2024/07/18
離職対策女性社員の離職を防止するには?離職率が上がる原因と対策、施策事例も解説
近年の労働市場では、一昔前と比べて女性の活躍が場が増えてきています。しかし、まだ女性の平均離職率は男性よりも高く、女性社員の定着化にお悩みの方も多いでしょう。
本記事では、女性社員の離職を防止するための対策について解説しています。女性社員の離職率が高い企業の特徴、離職防止に取り組む企業の事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
女性の離職率が男性よりも高い原因は?
厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、男性の離職率が13.3%だったことに対し、女性の離職率は16.9%でした。男性よりも女性の離職率が高い原因は、主に以下の3つが考えられます。
- ライフステージの変化に伴う離職が多い
- 非正規雇用労働者の割合が高い
- 日本はまだ男女間格差が大きい
ライフステージの変化に伴う離職が多い
女性の離職率が男性よりも高い大きな原因の一つとして、ライフステージの変化に伴う離職が挙げられます。結婚や出産、育児、介護といったライフイベントは女性にとってキャリアの継続を難しくする要因となることが多いです。
企業が育児休暇制度やフレックス制度を充実させたとしても、実際に利用しやすい環境が整っていなければ、女性は家庭と仕事の両立に悩み、結果的に離職を選択することがあります。そのため、女性がキャリアを中断せずにライフステージを乗り越えるためには企業文化の変革が求められるでしょう。
非正規雇用労働者の割合が高い
女性の非正規雇用労働者の割合が男性より高いことも、離職率が高い原因の一つです。
内閣府男女共同参画局が発表した「正規雇用労働者と非正規雇用労働者数の推移(男女別)」によると、2021年における女性の非正規雇用は20〜24歳で28.8%ですが、35〜39歳になると58.1%までに昇ります。対して男性の非正規雇用は20〜24歳で27.9%、35〜39歳では12.0%です。
非正規雇用労働者は一時的に人手不足を解消するために補填されることも多いため、早期離職に繋がる傾向があります。
日本はまだ男女間格差が大きい
世界的に見ると、日本はまだ男女格差が大きいことも女性の離職率が高い原因です。
世界経済フォーラムが発表した「Global Gender Gap Report 2023」において、日本は”経済参加と機会”で123位、”管理職の男女比率”で133位と男女間の格差が大きいという結果が出ています。そのため、女性社員の離職率を改善するには企業が積極的に男女平等を推進し、キャリア支援を行うことも重要です。
離職率計算エクセルテンプレート
従業員人数、離職者数などを入力することで年間の離職率を簡易に計算することができます。
無料ダウンロード女性社員の離職率が高い企業に多い4つの特徴
女性社員が長く続かない企業には、いくつかの特徴があります。中でも離職率が高くなる代表的な4つの特徴をご紹介します。
- 産前産後のサポートが整っていない
- 女性の管理職がいない/少ない
- 人事評価制度が不透明
- ハラスメントが横行している
産前産後のサポートが整っていない
女性社員が定着しない企業の特徴として、まず産前産後のサポートが整っていないことが挙げられます。体調が不安定になりやすい妊娠中はもちろん、その後の復帰や育児期間中のサポートが不十分だと女性社員が安心して働くことは困難です。
産前産後をサポートするための福利厚生を用意していても、休暇や早退を申請しづらい雰囲気があると活用できず、キャリアを諦めてしまう女性社員も珍しくありません。
女性の管理職がいない/少ない
女性の管理職がいない、または少ないことも女性社員の離職率が高い企業に多い特徴の一つです。女性社員がキャリアアップの機会を見出せない環境では、長期的なキャリア形成が困難となり離職を招いてしまいます。
女性の管理職は他の女性社員にとってのロールモデルとなり、モチベーションを高める要素となります。しかし、同性のロールモデルがいないと、将来への不安が高まってしまう恐れがあります。
人事評価制度が不透明
人事評価制度が不透明な企業も、女性社員の離職率が上がる原因として挙げられるでしょう。同期の男性社員と同等以上の成果を上げても昇進が遅い、責任のある役職に就けないといった不公平な評価は、モチベーションの低下を招きます。
人事評価制度が不透明なだけでなく、男女間で待遇の格差がある場合は優秀な女性社員が定着しないだけでなく、社員全体の信頼を損ねる恐れもあります。
ハラスメントが横行している
当然ながら、職場内でハラスメントが横行していると女性社員の離職率が上がってしまいます。セクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメントは大きなストレスとなり、離職の原因となります。
ハラスメントを受けた社員が声を上げにくい環境では問題が深刻化し、離職者は増加する一方です。ハラスメント対策を徹底し、被害者が相談しやすい体制を整えることが重要でしょう。
女性社員の離職防止に取り組む際のポイント
女性社員の離職防止に取り組む際、手探りで施策を講じても期待していた効果が得られない可能性があります。そのため、離職防止に取り組む際は従業員の本音を収集し、離職要因となる組織課題を分析することが重要です。
従業員の本音を収集する具体的な手段としては、従業員に対してアンケート調査を行うエグジットサーベイ、退職者を対象に面談するイグジットインタビューなどが考えられます。
労働環境や仕事内容、福利厚生、給与水準など、従業員や退職者が何に対して不満があって退職を検討してしまうのかが把握できれば、どのような施策が効果的なのか検討する際に役立ちます。
女性社員の離職防止に有効な対策例
女性社員の退職理由は様々であり、長期的にキャリアを形成するためには、企業側が対策を講じる必要があります。具体的な離職防止の3つの対策例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 福利厚生を充実化する
- 人事評価制度を整備する
- 柔軟な働き方を導入する
- 女性社員が相談しやすい環境を整える
福利厚生を充実化する
福利厚生を充実化し、女性社員が安心して働ける環境を整えることは離職防止に繋がります。特に出産や育児期間中のサポート、復職後のフォローに関する福利厚生を整えることが有効でしょう。
福利厚生を充実させることで、女性社員の仕事に対する満足度が向上し、離職率の低下に繋がります。企業の競争力を高めるためにも、福利厚生の充実は欠かせません。
人事評価制度を整備する
人事評価制度を整備し、一人ひとりの貢献度が正当に評価される体制を整えることも、女性社員の離職防止に有効です。社員一人ひとりが公平に評価され、昇進やキャリア成長の機会が明確になればモチベーションアップに繋がります。
評価プロセスの透明性を高めるために、第三者による評価や自己評価を導入するのも良いでしょう。定期的なフィードバックも合わせて行うことで、社員の成長を促進することも期待できます。
柔軟な働き方を導入する
柔軟な働き方の導入は、女性社員の離職防止に効果的です。家庭と仕事の両立がしやすい働き方を導入すると、育児や介護などの家庭の事情を持つ女性社員でも無理せず働きやすくなります。
上記のような働き方を常態化するのが困難な場合、妊娠中や出産後、介護期間中など一時的に導入するのも良いでしょう。柔軟な働き方の推進は社員のワークライフバランスが向上し、長期的なキャリア形成に繋がります。
女性社員が相談しやすい環境を整える
社員が何かしらの問題を抱えている際に、相談しやすい環境を整えることは離職防止に有効です。パワハラやセクハラといったハラスメントなどのほか、キャリアへの不安や家庭の問題を気軽に相談できる窓口を設けるのが良いでしょう。
女性社員でも気軽に相談でる環境を整えることで、問題の早期発展に繋がり離職防止に働きかけます。
女性社員の離職防止に取り組む企業の事例
女性社員の離職防止に取り組む企業の事例をご紹介します。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、チームワークを支援するためのグループウェアを開発・提供している企業です。2005年に離職率が過去最高の28%を記録しましたが、以下の取り組みを実施してから10年で約4%にまで改善することに成功しました。
日本電算株式会社
日本電算株式会社は、通信制御を中心としたシステム開発やアプリケーション開発を手掛ける企業です。女性の技術者が定着しづらい、採用をかけても女性の応募者が少ないという課題を抱えていたこちらの企業では、以下のような取り組みを実施しました。
参考:中小企業における女性活躍推進の取組のための好事例集および改善取組事例集
清水建設
清水建設は建設事業を柱に、不動産開発やエンジニアリング事業、LCV事業、フロンティア事業を手掛ける企業です。
多様な人財が働きやすい環境を整えるため、以下のような取り組みを続けた結果、2017年に経済産業省と東京証券取引所が共同で女性活躍推進に優れた上場企業を投資家に紹介する「なでしこ銘柄」に選定されました。
女性社員の定着率向上には離職防止ツールを活用するのも一手
HR pentestでは、退職者を中心とした従業員の本音から「現場で実際に何が起きているか?」を高い解像度で把握・分析することで、組織課題の解決や定着率向上をサポートします。以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。
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実際にHR pentestを導入した企業様の事例は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、女性社員の離職を防止するための対策について解説しました。
女性社員の離職防止は、企業の持続的な成長にとって不可欠な要素です。企業全体での取り組みを進め、女性社員が長期的に活躍できる環境を構築することが求められます。
定着しない原因は産前/産後のサポートが不十分であったり、ロールモデルとなる女性の管理職がいないなど様々であるため、離職要因となる組織課題を分析してそれぞれに適したアプローチが重要になります。
女性社員の離職率が高い企業の特徴、離職防止に取り組む企業の事例も紹介していますので、定着率でお困りの際はぜひ本記事を役立ててください。