えないことへの不安
- プライベートとの両立に対するストレス
昇進の停滞による将来不安
中堅社員は、ある程度の経験を積んで組織に貢献している一方で、昇進や役職へのステップアップが見込めず、将来に対する不安を抱きやすい時期でもあります。努力が報われないと感じることで、仕事への意欲が薄れ、「このままでいいのだろうか?」という疑念が芽生えることがあります。
特に、評価や昇進の仕組みが不透明であったり、年功序列的な制度が根強い場合、自身のキャリアが停滞しているように感じ、モチベーションの低下につながります。
業務のマンネリ化と達成感の喪失
同じ業務を長年にわたり繰り返すことで、仕事に対する新鮮味が薄れ、やりがいや達成感を感じにくくなることがあります。ルーチンワークが多くなる中で、成長実感を得られなかったり、自分の存在意義が見えづらくなると、モチベーションは自然と低下していきます。
新しい挑戦や学びの機会が乏しい環境では、自己成長の余地が感じられず、「何のために働いているのか」という根本的な疑問に直面することも少なくありません。
過度な業務負担による疲労
中堅社員は後輩の指導やプロジェクトの中心的役割を担うことが多く、責任や業務量が過度に集中しやすい立場です。その結果、長時間労働やプレッシャーにより心身の疲労が蓄積し、仕事に対する前向きな気持ちが削がれていきます。
特に、頑張っても評価されにくい環境やサポート体制の不備があると、疲弊感はより強まり、離職意欲が高まる要因となりかねません。
人事評価制度への不満
自分の働きぶりや成果が適正に評価されていないと感じることは、大きなモチベーション低下の要因になります。特に中堅社員は、業務効率化や後輩育成など、目に見えにくい貢献も多いため、定量評価だけでは実力が正しく反映されにくい傾向があります。
また、評価基準が曖昧だったり、上司との認識のズレがある場合、公平性を疑う気持ちが芽生えやすくなってしまうでしょう。
キャリアの方向性が見えないことへの不安
中堅層はこれまでの経験を踏まえ、今後のキャリアビジョンを描くべき重要な時期です。しかし、自社内に多様なキャリアパスが存在しなかったり、上司とのキャリア面談が不十分である場合、自分がどこを目指すべきか分からず、将来への不安を感じることがあります。
また、転職市場に対する不安やスキルの汎用性に対する疑問が生じると、現状に閉塞感を覚え、働く意欲そのものが低下することにもつながります。
プライベートとの両立に対するストレス
中堅社員は年齢的に、家庭や子育て、介護といったプライベートの責任が増える時期でもあります。仕事と私生活の両立が難しくなると、どちらにも十分なリソースを割けないことにストレスを感じ、疲労や不満が積もっていくものです。
職場の制度や風土が柔軟な働き方を許容していない場合、このストレスはさらに増幅され、仕事への意欲喪失や離職検討の引き金となることがあります。
中堅社員のモチベーション低下が企業の及ぼす影響
組織の中核を担う中堅社員のモチベーション低下は、企業へ様々な影響を及ぼします。具体的にどのような影響をもたらすのか、代表的なものとそのリスクについて見ていきましょう。
- 組織全体の生産性が低下する
- 若手社員の育成や定着への悪影響
- 職場の雰囲気やチームワークの悪化
- 離職による人材流出とコストの増加
組織全体の生産性が低下する
中堅社員は、業務遂行力や判断力に優れた存在であり、現場の中心として重要な役割を担っています。しかし、モチベーションが低下すると、本来期待されるパフォーマンスが発揮されず、生産性が全体的に下がる可能性があります。
業務の停滞やミスの増加、報連相の不徹底など、現場における小さな歪みが積み重なり、結果的に組織全体の効率や成果に悪影響を及ぼすため注意が必要です。
若手社員の育成や定着への悪影響
中堅社員は若手社員の指導役を担うことが多く、職場における教育や定着のキーパーソンです。モチベーションが低下した状態では、積極的な指導やロールモデルとしての行動が減少し、若手が不安や不満を抱えやすくなります。
また、中堅層の不満が若手に伝播することで、組織全体のモチベーション低下や離職意向の高まりにもつながるため、育成環境の整備には注意が必要です。
職場の雰囲気やチームワークの悪化
モチベーションが低下した中堅社員は、消極的な態度や否定的な言動が目立つようになり、周囲に悪影響を及ぼす可能性があります。特にチームでの協働が求められる職場では、一部の社員の意欲低下が全体の士気や連携に影を落としてしまうでしょう。
結果として、円滑なコミュニケーションや業務遂行が困難となり、チームの結束力が弱まってしまいます。
離職による人材流出とコストの増加
モチベーションの低下が深刻化すると、中堅社員の退職につながるリスクがあります。中堅層の離職は、ノウハウの喪失や後任育成にかかる時間・費用が大きく、企業にとって大きな損失です。
特に中堅社員の離職は、即戦力の減少だけでなく、残されたチームへの負担増にもつながり、さらなるモチベーション低下を招く悪循環に陥る可能性があります。
中堅社員のモチベーション向上のための対策
中堅社員のモチベーションを向上し、高い状態を維持することは企業の持続的な成長に欠かせません。どのような施策が中堅社員のモチベーション向上を図るか迷った際は、以下の取り組みを参考にしてください。
- 定期的な面談の実施
- キャリアパスの明確化
- 成長機会を提供する
- 人事評価制度の整備
- 柔軟な勤務制度の導入
定期的な面談の実施
中堅社員のモチベーションを維持・向上させるためには、上司との定期的な面談が欠かせません。日常業務の忙しさに埋もれがちな中堅社員こそ、現在の悩みや課題を言語化し、上司と共有する機会が必要です。
面談を通じて評価や期待のすり合わせを行い、本人のキャリアビジョンや関心に寄り添ったフィードバックを提供することで、信頼関係の構築とともに、仕事への納得感や前向きな姿勢が生まれます。
ただ話を聞くだけでなく、対話型の面談が効果的です。
キャリアパスの明確化
中堅社員が中長期的な視点で働き続けるには、将来的なキャリアの方向性を描ける環境が不可欠です。たとえば、専門職としての道やマネジメントへの道など、複数のキャリアパスを提示することで、自身の適性や志向に応じた成長イメージを持つことができます。
また、各キャリアステージに必要なスキルや役割を明示することで、目指すべき姿と今の自分との差分が明確になり、モチベーションを保ちながら自己研鑽に取り組む意欲を引き出すことができます。
成長機会を提供する
日々の業務が固定化されがちな中堅社員に対しては、新たな挑戦や学びの場を意識的に提供することが重要です。具体的には以下のような施策を講じることで、仕事に対する新鮮さや達成感を得られるでしょう。
また、自分の強みを再確認できる経験や、将来に活かせるスキル習得の機会は、キャリア全体への満足度向上にもつながります。日常業務の合間に成長を感じられる環境づくりがカギです。
人事評価制度の整備
モチベーションの維持には、公平で納得感のある評価制度が不可欠です。
中堅社員は成果だけでなく、後輩の育成やチーム貢献など、目に見えにくい部分でも多くの価値を生んでいます。そのような可視化しづらい貢献も正当に評価される仕組みを整えることが重要です。
また、評価基準やプロセスの透明化、フィードバックの丁寧な説明によって、社員が「見られている」「認められている」と実感できるようになり、やる気の向上と信頼関係の強化にもつながります。
柔軟な勤務制度の導入
プライベートとの両立が求められる中堅社員にとって、柔軟な働き方を選択できる環境はモチベーション維持の大きな要素となります。具体的には、以下のような取り組みが考えられるでしょう。
働き方の選択肢が広がることで、生活と仕事のバランスがとりやすくなります。また、個々のライフステージや価値観に応じた制度設計がされていることは、「自分らしく働ける会社」という実感を与え、長期的な定着にもつながる重要な施策です。
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まとめ
本記事では、中堅社員のモチベーションが低下してしまう原因と、その対策について解説しました。
中堅社員のモチベーション低下は、単なる個人の問題ではなく、組織全体の生産性やチームの士気、さらには若手社員の定着率にも関わる重要な課題です。その背景には、昇進の停滞や業務のマンネリ化、評価制度への不満など、複数の要因が存在しています。
一方で、定期的な面談やキャリア支援、柔軟な勤務制度の導入など、企業側の取り組みによって改善が見込める領域でもあります。中堅社員が長期的に活躍できる環境を整えることが、企業の持続的成長につながる第一歩といえるでしょう。