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玉突き人事とは?具体例や選ばれやすい人の特徴、防止する対策も解説

玉突き人事とは、1人の異動や退職をきっかけに、空いたポストを埋めるための人事異動が次々と連鎖していくことです。欠員を社内の人材で素早く埋められる一方で、計画性のないまま異動が連鎖すると、業務の停滞や社員の不満を招き、離職につながるおそれもあります。

本記事では、玉突き人事の意味や具体例、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。あわせて、玉突き人事で選ばれやすい人の特徴と企業が注意すべき点、場当たり的な異動の連鎖を防ぐための対策も紹介しますので、人事異動を検討する際の参考にしてください。

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玉突き人事とは?

玉突き人事とは、ある社員の異動や退職で空いたポストを埋めるために別の社員が異動し、さらにその社員のポストを埋めるために次の異動が生じるなど、人事異動が連鎖的に起こることです。一般的に、以下のような過程で発生します。

玉突き人事が発生する過程
  1. Aさんが異動・退職し、Aさんのポストが空く
  2. 空いたポストを埋めるため、Bさんが異動する
  3. 今度はBさんのポストが空くため、Cさんが異動する
  4. 同様に、空いたポストを埋めるための異動が続いていく

玉突き人事は正式な用語ではなく通称で、本人の希望よりも欠員補充が優先される印象から、否定的な意味で使われることが多い言葉です。ただし、計画的に行われていれば必ずしも悪いものではありません。

玉突き人事の具体例・主なケース

玉突き人事は、組織内でポストに空きが生じる場面で起こります。きっかけによって、異動が連鎖する方向や範囲もそれぞれ異なります。

玉突き人事が起こる代表的なケースを、具体的な異動の流れとあわせて見ていきましょう。

  • 役職者の定年退職による昇格の連鎖
  • 新部署の立ち上げに伴う人員の引き抜き
  • 急な退職・休職による欠員補充

役職者の定年退職による昇格の連鎖

役職者が定年退職や退任で抜けると、その後任を社内から昇格させることで玉突き人事が起こります。

例えば営業部長が定年退職した場合、営業課長が部長に昇格し、空いた課長職には係長が、係長職には主任が昇格するというように、役職ポストが上から順に埋められていきます。上位の役職ほど、連鎖が下の階層まで長く続きやすいのが特徴です。

新部署の立ち上げに伴う人員の引き抜き

新規事業の開始や新部署の立ち上げでは、事業を早く軌道に乗せるため、既存部署から実績のある社員を引き抜いて配置することが珍しくありません。

例えば、営業部のトップセールスを新規事業部のリーダーに抜擢すると、営業部ではその社員が担っていた顧客や業務を引き継ぐ人材が必要です。そこで別の部署や拠点から社員を異動させ、さらにその社員が抜けた穴を埋めるための異動が生じていきます。

複数の部署から人を集める場合は、連鎖が同時に何本も発生することもあります。

急な退職・休職による欠員補充

現場の担当者が急に退職したり、病気などで長期休職したりした場合も、玉突き人事のきっかけになります。

例えば、ある支店の経理担当者が急に退職すると、業務を止めないために本社の経理部から社員を支店へ異動させ、本社では手薄になった業務を別の部署からの異動で補う、という流れが生まれます。

定年退職と違って事前の準備期間がほとんどないため、後任の適性を十分に見極められないまま、異動を急いで決めざるを得ないケースが多いのが特徴です。

玉突き人事のメリット・デメリット

玉突き人事は否定的に捉えられがちですが、企業にとってはメリットもあります。一方で、異動が連鎖するからこそ生じるデメリットも少なくありません。

玉突き人事のメリットとデメリットをそれぞれ3つずつ解説します。

玉突き人事の3つのメリット

①採用するより早く欠員を埋められる

欠員が出たときに社外から人材を採用しようとすると、求人の掲載から選考、入社までに数か月かかることも珍しくありません。採用広告費や紹介手数料などのコストも発生します。

玉突き人事であれば、社内の人材を異動させるため、比較的短期間で欠員を埋められます。異動する社員は自社の事業内容や社内ルール、人間関係をすでに理解しているため、新たに採用した人材よりも早く新しいポストで力を発揮しやすい点も利点です。

②昇進・成長の機会が生まれる

上位の役職が空かなければ、どれほど優秀な社員でも昇進の機会は巡ってきません。玉突き人事によって役職ポストが順に空くと、これまで機会のなかった社員が一段上の役割に挑戦できるようになります。

部下のマネジメントや、より大きな裁量を伴う業務を経験することで、社員の成長が促されます。また、実際に昇進の機会が生まれることで「頑張れば上を目指せる」という実感が社内に広がり、ほかの社員のモチベーション向上にもつながるでしょう。

③人材の固定化を防止できる

同じ社員が長く同じ部署にとどまっていると、業務のやり方が固定化し、改善が進みにくくなりがちです。玉突き人事で人材が入れ替わると、異動してきた社員が前の部署での経験をもとに、これまで当たり前とされてきた業務の進め方を見直すきっかけが生まれます。

また、異動した社員を通じて部署間に人のつながりができ、情報共有や連携がしやすくなる効果も期待できます。

玉突き人事の3つのデメリット

①引き継ぎが連鎖的に発生する

玉突き人事では、異動する人数の分だけ業務の引き継ぎが同時に発生します。異動した社員は新しいポストの業務を覚えながら、前のポストの後任からの問い合わせにも対応しなければなりません。

こうした状況が複数の部署で重なると、一時的に生産性が落ちたり、引き継ぎ漏れによるミスや取引先対応の遅れが起きたりしやすくなります。特に異動の時期が集中する場合や、引き継ぎ期間が短い場合ほど、業務への影響は大きくなります。

②本人の希望が後回しになり、離職を招きやすい

玉突き人事では空いたポストを早く埋めることが優先されるため、本人の希望やキャリアプランが十分に考慮されないまま異動が決まりがちです。「やりたい仕事から外された」「欠員の穴埋めに使われた」と感じた社員は、会社への不信感を抱き、仕事への意欲を失いやすくなります。

異動した社員が離職すれば、そのポストに再び欠員が生じ、新たな玉突き人事を招くという悪循環にもつながります。

③異動の影響範囲が想定以上に広がりやすい

玉突き人事は1つの異動が次の異動を呼ぶため、最終的に何人の社員がどの部署まで動くことになるのかを、最初の段階で見通すのは困難です。当初は1人の欠員補充のつもりが、検討を進めるうちに複数部署を巻き込む大規模な異動に発展することもあります。

人事部門は、各部署の人員バランスや業務への影響を確認しながら調整を重ねる必要があり、関係部署との調整や対象者への説明などの負担も大きくなります。

玉突き人事で選ばれやすい人の特徴と注意点

玉突き人事では、空いたポストに対応しやすい特定のタイプの社員が、異動の候補に挙がりやすくなります。しかし、同じ社員に異動が集中すると、本人にも組織にも弊害が生じかねません。

玉突き人事で選ばれやすい人の特徴と、企業として注意すべき点を押さえておきましょう。

  • 複数の部署や業務を経験している
  • 仕事ぶりが安定していて、周囲からの信頼が厚い
  • 勤務地や職種の制約が少ない

複数の部署や業務を経験している

複数の部署や業務を経験している社員は、新しい環境や業務にも比較的早く適応できるため、欠員が出たときの異動候補に挙がりやすくなります。

しかし、その対応力の高さゆえに欠員が出るたびに異動を繰り返していると、一つの分野で経験を積み重ねられず、専門性が育ちません。本人にとっても、自分のキャリアの軸が見えにくくなってしまいます。

企業は、社員ごとの異動回数や各部署での在籍期間を把握し、一つの分野で経験を深められる期間を確保するよう配慮しましょう。

仕事ぶりが安定していて、周囲からの信頼が厚い

仕事ぶりが安定していて周囲からの信頼が厚い社員は、「この人なら異動先でも成果を出せる」「安心して任せられる」と判断されやすく、玉突き人事の対象になりがちです。その結果、業務の引き継ぎや新部署の立ち上げなど、負担の大きい役割ばかりを任されることも少なくありません。

企業は、異動後の業務量を定期的に確認し、過度な負担がかかっていないかを把握しましょう。あわせて、難しい役割を引き受けたことを人事評価や処遇に適切に反映することも大切です。

勤務地や職種の制約が少ない

転勤や職種変更に応じられるなど、勤務地や職種の制約が少ない社員は、異動先の選択肢が広く調整しやすいため、玉突き人事の対象になりやすい傾向があります。しかし、異動に応じられる人ばかりが繰り返し動くと、「応じられる人だけが負担を背負っている」という不公平感が社内に生まれかねません。

企業は、異動の対象者を選ぶ基準を明確にし、社員に説明できる状態にしておきましょう。そのうえで、特定の社員に異動が偏っていないかを定期的に確認することが重要です。

玉突き人事を防止する対策

玉突き人事を完全になくすことは難しいものの、日頃から備えておくことで、場当たり的な異動の連鎖は防げます。欠員が出たときに慌てて異動を重ねずに済むよう、企業が取り組んでおきたい対策を押さえておきましょう。

  • 後継者を計画的に育成する
  • 業務の属人化を解消する
  • 社外の人材も含めて欠員補充の手段を広げる
  • 社員のキャリアプランを把握しておく

後継者を計画的に育成する

役職者が抜けたときに、その下の社員を順に昇格させる玉突き人事が起こるのは、後任をあらかじめ決めていないことが一因です。重要なポストについては、後継候補となる社員を早い段階で選び、計画的に育成しておきましょう。

必要な経験を積ませるための配置や、マネジメント研修の受講などを通じて準備を進めておけば、ポストが空いた際にもスムーズに後任を据えられます。後継候補を複数名用意しておくと、候補者自身の急な退職にも対応しやすくなります。

業務の属人化を解消する

特定の社員しか業務の内容や進め方を把握していない状態だと、その社員が抜けた途端に業務が回らなくなり、すぐに別の社員を異動させざるを得なくなります。日頃から業務手順をマニュアルにまとめたり、一つの業務を複数の社員で担当する体制を整えたりして、属人化を解消しておきましょう。

業務内容が可視化され、ほかの社員でも対応できる状態になっていれば、欠員が出ても部署内で一時的に業務を分担でき、急いで異動を決める必要がなくなります。

社外の人材も含めて欠員補充の手段を広げる

欠員を社内の異動だけで埋めようとすると、異動した社員のポストが空き、さらに次の異動が必要になるという連鎖が起こります。欠員が出た際は、社外の人材を活用する選択肢も検討しましょう。

採用までのつなぎとして派遣社員を受け入れたり、一部の業務を外部に委託したりする方法もあります。

社員のキャリアプランを把握しておく

社員一人ひとりが将来どのような仕事に就きたいのか、どのような経験を積みたいのかを日頃から把握しておくことも有効です。定期的な面談や自己申告制度などを通じて、社員のキャリアプランや異動の希望を確認しておきましょう。

欠員が出たときに、そのポストへの異動を望んでいる社員がわかっていれば、本人の意向に沿った人選ができます。希望する社員を配置できれば、押し出されるような異動の連鎖を避けやすく、異動した社員も前向きに新しい業務に取り組めます。

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まとめ

本記事では、玉突き人事の意味や具体例、メリット・デメリット、選ばれやすい人の特徴と企業が注意すべき点、場当たり的な異動の連鎖を防ぐための対策について解説しました。

玉突き人事は社内の人材で素早く欠員を埋められる一方、業務の停滞や社員の離職、特定の社員への負担の集中といった問題を招くおそれもあります。場当たり的な異動の連鎖を防ぐには、後継者の育成や業務の属人化の解消など、欠員が出る前からの備えが欠かせません。

自社の人員体制を見直し、計画的な人事異動を実現しましょう。

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