2025/10/01
人材育成【サンプル付】コンピテンシー評価導入指南!項目例や基準、書き方も解説

近年、公平で納得感のある人事評価に課題を持つ企業は少なくありません。そこで注目を集めているのが、社員がどのような行動を通じて成果を出しているかを可視化する、コンピテンシー評価です。
本記事では、コンピテンシー評価の意味や基本的な概念から、項目例や基準、メリット、導入手順についても解説しています。コンピテンシー評価シートのサンプルも掲載していますので、導入を検討されていた方はぜひお役立てください。
コンピテンシー評価を上手に取り入れて、組織の成長と社員の能力開発を同時に進めましょう。
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コンピテンシー評価とは?
まずは、コンピテンシー評価の意味や概要について、以下の3項目から掘り下げていきましょう。
- コンピテンシー評価の概要
- コンピテンシーの意味
- コンピテンシー評価シートについて
コンピテンシー評価の概要
コンピテンシー評価とは、社員が成果を上げるために発揮する行動特性やスキルを基準に、人事評価を行う仕組みです。成果や年齢に依存せず、行動プロセスに焦点を当てるため、より公平で再現性の高い評価が可能となります。
近年は成果主義だけでは見えにくい「行動の質」を可視化できる点から、多くの企業でコンピテンシー評価の導入が進んでいます。
コンピテンシーの意味
コンピテンシー(Competency)とは、業務で高い成果を発揮する人材に共通する行動特性や思考様式を指します。単なるスキルや知識だけではなく、問題解決力や主体性など、実際の行動として現れる資質を重視する概念です。
職種や役割ごとに求められるコンピテンシーを定義することで、評価基準の透明性が高まり、人材配置や教育方針の根拠にもなります。
コンピテンシー評価シートについて
コンピテンシー評価シートとは、定義されたコンピテンシー項目を基に、社員の行動や能力を具体的に評価するためのツールです。評価者が一貫した基準で判断できるよう、項目ごとに行動例やレベル基準を設定するのが一般的です。
シートを活用することで、評価の属人性を減らし、社員にとっても「どの行動が求められているか」が明確になります。
コンピテンシー評価を導入する3つのメリット
コンピテンシー評価を導入することは、企業だけでなく従業員にも様々なメリットをもたらします。メリットを押さえることで、導入の意義が具体的に理解できますので、詳しく見ていきましょう。
- 評価の公平性が高まり納得感を得やすい
- 人材育成に直結する仕組みを作れる
- 組織全体のエンゲージメント強化につながる
1.評価の公平性が高まり納得感を得やすい
コンピテンシー評価を導入することで、成果だけではなく「どのような行動を通じて成果を出したのか」というプロセスを明確に評価できます。評価基準が具体的な行動特性として示されるため、従来の属人的な判断を排除し、公平性や透明性が高まるでしょう。
社員にとっても評価の根拠が理解しやすく、納得感を持って受け止めやすいため、評価に対する不満の軽減やモチベーション維持にもつながります。
2.人材育成に直結する仕組みを作れる
コンピテンシー評価は、単なる人事評価のツールにとどまらず、人材育成の指針として活用できる点が大きなメリットです。
コンピテンシー評価シートに設定された行動基準は、社員に「何を伸ばせば良いのか」を明確に示します。そのため、上司とのフィードバック面談や研修設計にも活かしやすく、個々のキャリア形成を後押しできます。
3.組織全体のエンゲージメント強化につながる
行動基準が明確に定義されるコンピテンシー評価は、社員にとって「組織が何を重視しているか」を理解するきっかけとなります。コンピテンシー評価の仕組みを通じて、組織の価値観や期待する行動が共有されることで、社員の方向性が揃いやすくなるのです。
さらに、公平で透明性の高い評価は信頼関係の醸成にもつながり、エンゲージメントの向上を促進します。
コンピテンシー評価の項目例
コンピテンシー評価では、業務遂行力や対人スキル、自己成長など、さまざまな項目が設定可能です。実際の項目例を見ることで、自社に合った評価項目をイメージしやすくなります。
- 業務遂行力に関する項目例
- 対人スキルに関する項目例
- 自己成長に関する項目例
- マネジメント層に求められる項目例
業務遂行力に関する項目例
業務遂行力は、仕事を計画して実行し、成果に結びつける力を指します。具体的な行動基準を設けることで、社員の能力を客観的に評価できます。
特にプロジェクト進行や日常業務の効率化に直結するため、ほぼすべての職種で重要視される項目です。
対人スキルに関する項目例
対人スキルは、チームや顧客との円滑な関係構築に欠かせないコンピテンシーです。組織の成果は個人だけでなく協働によってもたらされるため、職位を問わず評価に取り入れると効果的でしょう。
信頼関係やチームワークを高める行動が基準になります。
自己成長に関する項目例
自己成長に関する項目は、社員が自らの能力を高め続ける姿勢を評価します。変化の激しいビジネス環境では、成長意欲や柔軟な対応力が欠かせません。
コンピテンシー評価シートに盛り込むことで、学習文化の醸成や挑戦意識の強化にもつながります。
マネジメント層に求められる項目例
管理職やリーダー層には、メンバーを導き組織目標を達成する力が求められます。意思決定や部下育成といった項目は、組織の持続的な成長を支える重要な基準です。
役職者の責任を明確化するためにも、マネジメント特有の評価項目を設定することが効果的です。
コンピテンシー評価シートのサンプル・書き方の例
コンピテンシー評価制度の理解を深めるには、具体的なシートや書き方を参考にすることが有効です。サンプルを確認することで、運用イメージが一気に明確になりますので、ぜひ参考にしてください。
基本的なコンピテンシー評価シートサンプル
以下は一般的なコンピテンシー評価シートの例です。業務遂行力や対人スキルなど、企業の求める能力に応じて項目を追加・カスタマイズできます。
評価項目 | レベル基準(例:レベル1〜5) |
---|---|
課題解決力 | レベル1:問題を把握できない レベル2:単純な問題は対応できる レベル3:指示があれば解決できる レベル4:自ら解決策を提案・実行できる レベル5:複雑な課題を組織的に解決できる |
計画性・実行力 | レベル1:期限や優先順位を守れない レベル2:単発で守れることがある レベル3:計画を立て期限内に遂行できる レベル4:複数案件を効率よく遂行できる レベル5:中長期計画を策定し実行できる |
コミュニケーション力 | レベル1:報連相ができない レベル2:基本的な伝達は行えるが齟齬がある レベル3:社内で円滑に情報共有できる レベル4:相手に合わせて説得できる レベル5:部門間や顧客と信頼構築できる |
学習意欲 | レベル1:新しい学びに消極的 レベル2:必要に応じて学ぶ レベル3:自発的に学び業務に活かす レベル4:学びを実務改善に繋げる レベル5:学びを組織に展開できる |
リーダーシップ | レベル1:責任を回避しメンバーを導けない レベル2:支援はできるが安定しない レベル3:チームをまとめ目標達成に導ける レベル4:部下を育成し成果を出す レベル5:後継者を育て組織横断で推進する |
評価項目とレベル基準の書き方例
評価項目は、社員の行動や能力が具体的に表れるものを選ぶと効果的です。例えば「課題解決力」なら「問題を把握できるか」「自ら解決策を提案できるか」といった行動レベルに分解します。
レベル基準は曖昧な表現を避け、観察可能な行動で記載することが重要です。例えば「高いコミュニケーション力」ではなく、「会議で自分の意見を明確に伝えられる」と具体化すると、評価者間の差異を防ぎ、公平で一貫した評価が可能になります。
コンピテンシー評価の導入手順
コンピテンシー評価を導入しようと思っても、何から着手すべきか迷ってしまう方も多いでしょう。基本的な導入手順と注意すべきポイントについて解説しますので、ぜひお役立てください。
- 必要なコンピテンシーを定義する
- 評価基準と評価シートを設計する
- 評価者へのトレーニングと試行導入を行う
- 本格運用と改善サイクルを定着させる
1.必要なコンピテンシーを定義する
コンピテンシー評価を導入する際の第一歩は、自社で必要とされる行動特性やスキルを明確に定義することです。
自社の経営理念や事業戦略に基づき、どのような人材像が成果を上げやすいかを整理します。例えば、営業職では「顧客志向」「交渉力」、管理職では「リーダーシップ」「意思決定力」といったように、職種や役割ごとに必要な能力を具体化することが重要です。
曖昧な定義では評価が属人的になりやすいため、行動例を伴った形で定義することがポイントとなります。
2.評価基準と評価シートを設計する
定義したコンピテンシーをもとに、実際の評価基準を策定し、評価シートに落とし込みましょう。
評価基準は「行動ができていない」「一部できている」「十分にできている」などの段階を明確化し、誰が見ても同じ解釈になるよう具体的な記述が必要です。また、シートは職種別・階層別に設計すると公平性と納得感が高まります。
さらに、評価結果を昇進・昇格や育成計画にどのように反映させるかを整理しておくことで、単なるチェックリストではなく、人材育成と組織成長に直結する評価制度として機能します。
3.評価者へのトレーニングと試行導入を行う
評価制度が整っても、評価者の理解度や運用スキルが不十分であれば、制度は形骸化してしまいます。そのため、評価者向けのトレーニングを実施し、コンピテンシーの解釈や評価基準の使い方を統一することが欠かせません。
模擬評価やロールプレイを通じて、評価者間の認識のズレを減らす工夫も有効です。加えて、全社展開の前に一部部門や職種で試行導入を行い、課題や不具合を洗い出すことで、本格運用時のトラブルを防ぐことができます。
4.本格運用と改善サイクルを定着させる
試行導入を経て制度を調整した後は、全社的に本格運用を開始します。
しかし、導入して終わりではなく、定期的に改善サイクルを回すことが制度定着の鍵となります。評価の結果を分析し、期待した人材育成につながっているかを確認し、必要に応じて基準やシートを見直しましょう。
また、評価者・被評価者双方からのフィードバックを収集し、透明性や納得感を高める工夫を継続的に行うことも重要です。制度を「評価のための仕組み」から「成長を支援する仕組み」へと進化させることが、長期的な成功につながります。
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まとめ
本記事では、コンピテンシー評価の意味や基本的な概念から、項目例や基準、メリット、導入手順についても解説しました。
コンピテンシー評価は、社員の行動や能力を可視化することで、公平性の高い評価と納得感を提供し、人材育成や組織力向上にも直結する評価手法です。導入にあたっては、評価項目の定義、レベル基準の設定、評価シートの作成、評価者トレーニング、試行導入、本格運用と改善サイクルの確立が欠かせません。
適切に設計・運用することで、評価制度は単なる形式ではなく、社員の成長を支え、組織全体の成果向上に寄与する強力なツールとなります。