2024/05/03
離職対策【項目例付】退職者アンケートの実施方法は?エグジットサーベイで本音を調査
職場環境の改善には、在職者だけでなく退職者の声も活用することが求められます。しかし、いざ退職者の声を集めようと思っても、なかなか本音を聞き出せなくてお困りの方も多いでしょう。
本記事では、退職者アンケートの実施方法についてご紹介します。本音を引き出すための質問項目例や、退職者アンケートを実施する際の注意点もまとめていますので、ぜひお役立てください。
退職者アンケートを有効に活用して、組織課題の改善のヒントを獲得しましょう。
退職者アンケート(エグジットサーベイ)とは?
退職者アンケートとは、職場環境の改善を目的とした退職者へのアンケート調査のことです。海外では『エグジットサーベイ(Excit Survey)』とも呼ばれます。
退職者アンケートの回答結果は組織への正直なフィードバックであり、職場環境や人事評価などを改善するヒントとなります。回答結果を分析し、適切な施策を講じることで離職防止や採用のミスマッチ防止に繋げることができます。
退職者アンケートには選択回答形式を用いられることが多く、回答をデータ化して離職要因や職場環境への満足度を分析するのに最適です。
退職者アンケートのメリット・デメリット
退職者アンケートを実施する前に、メリットとデメリットをしっかり把握しておくことが大切です。どのようなメリット・デメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
退職者アンケート3つのメリット
代表的な退職者アンケートのメリットには、以下の3つがあります。
1.気軽に実施できる
2.退職者の本音を引き出しやすい
3.退職者の傾向を分析できる
1.気軽に実施できる
退職者アンケートの大きなメリットとして、低コストで気軽に導入できるという点が挙げられます。アンケート用紙やフォームを作成して、退職者に送付するだけで調査することが可能です。
退職面談のように退職者と従業員のスケジュールを調整する必要がなく、面談に時間を取られることもないため通常業務に時間を割くことができます。
2.退職者の本音を引き出しやすい
退職者アンケートは非対面で実施するため、退職者の本音を引き出しやすい傾向にあります。対面形式の面談では、円満退職を目指している退職者が本音を言いづらく、建前の回答をしてしまう傾向があるためです。
特に回答結果の共有範囲をあらかじめ退職者とすり合わせておくことで、より本音を引き出しやすくなります。「人事部のみ閲覧」「同じ部署の上司は閲覧不可」など、退職者が安心して回答できる範囲を設定しましょう。
3.退職者の傾向を分析できる
退職者アンケートでは本年の退職理由だけでなく、退職者の傾向も分析することができます。年代や性別、部署などのセグメント別で分析でき、適性検査と組み合わせることで退職者に多い性格パターンも調査できるでしょう。
設定するアンケート項目によって、組織課題の改善に加えて採用のミスマッチ防止も目指せるのは大きなメリットですね。
退職者アンケート3つのデメリット
メリットに対して、退職者アンケートには3つのデメリットも存在します。
1.一人ひとりに合わせた質問ができない
2.アンケートの作成に手間がかかる
3.本音を引き出せない場合もある
1.一人ひとりに合わせた質問ができない
退職者アンケートでは質問項目がテンプレート化されているため、一人ひとりに合わせた質問ができません。本来なら役職や勤続年数に合わせた質問をしたくても、全ての退職者に同一の質問をすることとなります。
また、回答内容を深堀りしたくてもできないため、記述式のアンケートだと薄い内容の回答しか得られない場合もあります。
2.アンケートの作成に手間がかかる
退職者アンケートを実施するには、まずアンケートを作成する手間がかかります。効果的な調査にするためには、アンケート項目も充分に精査・検討する必要があるでしょう。
また、従業員数が少ない場合はアンケート用紙を作成するだけで問題ありませんが、多い場合はシステムを導入する必要があるため、その分コストがかかります。
3.回答してもらえない可能性もある
退職者アンケートは気軽に実施できる反面、退職者がアンケートに回答してくれない可能性もあります。アンケート自体に回答してくれない場合があれば、真面目に回答してくれない可能性も考えられるでしょう。
退職者は何かしら会社へ不満を抱えていることが多いため、できる限り負担の少ないアンケートにする必要があります。
退職者アンケートの項目例
退職者アンケートを実施する際は、予めどのような質問をするのかアンケート項目を精査することが大切です。以下はアンケート項目の例となりますので、組織の体制や分析したい内容に合わせて、カスタマイズしてください。
1.回答者について
まずは退職者アンケートの回答者の基本情報に関する項目です。名前や年齢など個人を特定できる項目は設定せず、可能な限り匿名性を持たせることで、本音を引き出しやすくなります。
回答者の基本情報
- 性別(男/女)
- 職種(営業/経理/企画/事務/販売)
- 勤務地(東京/大阪/福岡)
- 勤続年数(1〜5年/5〜10年/10〜15年/20年以上)
2.退職理由について
退職理由は、退職者アンケートで必ず抑えておきたい項目です。退職理由が複数要因の場合も考えられますが、複数回答を許可すると致命的な退職理由が見えづらくなってしまうため、回答は択一式を採用することをおすすめします。
退職の理由として、最も当てはまるものを1つ選択してください。
- 職場の人間関係に悩んでいた
- 社風に馴染めなかった
- 業務量に負担を感じていた
- 業務内容に不満があった
- 人事評価に不満があった
- キャリア形成が不安だった
- 給与に不満を感じていた
- ワークライフバランスが整わなかった
- 条件の良い転職先が見つかった
- 家庭の事情
- その他()
3.職場の改善点について
職場の改善すべき点を項目に加えることで、組織課題を探るためのヒントが見つかりやすくなります。また、退職理由に関する本音を引き出すためのフォローアップにもなるため、改善点の項目は必ず設定しするようにしましょう。
次のうち、改善されたら退職を思いとどまった可能性があるものを選択してください。(複数選択可)
- 人間関係
- 人事制度
- 給与、待遇
- キャリア形成
- 業務フロー、業務内容
- 労働環境
4.次の職場で求めることについて
円満退職を目指している退職者の場合、退職理由や改善点に関する項目で建前の回答をしてしまう可能性があります。退職理由とは別の角度から組織課題を探る内容を設けることで、本音の退職理由と他社と比較した時の弱みを調査することができます。
あなたが次の職場で求めることについて、近しいものを選択してください。(複数選択可)
- 給与、待遇
- 勤務地
- 業務内容
- 人事評価制度
- ワークライフバランス
- 職場環境の快適性
- 福利厚生
- 企業の安定性
5.退職を申し出た時の上司の対応について
上司へ退職の意思を伝えた時の対応に関する項目は、職場内での人間関係や上司のマネジメント能力などを調査する際に役立ちます。
退職を申し出た時の上司の対応について教えてください。
- 慰留:(された/されなかった)
- 対応:(誠実だった/不誠実だった)
6.職場環境の満足度について
退職者が職場に対して、どの程度満足していたかを項目別で設定します。項目の評価には段階を設けることで、アンケート結果をデータ化しやすくなります。
以下の各項目に対する満足度を選択してください。
- 待遇:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- 人事評価:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- 業務内容:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- 労働時間:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- 労働環境、設備:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- 勤務地:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
- キャリア支援:(非常に満足/満足/普通/不満/非常に不満)
7.再雇用の可能性について
再雇用の可能性に関する項目は組織への満足度調査に加えて、優秀な人材の再雇用の可能性を探る目的もあります。もし流出が惜しい人材の場合、組織課題が改善されてからアプローチすることで、再雇用を望めるかもしれません。
弊社では再雇用制度を導入しております。再雇用制度を活用する可能性について選択してください。
- 再雇用を希望する
- まだわからない
- 再雇用を希望しない
離職率計算エクセルテンプレート
従業員人数、離職者数などを入力することで年間の離職率を簡易に計算することができます。
無料ダウンロード退職者アンケートの実施方法
いざ退職者アンケートを実施しようと思っても、どのような手順で進めるのか、どうやって実施するのかわからない方もいらっしゃると思います。
一般的な退職者アンケート実施の流れは以下の通りですので、参考にしてみてください。
1.アンケートのルールを決める
2.質問項目を選定する
3.アンケート用紙作成orシステム導入
4.アンケートの配布
5.回答結果の集計、分析
1.アンケートのルールを決める
事前にアンケートのルールを設けておくことで、回答率の向上を図れます。回答内容の共有範囲や匿名性に関するルール、アンケートの目的を必ず説明するようにするルールを設けておくなど、退職者が安心して回答できる取り決めを設けておきましょう。
2.質問項目を選定する
退職理由や会社の不満点、改善点など、退職者に聞きたい質問項目を選定しましょう。
注意点として、質問項目が多くなりすぎると回答者の負担となってしまい、正確な回答が望めない可能性があります。5〜10分程度で回答できるように、質問項目を絞り込むことが大切です。
3.アンケートフォーム作成orシステム導入
質問項目が定まったら、アンケートのプラットフォームを用意します。従業員数や組織の規模に合わせて、社内でアンケートフォームを作成するのか専用のシステムを導入するのか検討するのが良いでしょう。
4.アンケートの配布
退職者にアンケートを送付します。回答期限を忘れずに設けて、期限が近づいたらリマインドの連絡をするようにしましょう。
5.回答結果の集計、分析
退職アンケートの回答結果を集計して分析します。複数名分の回答結果を分析することで、職場環境や業務内容、待遇などどこに組織課題が潜んでいるのか調査することができます。
退職者アンケートでよくある課題
実際に退職者アンケートを実施してみると、様々な課題に衝突することがあります。その中でも特に多いものは、以下の通りです。
- 知りたい情報が不足している
- 回答内容の分析方法がわからない
- 分析後、改善に向けた施策に繋げられない
退職者アンケートは気軽に実施できる反面、定性データの取得が難しくなるほか、非対面であるため取得できる情報が薄くなる可能性もあります。さらに、匿名性の高いアンケートでは、信憑性のあるデータが集まらない可能性もあるでしょう。
また、回答結果の分析には専門的な知識や多くの時間が必要になるものです。担当者へ負担がかかってしまい、いち早く組織課題の改善に向けた施策に繋げたくても、なかなかアクションを起こせないことも珍しくありません。
組織課題の改善にはツールの導入も一手
退職者アンケートが上手くいかない、分析や施策に繋げられるか不安な場合は、離職防止ツールを活用するのも一手です。
HR pentestは、退職者の本音から「現場で実際に何が起きているか」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決に有効な施策を導き出す離職防止ツールです。自然言語解析AIによる分析レポートや退職者帳票に加え、在職者向けアンケート、退職時面談(イグジットインタビュー)のサポートもパッケージされています。
本音を引き出せる | ・イグジットインタビュー研修でスキルUP ・実務を通したトレーニング&フィードバック |
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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。
退職者アンケートの実施方法まとめ
本記事では、退職者アンケートの実施方法についてご紹介しました。
退職者アンケートは、職場環境の改善を目的とした退職者へのアンケート調査です。質問項目をカスタマイズするだけで気軽に実施でき、非対面のため退職者の本音を引き出しやすい点が大きなメリットでしょう。
アンケートを実施して満足するのではなく、回答結果をしっかり分析して、組織課題の改善に向けた施策に繋げることが大切です。組織課題を一つひとつ改善すれば、従業員の定着率向上や組織の成長も見込めます。
もし退職者アンケートの実施や分析に不安がある場合は、外部のツールを導入してみるのもおすすめです。適切な施策を講じて、離職率の改善を目指しましょう。