2025/07/03
人材育成帰属意識がない人の5つの特徴|理由や会社が高めるための取り組みも解説

現代の企業経営において、社員の帰属意識は組織の安定と成長に欠かせない要素です。しかし、帰属意識が希薄な社員が増えると、離職率の上昇や組織の活力低下といった課題も生まれます。
本記事では、帰属意識がない人に共通する5つの特徴をまとめました。帰属意識がない人に多い理由や高めるための具体的な取り組み例、高めるメリットも解説しています。
企業が社員と強い絆を築くためのヒントとして、ぜひご活用ください。
帰属意識とは?
帰属意識とは、個人が自分自身を特定の集団や会社の一員であると感じ、その関係性に価値を見出している状態を指します。職場においては、「この会社の一員であることに誇りを持っている」「チームの成果に貢献したい」といった思いが帰属意識の表れです。
帰属意識が高い社員は組織の目標達成に積極的に関与し、長期的なキャリア形成を企業とともに考える傾向があります。一方で帰属意識が低いと、職場に対する愛着や責任感が希薄になり、離職リスクの上昇やチームワークの低下につながることもあります。
企業が安定的に成長し続けるには、社員の帰属意識を育てる環境づくりが欠かせません。
帰属意識がない人に共通する5つの特徴
帰属意識は定量的に数値化して測れるものではないため、誰が高い・低いのかを客観的に判断することは困難です。特に帰属意識がない人によくある特徴を5つご紹介しますので、参考にしてください。
- 業務に対して主体性がなく受け身
- 同僚とのコミュニケーションが希薄
- 会社の方針や価値観に共感していない
- 成果よりも条件面にのみ関心がある
- 仕事に対して「自分ごと感」がない
1.業務に対して主体性がなく受け身
帰属意識がない人に多く見られるのが、仕事に対する姿勢が受け身であるという点です。
指示がなければ動かず、自ら課題を見つけたり改善提案をしたりすることがほとんどありません。このような人は自発的に課題解決に取り組まず、与えられた作業だけをこなす傾向があります。
結果として、組織とのつながりや責任感が育ちにくくなり、会社への帰属意識も高まりません。主体的に業務へ関わる姿勢が薄いと、周囲からの信頼も得にくくなり、孤立感を深める原因にもなります。
2.同僚とのコミュニケーションが希薄
帰属意識が低い人は、職場での人間関係にあまり関心を持たず、同僚との会話や協働の場を避ける傾向があります。
雑談や相談を通じて信頼関係を築くことを重要と感じておらず、必要最低限のやり取りしか行わないことが多いです。このようなコミュニケーションの欠如は、チームワークの低下を招くだけでなく、本人にとっても孤立感や疎外感を強める要因になります。
人とのつながりが実感できない職場では、組織の一員としての意識を持ちにくく、ますます帰属意識が希薄になってしまうでしょう。
3.会社の方針や価値観に共感していない
帰属意識を持つためには、自分が働く会社の理念やビジョンに納得し、共感できることが重要です。
しかし、帰属意識がない人は、会社の方針や価値観に対して無関心だったり、反発を感じていたりするケースが多く見られます。その結果、会社が目指す方向性と自身の価値観が乖離し、組織との一体感が得られなくなります。
価値観の不一致が積み重なることで、仕事への意欲やモチベーションも低下し、離職のリスクが高まる可能性があるため要注意です。
4.成果よりも条件面にのみ関心がある
給与や福利厚生といった条件面にしか関心がない人は、仕事の達成感や成長といった内面的な満足を得にくく、会社への帰属意識も低くなりがちです。
もちろん待遇面は重要な要素ですが、それだけが働く動機となっている場合、企業との関係は表面的なものにとどまりやすくなります。やりがいやチームの成功を自分の喜びとして感じられないため、組織への愛着も育ちにくいのです。
条件に満足できなくなったとたん、離職を選ぶ傾向も強くなります。
5.仕事に対して「自分ごと感」がない
帰属意識がない人は、自分の仕事やチームの成果を「自分ごと」として捉える感覚に乏しい傾向があります。
業務で何か問題が起きても、「自分には関係ない」「上司や他部署の問題」と捉え、当事者意識を持ちにくいのが特徴です。このような態度では、自然と責任感や協調性も欠け、チームの一員としての役割を果たしづらくなります。
結果的に、周囲からの信頼も得られず、さらに組織とのつながりが希薄になる悪循環に陥ってしまいます。
気持ち悪い?嫌い?帰属意識がない人に多い理由
帰属意識がない人には、いくつかの共通する背景や心理的要因があります。「会社に馴染めない」「チームの一体感に違和感を覚える」といった感覚の裏には、価値観のズレや過去の経験が影響していることも少なくありません。
帰属意識が持てない人に多い理由について、代表的なものをご紹介します。
- 個人主義や自立志向が強い
- 給与や雇用契約に不満がある
- 価値観のミスマッチ
- 人事評価に納得していない
個人主義や自立志向が強い
現代では、個人の価値観や生き方を重視する傾向が強まっており、特に若い世代を中心に「自分らしさ」や「自由」を重視する人が増えています。このような個人主義的な価値観を持つ人は、組織に強く関わることに抵抗を感じやすく、チームや会社の一員として一体感を持つことを窮屈と捉えることがあります。
あくまで「雇用契約上の関係」として割り切っており、必要以上に会社に感情的なつながりを求めない傾向が見られます。
給与や雇用契約に不満がある
自身の働きに対して給与が見合っていないと感じると、会社への不信感や不満が募り、自然と帰属意識も低下していきます。特に、業界水準と比べての低待遇が明確な場合、「ここで働き続ける意味がない」と感じることもあります。
また、契約社員や派遣社員といった非正規雇用の立場にある人は、制度上の制約から企業との心理的距離が生じやすく、帰属意識を持ちにくい環境に置かれがちです。
価値観のミスマッチ
会社の理念や働き方が自分の価値観と大きくずれていると、自然と組織への帰属意識は薄れていきます。
たとえば、成果主義の強い環境で「協調性や過程を重視したい」と感じている場合や、保守的な社風の中で「挑戦や変化を重視したい」と思っている場合など、価値観が合わなければ心から組織の一員として行動することは難しくなるでしょう。
企業と従業員間における価値観のミスマッチは、早期離職やモチベーション低下の原因にもなります。
人事評価に納得していない
自分の頑張りや成果が正当に評価されていないと感じると、社員は組織に対する信頼を失い、モチベーションが下がります。
「誰が評価しているのか」「基準が不透明」といった疑問が積み重なることで、公平性への不信が強まり、会社への愛着や貢献意欲も薄れていきます。納得感のない人事評価は、結果として社員を疎外し、会社とのつながりを断ち切る要因となります。
透明性と納得感のある評価制度が、帰属意識を育むうえで重要です。
帰属意識を高めることで得られるメリット
帰属意識がない人が会社や組織に多いと、ネガティブな影響が生まれてしまうものです。しかし、適切な対策を講じて帰属意識を高めることができれば、以下のようなメリットを得ることができるでしょう。
- チームの一体感が生まれ、生産性が向上する
- 社員の定着率が向上し、離職を防げる
- 主体的な行動や提案が増え、組織に活気が出る
チームの一体感が生まれ、生産性が向上する
帰属意識が高まることで、社員同士が「自分たちは一つのチームである」という意識を持ちやすくなります。この一体感は、情報共有や協力体制を強化し、業務の効率化や問題解決のスピードアップにつながります。
また、互いに支え合う文化が根付くことで、社員のストレス軽減やモチベーション向上も期待できます。結果として、チーム全体の生産性が向上し、質の高い成果を安定的に生み出すことが可能になります。
強い帰属意識は、組織の持続的な成長を支える重要な基盤です。
社員の定着率が向上し、離職を防げる
帰属意識が強い社員は、会社に対する愛着や責任感が強くなり、離職のリスクが低くなる傾向があります。
仕事への満足感や職場での居心地の良さを感じるため、長期間にわたり安定して働き続ける意欲が高まります。これにより、採用や教育にかかるコスト削減や、ノウハウの蓄積による組織力の強化が可能になるでしょう。
逆に帰属意識が低いと、離職率が高まり人材不足に陥るため、企業経営にとって大きな課題となるため要注意です。
主体的な行動や提案が増え、組織に活気が出る
帰属意識がある社員は、「自分ごと」として仕事や組織の課題に向き合い、主体的に行動しやすくなります。結果として、新しいアイデアや改善提案が増え、組織全体のイノベーション力が高まります。
また、自発的なチャレンジ精神が活発になることで、職場に活気やポジティブな雰囲気が生まれ、他の社員にも良い影響を与えるものです。こうした環境は、優秀な人材の獲得や社内の成長文化の醸成にもつながります。
帰属意識を高めるための取り組み例
帰属意識がない人が多い職場環境を改善するには、全社的な対策が求められます。どのような取り組みが帰属意識の向上に効果的なのか、具体的な取り組み例を見ていきましょう。
- 会社の理念やビジョンを明確に発信する
- 信頼関係を築くコミュニケーションの強化
- 公平で納得感のある人事評価制度を整備
- チームでの成功体験を共有する
- キャリア支援や成長の機会を提供
会社の理念やビジョンを明確に発信する
帰属意識を高めるためには、社員が会社の目指す方向や存在意義に共感できることが重要です。理念やビジョンが不明確だったり、浸透していなかったりすると、社員は自分の仕事が何に貢献しているのかを実感できず、組織への一体感も生まれにくくなります。
経営層だけでなく、現場レベルでも理念を共有し、日常の業務と結びつける工夫が求められます。
信頼関係を築くコミュニケーションの強化
上司と部下、同僚同士の信頼関係が築かれていない職場では、社員は孤立感を抱きやすく、組織とのつながりも希薄になります。帰属意識を高めるためには、日常的な声かけやフィードバック、雑談を含めたオープンなコミュニケーションが不可欠です。
心理的安全性のある職場づくりが、自然と一体感を生み出します。
公平で納得感のある人事評価制度を整備
帰属意識は、「自分が組織から正当に評価されている」という実感があってこそ育まれます。不透明な評価制度や上司の主観が強すぎる判断は、不信感の原因となります。
基準の明確化やフィードバックの質向上を通じて、公平性と納得感のある仕組みを整えることが、社員の意欲や組織への信頼につながります。
チームでの成功体験を共有する
個人の努力がチームの成果につながっていると実感できたとき、人は組織の一員であることに誇りややりがいを感じやすくなります。小さな成功でもチームで喜びを分かち合い、称賛し合う文化をつくることで、ポジティブな一体感が育まれるでしょう。
キャリア支援や成長の機会を提供
社員が「この会社で成長できる」「将来に希望が持てる」と感じられる環境は、強い帰属意識を育てます。画一的なキャリアパスではなく、多様な働き方や挑戦の機会を用意することで、自分らしい成長を応援してくれる企業という印象が強まり、離職防止にもつながります。
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まとめ
本記事では、帰属意識がない人に共通する5つの特徴、理由や高めるための具体的な取り組み例、高めるメリットも解説しました。
帰属意識は、社員が組織の一員であるという自覚と愛着から生まれ、企業の成長や安定に直結する重要な要素です。帰属意識がない人には共通の特徴や背景があり、これを理解することで適切な対策が可能になります。
会社の理念浸透や信頼関係の構築、公平な評価制度の整備など、帰属意識を高めるための具体的な取り組みは多岐にわたります。これらを実践し、社員一人ひとりが「自分ごと」として働ける環境を整えることが、離職防止や組織の活性化につながるでしょう。
帰属意識の向上は、企業の未来を支える大切な鍵となります。