2025/11/04
人材育成360度評価のフィードバック例文集|コメントの書き方を役職や職種別で解説
360度評価を導入しているものの、フィードバックの仕方やコメントの書き方に悩む方は少なくありません。適切なフィードバックができないと、組織や個人の成長にはつながらないだけでなく、人間関係に亀裂が生まれる恐れもあります。
本記事では、360度評価のフィードバックで使える例文をまとめました。役職や職種、評価項目に分けてポジティブ・改善点それぞれのコメント例を紹介しています。
360度評価におけるフィードバックの重要性や書き方のコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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360度評価でフィードバックを行う目的
360度評価は単なる成績や評価点の確認ではなく、社員一人ひとりの成長や組織力向上につながる重要な手段です。なぜフィードバックが欠かせないのか、その意義と狙いを知ることで、評価をより有効に活用できます。
- 成長の方向性の明確化
- 信頼関係の強化
- 組織全体のパフォーマンス向上
成長の方向性の明確化
360度評価のフィードバックを通じて、社員は自分自身の強みや課題を客観的に把握でき、成長の方向性を明確にすることができます。上司や同僚、部下など複数の視点から意見を受け取ることで、自己認識とのギャップに気づき、改善すべき行動やスキルの優先順位を整理できます。
さらに、具体的な改善策や期待される成果を示すことで、社員は次の行動に落とし込みやすくなり、自己成長のスピードや質を向上させることが可能になるでしょう。
信頼関係の強化
360度評価で適切なフィードバックを行うことは、組織内の信頼関係強化にも寄与するのです。上司・同僚・部下間で互いの強みや課題を正しく理解し合うことで、誤解や偏見を減らし、協力しやすい環境を作れます。
また、建設的で配慮あるコメントを行うことで、評価に対する納得感と心理的安全性が高まり、円滑なコミュニケーションが促進されます。
組織全体のパフォーマンス向上
360度評価のフィードバックは、個人の成長を通じて組織全体のパフォーマンス向上にも直結します。各社員の強みや改善点を明確化し、チーム内で適切に役割分担やサポート体制を構築可能です。
また、改善策が個々の業務プロセスやチーム活動に反映されることで、業務効率や成果の質が向上します。
【役職別】360度評価のフィードバック例文
上司・部下・同僚それぞれに応じたフィードバックの仕方は異なるものです。立場による視点の違いや伝え方のコツを知ることで、評価がスムーズに受け入れられ、組織内コミュニケーションも円滑になります。
どのようなフィードバックの仕方が適切なのか、ポジティブ・改善点それぞれのコメント例を見ていきましょう。
- 上司から部下へのフィードバック例文
- 部下から上司へのフィードバック例文
- 同僚へのフィードバック例文
上司から部下へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 期限を厳守し、高い再現性で成果を出している | 進捗共有が遅れがちなため、早期の情報共有を期待したい |
| チームメンバーのフォローに積極的で信頼が厚い | 自身で抱え込む傾向があるため、タスクの委譲を意識したい |
| 顧客の信頼を獲得するコミュニケーション能力が高い | 会議で意見を発信する機会を増やし、影響力を広げたい |
フィードバック・コメントのポイント
上司から部下へのフィードバックでは、成果・行動・成長期待の3点を明確に伝えることが重要です。強みは客観的に承認し、改善点は「望ましい行動」をセットで示すことで受け取りやすくなります。
当然ですが、人格否定につながる表現は厳禁です。本人の努力や意図を汲みながら、次にどう活かすのかを示すフィードバックが、成長意欲と職務遂行能力の向上へつながるでしょう。
部下から上司へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 方針が明確で業務判断に迷いが生じない | 変更事項の共有タイミングを早めたい |
| 意見を傾聴し、メンバーの主体性を尊重している | メンバーの負荷状況にさらに注意を払ってほしい |
| 相談しやすい環境づくりを徹底している | 忙しさに関わらず、定期的なフィードバック機会を設けてほしい |
フィードバック・コメントのポイント
部下から上司へのコメントは、敬意+具体性+組織貢献視点がポイントとなります。批判と受け取られないよう、感謝や評価を前置きし、改善点は事実ベースで記述しましょう。
指示系統の明確さや意思決定の速さ、マネジメント負荷の分散など、上司の役割に紐づく指摘が有効です。また、「自分やチームがより成果を上げるため」という目的を添えることで、前向きなフィードバックとして受け止めてもらいやすくなります。
同僚へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 情報共有が速く、チーム全体の効率向上に貢献している | 共有内容の整理を意識し、伝達品質を高めたい |
| アイデア創出力が高く、議論を活性化させている | 状況により対応にムラが見られるため安定性を意識したい |
| 周囲を気遣いながら仕事を進める姿勢が際立つ | 課題を抱え込まず、適切に相談してほしい |
フィードバック・コメントのポイント
同僚へのフィードバックでは、協働の質を高める視点が欠かせません。業務連携や情報共有、コミュニケーションの円滑性など、チームワークに影響する行動に焦点を当てるのが望ましいです。
強みの共有は信頼関係を強化し、改善指摘はあくまで「より成果を上げるため」の提案として記述しましょう。感情的・抽象的な表現は避け、事実に基づいた内容とすることで、受け手が行動に落とし込みやすくなります。
【職種別】360度評価のフィードバック例文
360度評価において、職種によって期待される成果や行動は異なります。職種ごとの特性に応じたフィードバック例を参考にすることで、より具体的で納得感のあるコメントを作成できるでしょう。
- 営業職へのフィードバック例文
- 技術職へのフィードバック例文
- 事務職へのフィードバック例文
- 企画職へのフィードバック例文
- サービス職へのフィードバック例文
営業職へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 顧客との信頼関係構築が強みで、案件獲得につながっている | 見込み管理が属人的なため、情報共有を徹底したい |
| 提案内容に独自性があり、競合との差別化に成功している | 訪問計画の精度を高め、非効率な行動を削減したい |
| クロージングまでの進行がスムーズで成果に直結している | 新規開拓への着手が遅れがちで、バランス改善を期待したい |
フィードバック・コメントのポイント
営業職へのフィードバックでは、成果・顧客対応力・提案力・案件管理能力など、数字と行動の両面から評価することが重要です。成果に至る努力や顧客との信頼関係など、プロセスを評価する視点も加えます。
一方、改善点は具体的なスキルや行動に落とし込み、成約率向上や提案力強化など、業績に直結する観点でコメントすると効果的です。
技術職へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 高い技術理解に基づき、安定した品質を提供している | 設計思想の共有が不足し、属人化が発生している |
| 障害対応が迅速で、影響範囲を最小化できている | ドキュメント整備が不十分で、引き継ぎに支障が出ている |
| 技術研究への意欲が高く、組織へ知見を還元している | スケジュール管理に課題があり、納期リスクが生じやすい |
フィードバック・コメントのポイント
技術職へのフィードバックは、専門スキル・品質・開発スピード・再現性・ナレッジ共有などが評価軸となります。成果物だけでなく、トラブル対応や改善提案も評価対象に含めることが有効です。
改善点は抽象的な表現を避け、技術習熟・レビュー精度・設計思考など、成長の方向性を示すことが求められます。
事務職へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| ミスが少なく、安心して業務を任せられる | 業務量が増えると処理速度が低下しやすいため、優先順位を最適化したい |
| 関係部署との調整能力が高く、円滑な連携を実現している | 依頼内容を深掘りし、先回り行動を増やしたい |
| 期限に余裕を持った対応で信頼が厚い | 情報整理に時間を要する傾向があり、テンプレ活用を検討したい |
フィードバック・コメントのポイント
事務職は、正確性・スピード・対応品質・調整能力・サポート力が評価の中心です。ミスの少なさや依頼への迅速対応は貢献度に直結します。
改善点を伝える際は、業務プロセスの最適化や優先順位付け、資料作成の質など、業務効率の観点からコメントすることで、成長イメージを持ちやすくなります。
企画職へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 独創的な企画で、組織に新しい視点を持ち込んでいる | 企画の実現性に課題があり、リソース設計を強化したい |
| 市場理解が深く、根拠のある提案ができている | データ分析が不足し、説得力に欠ける場面がある |
| 関係部署との連携が円滑で、企画推進力が高い | スケジュール管理が甘く、遅延リスクが発生しやすい |
フィードバック・コメントのポイント
企画職の評価では、企画力・市場理解・実行力・社内調整力といった幅広い視点が必要です。アイデアの独創性だけでなく、実行フェーズまでの落とし込みができているかが重要なポイントとなります。
改善指摘は、情報収集の質、仮説検証、関係者巻き込みなど、成果に直結する行動に焦点を当てた表現が効果的です。
サービス職へのフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 顧客に寄り添う対応で高い満足度を獲得している | 感情の浮き沈みにより対応品質にばらつきがある |
| トラブル発生時も冷静に対処し、信頼を維持している | 業務手順の逸脱が見られ、標準化の徹底が必要 |
| チームと協力して現場全体の雰囲気を良くしている | 繁忙時の効率が低下し、業務遅延の原因となりやすい |
フィードバック・コメントのポイント
サービス職では、顧客満足・ホスピタリティ・クレーム対応・現場対応力・チームワークが中心評価軸になります。感情労働であるため、配慮と安定感が重要なパフォーマンス要素です。
改善点は、言動の安定性や効率性、ルール遵守など、再現性を高める方向で示すと効果的です。
【評価項目別】360度評価のフィードバック例文
360度評価に慣れていない方だと、評価軸ごとに適切なコメントを作ることは難しく感じるかもしれません。評価項目別の具体例を知ることで、客観性と公平性のあるフィードバック作成が可能になりますので、ぜひ参考にしてください。
- 成果評価のフィードバック例文
- 能力評価のフィードバック例文
- 意欲評価のフィードバック例文
成果評価のフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 目標に対して安定的に成果を創出し続けている | 計画との差異が大きく、早期軌道修正の精度を高めたい |
| 成果に結びつく行動設計ができている | 重要タスクへの集中が弱く、成果が散漫になりやすい |
| 組織全体へ好影響を与える結果を残している | 成果獲得のプロセスを可視化し、共有を徹底したい |
フィードバック・コメントのポイント
成果評価のフィードバックでは、達成した結果だけではなく、その背景にある行動や工夫を具体的に示すことが重要です。短期的成果だけの評価に偏らず、再現性や組織貢献への影響範囲も踏まえましょう。
また、改善点を伝える際は「何が不足していたか」だけで終わらず、「次にどう成果へつなげるか」という方向性を提示し、前向きに改善行動へ移せるよう支援する姿勢が求められます。
能力評価のフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 状況に応じて柔軟にスキルを使い分けている | 専門知識の更新が遅く、市場変化への対応が後手になる |
| 学習意欲が高く新しい業務にも適応が早い | 計画的なスキル習熟ができておらず、能力差が出やすい |
| 他者へ知識を共有しチーム力向上に貢献している | コミュニケーションの伝達精度に改善の余地がある |
フィードバック・コメントのポイント
能力評価は、成果に直結する力の源泉となるスキル・知識・行動特性を対象に評価します。特に360度評価では、対人スキルや協働性といった、成果だけでは測れない能力が見えやすいのが強みです。
フィードバックでは、能力の強みを具体化し、どの場面で発揮されているかを示すことで自覚を促します。改善コメントは習得ステップと期待レベルを明確に示すことで、成長が実行しやすくなります。
意欲評価のフィードバック例文
| ポジティブコメントの例 | 改善コメントの例 |
|---|---|
| 新しい課題にも積極的に取り組む姿勢が明確にある | 優先順位の判断が曖昧で、努力が成果に直結しにくい |
| 自ら提案し周囲を巻き込む行動が目立つ | 感情変動により行動が不安定になる場面がある |
| チーム全体への貢献を意識して行動できている | 指示待ちになるタイミングがあり主体性が不足する |
フィードバック・コメントのポイント
意欲評価は、業務に向き合う姿勢・挑戦心・組織貢献意識といった行動意識を対象とします。モチベーションは成果や成長スピードに直結するため、肯定的な点を丁寧に認めることが重要です。
一方で改善点は、感情的な評価にならないよう事実や行動に基づいて指摘し、「意欲がより成果へ転換される状態」を目指したアドバイスとして伝えると効果的です。
360度評価のフィードバックのコメントの書き方のコツ
360度評価はコメントの書き方次第で、受け手の納得度や改善意欲は大きく変わります。効果的なフィードバックのポイントや表現の工夫について、詳しく見ていきましょう。
- 事実と行動に基づいて具体的に伝える
- 強みと改善点をバランス良く提示する
- 改善に向けた期待と方向性を明確にする
- 相手の尊厳に配慮した言葉を選ぶ
事実と行動に基づいて具体的に伝える
360度評価のフィードバックは、主観的な印象だけでは適切な改善につながりません。
いつ、どのような場面で、どのような行動が見られたのかを具体的に示すことが重要です。「コミュニケーションが弱い」など抽象的な表現は避け、「会議で意見を述べず、提案が共有されなかった」など、事実に基づくコメントを提示します。
また、評価者の解釈ではなく、観察した行動に基づく情報を中心にすることで、納得性と受け入れやすさが高まります。
強みと改善点をバランス良く提示する
フィードバックが改善点ばかりになると、被評価者は防御的になり、受け入れにくくなります。
まず強みを認め、どのような価値を発揮しているかを明確に伝えることで成長意欲を保持できます。その上で改善点を示す際は、強みとの関連性を持たせると効果的です。
強みと課題の両面からコメントすることで、本人の成長ストーリーを描きやすくなります。
改善に向けた期待と方向性を明確にする
改善点を指摘するだけでは、相手は何をどう変えるべきか判断できません。
改善が必要な理由と、成果につながる行動例を提示することで、成長の方向性を理解しやすくなります。たとえば「情報共有を強化することで、チーム全体の意思決定が速くなる」など、改善の効果を具体的に伝えることが鍵です。
また、過度に厳しい要求ではなく、本人の現状レベルに応じた、達成可能なステップを設定します。期待が適切に伝わることで、本人も納得感を持って改善に取り組めるようになるでしょう。
相手の尊厳に配慮した言葉を選ぶ
フィードバックは、評価者と被評価者の信頼関係を左右する重要なコミュニケーションです。
人格批判や否定的な感情表現は厳禁であり、常に敬意をもった言葉選びが求められます。「できていない」「遅い」などの断定的表現ではなく、「改善の余地がある」「効率向上が期待できる」など、前向きな言い換えが効果的です。
相手の尊厳を守りながら正しく評価することで、評価制度の信頼性と心理的安全性が高まります。
360度評価のフィードバック・コメントの重要性
360度評価におけるフィードバック・コメントは、単なる評価結果の共有ではなく、社員の成長を促す重要なコミュニケーション手段です。
上司・同僚・部下など多様な視点からの意見が集まるため、本人の気づきにくい強みや改善点を客観的に理解することができます。また、適切なコメントが添えられることで、評価結果への納得感やモチベーション向上にもつながります。
一方で、配慮に欠けた表現や曖昧な指摘は、反発やストレスを生む原因にもなり得ます。そのため、建設的で具体性のあるコメントを提供することが求められるでしょう。
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まとめ
本記事では、360度評価のフィードバックで使える例文をまとめました。
360度評価で得られる多面的なフィードバックは、社員の自己理解や成長、チーム全体の信頼関係強化、組織パフォーマンスの向上に欠かせない重要なツールです。本記事で紹介した役職別・職種別・評価項目別のコメント例や、書き方のコツ、注意点を参考にすることで、評価が単なる点数や印象で終わらず、実際の行動改善や成果につながります。
適切なフィードバックを実践することで、組織全体の能力向上と心理的安全性の確保を両立させることができるでしょう。