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障がい者雇用の定着率を上げるには?退職理由や平均離職率、離職防止の施策例も解説

障害者雇用は法定雇用率の達成だけでなく、採用した人材が長期的に活躍できる環境作りが重要です。しかし、職場環境や業務内容の不一致、健康面の課題などによって、離職率が高くなってしまうケースも少なくありません。

本記事では、障害者雇用における定着率の改善に有効な施策例について解説しています。障害者雇用の平均定着率や離職要因となる退職理由、離職防止に取り組む企業の事例も紹介していますので、ぜひお役立てください。

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障害者雇用の平均定着率・離職率について

障害者雇用を進めるうえで、採用人数だけでなく「どれだけ長く働き続けてもらえるか」という定着率も重要な指標です。実際、業種や職種などによって定着率には大きな差があり、とくに精神障害や発達障害を持つ方では早期離職が目立つ傾向にあります。

以下の調査データをもとに、障害者雇用における定着率の現状を詳しく見ていきましょう。

  • 障害別:定着率の推移と構成割合
  • 業界別:就職後1年以内の定着率
  • 職種別:就職後1年以内の定着率

障害別:定着率の推移と構成割合

厚生労働省の資料『障害者雇用の現状等』における以下のグラフは、障害別で定着率の推移と構成割合がまとめられたものです。知的障害や発達障害の定着率は安定的であることに対し、精神障害は定着率が下落傾向にあることがわかります。

出典:厚生労働省『障害者雇用の現状等

  • 身体障害者:3ヶ月以内/84.7%、1年以内/60.8%
  • 知的障害者:3ヶ月以内/85.3%、1年以内/68.0%
  • 精神障害者:3ヶ月以内/69.9%、1年以内/49.3%
  • 発達障害者:3ヶ月以内/85.3%、1年以内/71.5%

業界別:就職後1年以内の定着率

以下は障害者職業総合センター(NIVR)の調査による、障害者の就職後1年以内の定着率を業界別にまとめた表です。

業界就職後1年以内の定着率
金融・保険業85.1%
複合サービス業68.4%
研究・専門技術サービス業67.8%
教育・学習支援業64.2%
不動産・物品賃貸業62.9%
生活関連サービス・娯楽業62.1%
医療・福祉61.7%
製造業60.2%
情報通信業60.2%
電気・ガス・熱供給・水道業60.0%
卸売・小売業57.6%
サービス業(その他)56.1%
運輸・郵便業54.3%
分類不能の産業53.8%
鉱業・採石・砂利採取50.0%
宿泊・飲食サービス業47.8%
公務(他に分類を除く)46.2%
建設業44.8%
農業・林業36.8%

出典:障害者職業総合センター(NIVR)『障害者の就業状況等に関する調査研究

上記の表から障害者の定着率には、産業によって大きな差があることが分かります。

金融・保険業や複合サービス業、研究職など専門性の高い分野では定着率が比較的高い一方、農業・林業や建設業、宿泊・飲食など体力的負担の大きい業種では低い傾向です。これは仕事内容の特性や労働環境の整備状況、支援体制の充実度が定着率に直結していることを示しており、産業ごとに異なる支援策の必要性が伺えます。

職種別:就職後1年以内の定着率

以下は、障害者職業総合センター(NIVR)の同調査による、障害者の就職後1年以内の定着率を職種別にまとめた表です。

職種就職後1年以内の定着率
販売80.8%
事務74.4%
運搬・清掃・包装等74.0%
農林漁業71.4%
生産工程62.5%
サービス53.9%
保安50.0%
輸送・機械運転50.0%
建設・採掘33.3%
専門・技術33.3%

出典:障害者職業総合センター(NIVR)『障害者の就業状況等に関する調査研究

上記の表から、販売や事務など比較的安定した環境や業務が明確な職種で定着率が高いことがわかります。一方、建設・採掘や専門・技術のように体力的負担や高度なスキルが求められる職種では低い傾向にあり、職務内容の適性や支援体制の整備状況が就労継続に大きく影響していると考えられるでしょう。

障害者雇用の離職率が上がる原因は?よくある退職理由

障害者雇用において離職率が高くなる背景には、さまざまな要因があります。離職要因となっている課題を正しく理解することで、定着率向上に向けた効果的な対策を検討できますので、詳しく見ていきましょう。

  • 職場環境や人間関係のストレス
  • 健康面の悪化
  • 業務内容とスキルのミスマッチ
  • 障害への理解・配慮不足
  • 労働条件への不満

職場環境や人間関係のストレス

障害者が安心して働き続けるためには、職場の人間関係やコミュニケーションのしやすさが大きな鍵となります。

しかし、職場における理解不足や孤立感、上司・同僚との関係性の難しさがストレスとなり、離職につながるケースは珍しくありません。特に「相談しづらい雰囲気」や「ミスへの過度な指摘」などは心理的負担を増大させます。

企業側は、障害の有無に関わらず誰もが意見を言いやすい風通しの良い職場づくりなどで、支援体制を強化することが必要です。

健康面の悪化

障害の特性や持病により、体調の変化が離職の大きな要因となることも少なくありません。

通勤や長時間労働が負担となったり、業務内容が体調管理に適さない場合、就労の継続が困難になります。また、精神的なストレスが心身に影響を及ぼすケースもあります。

健康面での悪化を防ぐためには、勤務時間の柔軟化やこまめな体調確認といった配慮が有効です。

業務内容とスキルのミスマッチ

配属された業務が本人のスキルや特性に合っていない場合、ストレスやパフォーマンス低下を招き、結果的に退職につながることがあります。

例えば、集中力が必要な業務を希望しているのに単純作業を任されたり、逆に複雑な業務を求められて過度な負担になるケースです。採用時のミスマッチングや、適性を考慮しない配置が原因となる場合もあるでしょう。

こうした問題を防ぐには、採用段階から障害の特性や得意分野を把握し、業務を適切に調整することが重要です。

障害への理解・配慮不足

職場での障害への理解が不足していると、配慮が行き届かず働きにくさを感じ、離職の原因となります。

例えば、発達障害の特性に対する誤解や、精神障害のある社員に対する偏見が残っている場合、適切なサポートが得られません。本人が困難を抱えていても自己責任とされてしまうと、安心して働ける環境が失われてしまいます。

障害に関する正しい知識を広めることで、働きやすい環境が生まれるでしょう。

労働条件への不満

賃金や雇用形態、キャリアの見通しといった労働条件への不満も、退職理由としてよく挙げられます。

特に「給与が生活に見合わない」「昇進の機会が限られている」「非正規雇用から正社員になれない」といった不満は、長期的な就労意欲を削いでしまうものです。また、通勤時間や勤務地の制約が負担になるケースもあります。

企業側は、障害者を戦力として適正に評価し、昇進やキャリア形成の機会を提供することが大切です。

障害者雇用の定着率向上が重要な理由

障害者雇用は「採用すること」がゴールではなく、長く働き続けてもらうことが真の成功につながります。定着率を上げることが重要な理由について、改めてしっかりと把握しておきましょう。

  • 人材活用の最大化につながる
  • 企業の信頼性向上に寄与する
  • 持続的な組織成長を実現する

人材活用の最大化につながる

障害者雇用において定着率を高めることは、せっかく採用した人材の能力を十分に発揮してもらうために欠かせません。

早期離職が続けば、採用活動や教育研修にかかるコストが無駄になり、組織にとって大きな損失となります。一方、定着率を向上させることで、社員が経験を積み、スキルや知識を高めながら組織に貢献することが可能になるのです。

長期的な就労を前提に業務を任せられることで、戦力としての活用度も高まり、組織全体の生産性向上にも直結するでしょう。

企業の信頼性向上に寄与する

障害者雇用の定着率が高い企業は、社員を大切にしている組織として社内外から評価されます。

特に、障害者雇用はCSR(企業の社会的責任)やSDGsの観点から注目されており、定着を重視する取り組みは企業イメージの向上につながります。また、障害のある社員が安心して働ける職場環境は、他の従業員にとっても働きやすさを感じやすく、離職防止やエンゲージメント向上にも波及効果をもたらすでしょう。

こうした姿勢は取引先や求職者からの信頼獲得にもつながり、企業価値の向上を後押しするのです。

持続的な組織成長を実現する

障害者の定着率向上は、単なる人材管理の課題にとどまらず、組織全体の持続的成長にも直結します。

多様な人材が長期的に働くことで、異なる視点や価値観が組織に取り入れられ、イノベーションや新しい発想を生み出す土壌となります。また、安定した雇用関係を維持することは、組織文化の成熟やチームワーク強化にもつながるものです。

さらに、雇用の安定は助成金活用や法令遵守の面でもメリットがあり、企業経営の安定性を高める効果があります。

障害者雇用の定着率向上に有効な6つの対策

障害者雇用において定着率を改善するには、採用時から職場環境整備、メンタルサポートまで、戦略的な取り組みが欠かせません。企業が実践できる効果的な施策を6つご紹介しますので、ぜひ自社のリテンションマネジメントにお役立てください。

  1. 採用時の適切なマッチングを徹底
  2. 職場環境の改善と働きやすさの確保
  3. 障害理解を深める取り組みの推進
  4. コミュニケーションの活性化
  5. メンタルヘルスサポートの導入
  6. 柔軟な働き方やキャリア形成の支援

1.採用時の適切なマッチングを徹底

採用段階で業務内容と候補者のスキルや特性を丁寧に照らし合わせることは、定着率向上の第一歩です。

本人の強みを活かせない配置は早期離職につながるため、職務分析やヒアリングを通じて適性を見極めることが求められます。加えて、採用担当者だけでなく現場マネジャーも参加することで、受け入れ体制の準備が進みやすくなるでしょう。

具体的な取り組みの例
  • 障害特性を考慮した適性検査や面談の実施
  • 採用前に職場実習やトライアル雇用を導入
  • 業務ごとのジョブディスクリプションを明確化

2.職場環境の改善と働きやすさの確保

物理的な環境整備やツールの活用はもちろん、従業員の心理的安全性を確保することも欠かせません。

職場が働きやすく整っていれば、障害のある従業員だけでなく全体のモチベーション向上につながります。人事部門が主体となり、職場のバリアを取り除く取り組みを戦略的に進めることが重要です。

具体的な取り組みの例
  • バリアフリーなオフィス設計や設備導入
  • 在宅勤務やサテライトオフィスの整備
  • 定期的な職場環境アンケートの実施

3.障害理解を深める取り組みの推進

障害特性や配慮事項に関する理解不足は、誤解や偏見を生み、離職の原因となります。

全社的な研修や啓発活動を通じて、従業員一人ひとりが「共に働く仲間」としての意識を持つことが重要です。また、経営層からメッセージを発信することも、組織文化としての定着が進む要因となり得ます。

具体的な取り組みの例
  • 管理職向けの障害理解研修を定期開催
  • 社内イントラで障害特性に関する情報を共有
  • 社員同士の交流イベントやワークショップを実施

4.コミュニケーションの活性化

障害者雇用の定着には、職場内の円滑なコミュニケーションが不可欠です。

孤立を防ぎ、相談しやすい風土を醸成することで、問題が深刻化する前に対応できます。人事戦略としては、日常的なコミュニケーションの仕組みを制度化し、従業員エンゲージメントを高めることが効果的でしょう。

具体的な取り組みの例
  • 定期的な1on1ミーティングの実施
  • ピアサポート制度やメンター制度の導入
  • チームミーティングでの意見共有の場を確保

5.メンタルヘルスサポートの導入

精神的な不調は離職の大きな要因であり、予防的な支援が重要です。

人事部が主導して社内外の専門家と連携し、従業員が安心して相談できる環境を整備することが戦略的な課題となります。メンタルヘルス対策を全社的に位置づけることで、定着率だけでなく組織の健康度も高まります。

具体的な取り組みの例
  • 産業医やカウンセラーによる相談窓口の設置
  • ストレスチェックとフォローアップ体制の強化
  • メンタル不調時の柔軟な勤務調整制度

6.柔軟な働き方やキャリア形成の支援

定着率を高めるには「長く働けるキャリアの見通し」を示すことが不可欠です。

柔軟な働き方の導入は体調や生活状況に対応でき、キャリア支援は中長期的なモチベーションを維持します。人事戦略としては、昇進・職務拡大の仕組みを設計し、本人の希望を尊重したキャリアパスを描けるようにすることが有効です。

具体的な取り組みの例
  • フレックスタイムや短時間勤務制度の導入
  • 障害者を持つ従業員向けのキャリア面談を定期的に実施
  • 能力に応じた職務拡大やリーダー職登用の機会提供

障害者雇用の定着率向上に取り組む企業の事例

障害者雇用の定着率向上に取り組む企業は、個々の特性や体調に応じた柔軟な勤務制度や職務調整、社内外の支援体制を整備しています。他社がどのような施策を講じて定着を図っているのか、具体的な事例について見ていきましょう。

  • 事例1:株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター
  • 事例2:長野リネンサプライ株式会社
  • 事例3:株式会社ニッセイ・ニュークリエーション

事例1:株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター

株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センターでは、法定雇用率達成をきっかけに障害者雇用を進めてきました。

現在では「一人ひとりを戦力」として捉え、特性に応じた配慮や柔軟な勤務形態の導入を実践しています。例えば、透析治療が必要となった社員に対し、週5日のうち2日を時短勤務に切り替えるなど、健康に配慮した就労継続を可能にしました。

また、身体的負荷の高い業務から負担の少ない仕分け作業へ変更するなど、長期的に働ける環境を整備。障害者職業生活相談員やジョブコーチが勉強会を通じて社員を支援する仕組みも整え、実雇用率は5.64%に達しています。

事例2:長野リネンサプライ株式会社

長野リネンサプライ株式会社では、障害者雇用の定着率向上に向け、障害のある従業員の生活面・健康面の課題に対応する体制を整えています。

家族構成の変化で一人暮らしとなった障害のある従業員については、生活支援機関や自治体、家族を交えた「ケア会議」を自宅で実施。日常生活の課題や健康管理の状況を共有し、成年後見制度やヘルパー訪問、定期的な医療受診サポートなど具体的な支援策を決定しました。

さらに同社では、障害指導課、外部支援機関、家族が連携することで、従業員の体調管理や医療受診の支援を強化。これらの取り組みにより、障害のある従業員が安心して働ける環境が整い、職場定着率の向上や精神面の安定も実現しています。

事例3:株式会社ニッセイ・ニュークリエーション

株式会社ニッセイ・ニュークリエーションでは、障害のある従業員が通院と就労を両立できる短時間勤務制度や段階的勤務延長制度を整備してきました。

加齢や精神面の変化に対応し、習熟度に応じた庶務業務への職務変更やチェック表による支援で自信と達成感を持って働ける環境を構築。さらに、上司・同僚・産業医・主治医・外部支援機関が連携し、日常的なフォローと精神面のサポートを行っています。

これらの取り組みにより、障害のある従業員は安心して勤務でき、生活面・体調面の安定と意欲の維持が可能となっています。

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まとめ

本記事では、障害者雇用における定着率の改善に有効な施策例について解説しました。

障害者雇用の定着率向上には、採用段階での適切なマッチング、働きやすい職場環境の整備、障害理解の促進、コミュニケーション活性化、メンタルヘルスサポート、柔軟な働き方やキャリア支援が有効です。企業事例からもわかるように、社内外の支援者との連携や個別対応を体系化することで、従業員の安心感と意欲が高まり、定着率向上や組織の持続的成長につながります。

障害者雇用における定着率に課題があった方も、本記事を役立てて持続的な組織成長を実現しましょう。

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この記事を書いた人

AME&Company編集部

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編集部

AME&Company編集部では、人事労務やマネジメントに関するお役立ち情報を発信しています。

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